明日の株式相場に向けて=6万円は新安値の巣窟、半導体中小型に照準

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 週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比821円高の6万0537円と続急騰。フシ目の6万円大台ラインを突き抜けてから更にスピードアップし、一時は1200円近い上昇で6万1000円台を視界に捉える場面があった。唖然とするよりない強さだ。ここ最近の値動きはもはやジェットコースターからタイムマシンに昇華したような、時間軸の概念までも揺さぶるような相場に直面している。大引けの日経平均は若干伸び悩んだものの800円超の上昇で6万円トビ台半ばでの着地となった。

 ウォール街でよく言われる「most hated rally」が今の東京株式市場の状態を形容するにふさわしい。これを訳せば「最も憎まれている活況相場(ラリー)」。つまり、株高で残念がっている投資家の方が圧倒的に多い、ことを意味する。逆張り投資家として名を馳せたジョン・テンプルトンの名文句「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というフレーズは、まさに人間心理の正鵠を射ているが、最後の強気相場が「消えていく」というくだりのバックグラウンドにある「幸福感」が今の株式市場には存在しないのだ。皆が「こんな相場に乗れるわけがない。おかしい」と考え見送るが、それを嘲笑するがごとく相場は上がっていく。ちょっと慣れた投資家なら「空売り」や「プット買い(コール売り)」などショートポジションで大利を得ようと考えるが、その場合は機会損失だけではなく、深入りするほどに多額の実損を被るという結末を迎える。

 とりわけ短期売買は、AIによる理屈など関係ない問答無用の売り買いで投資家は翻弄され、市場関係者いわく「デイトレなどの超短期トレードはほとんどAIトレードの餌になってしまうのが実態」(ネット証券マーケットアナリスト)とし、近い将来は、個人投資家がAIシステムを購入し、「人間心理の駆け引きではなくAIによる代理戦争の様相を呈すのではないか」という。いうまでもなく、人間が直接マウスやキーボードを使って相場の最前線に出るのは、丸腰でAIの砲火に飛び込むようなものであり秒で粉砕されてしまう。既に今はその傾向がみられると指摘する。

 韓国では現代自動車の傘下企業が開発したヒューマノイド「アトラス」が有名で、人間よりも遥かに優れたパフォーマンスを上げるため、生産現場での人員削減、雇用破壊がいつでも起こり得る。これはAIロボットの強烈な労働効率に伴う合理化効果が人間の職を奪い、経済が回らなくなるという終着点にたどり着くリスクを内包している。雇用者をトレーダーに置き換えれば株式市場も同様で「そして誰もいなくなった」という時代に既に片足を突っ込んでいるような段階にあるかもしれない。こちらの方は労働組合も存在しない。投資家はAI武装するか、さもなければ去るのみである。

 日経平均が未踏の6万円大台ラインを突き抜け、勢い余って6万1000円近辺まで走ってしまうほどの強い相場だが、きょうのプライム市場の値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回る歪んだ地合いである。ここまではまだありがちなことだが、驚くのはきょう1日で新高値銘柄41に対し、新安値銘柄が223に達していること。これは尋常ではない。ちなみに前週末24日は新高値29に対し新安値201、その前日23日は新高値22に対し新安値は252であった。今の東京市場の実態はむしろ弱気相場に傾斜している。

 その意味では、鉄火場に飛び込むよりは敢えて静観が正しいのかもしれない。しかし、弱気相場に見えるなかでもAI・半導体周辺だけは別格で、鳴門海峡の渦潮のように狭いエリアで資金が高速回転している。日経平均が怒り狂ったように上昇し、NT倍率が16倍を超え過去最高を更新しても、それはそれで個別株に対するピンポイントの観点は別モノだ。ここは半導体セクターの裾野を探っていく。米国株市場ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の18連騰ばかりが脚光を浴びているが、その傍らでラッセル2000も最高値圏で強調展開を示しており、大型株から中小型株への資金シフトが観測されているようだ。東京市場もこの流れに追随する可能性はそれなりに高そうだ。半導体関連は草刈り場と化している。大阪有機化学工業<4187.T>、関東電化工業<4047.T>、旭ダイヤモンド工業<6140.T>、エノモト<6928.T>などに着目。時価総額30億円未満の超小型株ではインスペック<6656.T>に改めて目を配っておきたい。

 あすは4月の権利落ち日にあたり、実質5月相場入りとなる。このほかのスケジュールでは、3月の失業率、3月の有効求人倍率がいずれも朝方取引開始前に発表されるほか、日銀の金融政策決定会合の結果発表と、引け後に植田和男日銀総裁の記者会見が予定される。また、4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も開示される。国内主要企業の決算発表では信越化学工業<4063.T>、オリエンタルランド<4661.T>、コマツ<6301.T>、三菱電機<6503.T>、ソシオネクスト<6526.T>、NEC<6701.T>、デンソー<6902.T>などの注目度が高い。海外では2月の米S&Pコタリティ・ケース・シラー住宅価格指数、4月の米消費者信頼感指数のほか、米7年債の入札が行われる。個別にコカ・コーラ<KO>の決算発表にも投資家の関心が向いている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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