国策「ドローン関連株」に上昇気流、デュアルユースが導く空の産業革命 <株探トップ特集>
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―テラドローンの株価上昇で話題、政府の成長戦略追い風に国内市場規模2倍以上に成長へ― 足もと米国をはじめ世界の株式市場でハイテク株が隆盛を極めている。東京市場でもAI・半導体セクターへの物色が活発化し、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]やキオクシアホールディングス <285A> [東証P]といった大型株が目を見張る急騰劇を演じた。一極集中の様相を呈し、バリューや中小型グロース株など蚊帳の外に置かれている銘柄も多い現在の相場環境下だが、よく見るとAI・半導体以外にも投資マネーのホットスポットとなっているセクターがある。それが「ドローン関連株」だ。空の産業革命を担うとして以前から注目度の高いテーマではあったが、国策テーマへと変貌し新たな普及フェーズに突入している。 ●防衛調達で民生市場の競争力強化 目下、Terra Drone <278A> [東証G]の値動きに投資家の視線が集中している。きっかけは同社が3月23日に 防衛装備品事業へ参入すると発表したこと。これを受け翌営業日からストップ高を交え上昇し、続けて同月末にウクライナの防衛テック企業と資本・業務提携して新型迎撃ドローンを発売すると発表し物色人気が加速。更に直近、別のウクライナ防衛テック企業と資本・業務提携したことを明らかにし、株価は昨年高値(1万740円)を上回り青空圏へ突入。防衛装備庁向け案件受注のリリースも刺激材料に一段と上値を追い、12日に1万9610円の高値を形成。最初のリリース直前の水準(3月23日終値2891円)から、ざっと6倍超に跳ね上がった。その後、一転して急落するなど値の荒い展開をみせている。 ドローンはこれまで個人の娯楽やイベント演出、産業用途の物流、農薬散布と民間での需要拡大がイメージされやすかったが、ここにきてそうした状況に変化が生じてきた。民需に加え、官公需の追い風が強く意識される状況となってきたのだ。昨年発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故では下水道管内の調査にドローンが使われ大きな話題を呼んだが、これにより今後国が進める国土強靱化対策でドローンが大きな役割を担うとの期待が高まっている。また、ロシアによるウクライナ侵攻や米イラン紛争でドローンの威力をまざまざと見せつけられるなか、日本も安全保障の観点から活用する動きが本格化している。 政府は日本成長戦略会議で示した「先行して検討を進めている主要な製品・技術等の官民投資ロードマップ素案」において、ドローンを含む無人航空機が民生・防衛の双方で需要が拡大していると指摘。市場規模は2030年に世界で約1兆5000億円(24年は約1兆円)、日本国内で約2700億円(同約1100億円)に達する見通しという。国内で機体・重要部品を安定供給すべく、防衛調達を民生市場の競争力強化につなげながらサプライチェーン構築を図る構えにあり、いわゆる「デュアルユース(軍民両用)」を推し進める姿勢を鮮明とした。 ●リベラウェア、下水道メンテの一貫体制構築 株式市場ではここ数年の間にテラドローンと同様の専業スタートアップがいくつかIPOを果たし、脚光を浴びている。関連銘柄としてまずはそうした企業をマークしたい。 最初に注目したいのが、国産ドローン「SOTEN(蒼天)」を手掛けるACSL <6232> [東証G]。同社は18年、当時の東証マザーズ市場に旧社名「自律制御システム研究所」として登場した専業スタートアップの上場第1号だ。旧社名の通り、機体を安定飛行させるための自律制御技術に強みを持ち、民間企業から官公庁・防衛向けまで幅広い顧客基盤と導入実績を誇る。北米を中心に海外事業に注力している点も見逃せない。赤字先行で株価は長らく低迷していたが、最近のドローン株物色の流れに乗る格好で昨年末の1000円割れ水準から4000円台まで駆け上がる場面があった。 次がブルーイノベーション <5597> [東証G]。23年12月に上場した。同社はインフラ点検をはじめ、ドローンにスピーカーを搭載して避難情報を呼びかけるサービスや操縦者の育成サービスを展開する。災害時の支援活動で実績を積んでおり、1月に発生した山梨県上野原市の山林火災では地元警察や消防と連携し、上空から撮影した映像データを提供するなど消火活動に貢献した。このほか、台湾企業と協業し、今年からアジア市場への本格展開をスタートさせている。 翌24年7月にはLiberaware <218A> [東証G]が登場した。産業分野に特化した非GPS型の小型ドローンを開発・運用し、屋内や狭小空間に強みを持つ。3月にヒューム管最大手の日本ヒューム <5262> [東証P]、上下水道コンサルの日水コン <261A> [東証S]ら下水道業界の中核企業と資本・業務提携すると発表。点検・維持管理を一気通貫で支える体制を構築する構えにあるようだ。今後の業容拡大が期待される。そして、同年11月に前述のテラドローンがIPOを果たした。 ●関連銘柄さまざま、NTTとドローン合弁組む企業など 専業以外では、米国企業とAI搭載の無人機開発に取り組む三菱重工業 <7011> [東証P]をはじめ、産業用・農業用ドローンで実績のあるヤマハ発動機 <7272> [東証P]やクボタ <6326> [東証P]、20年にNTT e-Drone Technology(NTTイードローン)を設立したNTT <9432> [東証P]が主要どころの銘柄として挙げられる。 中小型のものでは、最先端AI半導体の検査工程向け自動化装置を開発したと発表し、足もと物色人気を集めるFIG <4392> [東証P]に着目。グループ傘下のciRobotics(シーアイロボティクス)でドローンを開発製造・販売している。インド企業と次世代AIドローンの開発で戦略的パートナーシップを結んだディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]も直近人気化している。フィジカルAI関連として注目度の高い菊池製作所 <3444> [東証S]はドローン企業のイームズロボティクス(福島県南相馬市)に出資。同企業にはエクセディ <7278> [東証P]、新日本空調 <1952> [東証P]も名を連ねる。ラジコン製造で知られる双葉電子工業 <6986> [東証P]は点検や物流、長時間の定点監視を含む幅広い用途に対応可能な産業用ドローンを手掛け、操縦者の育成スクールも運営する。 エクセディは前述のイームズロボティクスに出資するほか、子会社にドローン関連事業を担うWorldLink&Companyを持つ。同子会社はNTTイードローンの設立に合弁で参画しており、この点は要マークとなる。NTTイードローンの設立に合弁で参画している企業にはオプティム <3694> [東証P]もある。このほか、ドローン向けの各種部品を製造するミネベアミツミ <6479> [東証P]や各種機材を販売するミライト・ワン <1417> [東証P]、国産フライトコントローラーや電波距離計を手掛ける日本航空電子工業 <6807> [東証P]などを押さえておきたい。 株探ニュース