明日の株式相場に向けて=AIDC×コンデンサー関連にマネー集中
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きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1374円高の5万7877円と急反発。前日の欧州時間まではリスク回避ムードに投資マインドが傾斜していたものの、米国株市場で流れが変わった。米国ではハイテク系銘柄が頑強で、その中でも半導体株の強さが際立つ。前日のナスダック総合株価指数は9日続伸したが、これと並走してフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も大幅高で9連騰、こちらは史上最高値街道をひた走り、ついに初の9000大台に乗せた。東京市場も米株高によって敷かれたリスクオンのレールに素直に乗った形だが、上げ幅は前日の下げ分の3倍返しという派手なリベンジとなった。前週末にイスラマバードで開かれた米国とイランの和平協議は決裂したものの、きょうは今週中に改めて直接協議が行われる可能性を観測筋が伝えたことなどで、ショート筋も容易には売り込むことができない。そうした状況を見透かしたように海外ヘッジファンド筋が先物買いを仕掛け、弱気筋が踏まされ一気に強気優勢の地合いが加速した。 ホルムズ海峡はトランプ米政権の逆封鎖でイランの影響力排除に動き出したが、これによって一番困るのはイランを後方から支援する中国である。結局はイスラエルとイランの対立は米中の代理戦争のような様相を呈してきたが、こうなると逆にある程度のところで米中の思惑が反映され、早晩落としどころを見つける可能性は高い、とマーケットは踏んでいる。もちろん、この中東有事がいったん収まっても、原油市況高騰などを背景としたミニ・スタグフレーション的な圧力は、企業業績の先行きに影を落とすことになるはずだが、現時点ではそこまで織り込もうとする気配はない。 国防需要も意識されてか半導体セクターが改めて脚光を浴びている。AI・半導体関連人気といっても、投資マネーの矛先はAIモデル分野(ソフト)の技術開発ではなく、インフラの根幹を支える半導体など「戦略物資」の方に向いている。AIに関するテクノロジーは日進月歩ではあるが、業界の勢力地図に関して言えば現状は霧が掛かっているような状態にあり、有力候補やグループは数多く存在しても、近い将来どこが勝利者となるかを見極められる段階ではない。それに対して勝者が誰であっても、その勝者が立つインフラ基盤は物理的な土台として絶対に必要となる。すなわち半導体とその周辺装置はほぼ確実に弩級の商機が巡って来ることが想定される。 そうしたなか、生成AI時代を支えるインフラの象徴となっているのが、半導体の塊であるAIデータセンターで、これと並行して光ファイバーや光コネクターなどの光デバイス関連が投資マネーを誘引しているのは周知の通りだ。そして、これに続く大口の投資マネーのローテーション先としてコンデンサーメーカーに照準を合わせてきた感が強い。蓄電はもとより、シグナル制御やノイズ除去で重要な役割を担うコンデンサーは、AIデータセンター特需と同じフィールドで恩恵を享受することは自明である。気が付けば、同関連で代表的な村田製作所<6981.T>が、きょうは4.3%高で4349円まで買われ、約1カ月半ぶりに上場来高値を更新した。そして、他のコンデンサーメーカーに目を向けてもしかり、日本ケミコン<6997.T>が急騰でやはり1カ月半ぶりに新値街道に突入したほか、ニチコン<6996.T>は相対的に地味ながら戻り足を鮮明としている。 相場環境はどうあれ、キオクシアホールディングス<285A.T>に代表されるメモリー関連の初動時と同様に、AIデータセンターをステーションとした過剰流動性が渦を巻いている。コンデンサー関連に資金が流れ込んでいるのは明白だが、相場としてはまだ若く、中期的に注目できる。ここで、マークしたいのは指月電機製作所<6994.T>だ。データセンターの受変電設備において、同社が手掛ける進相コンデンサーの活躍余地が広がっている。業績変化率も高く26年3月期は23%営業増益予想で過去最高水準に肉薄する見通し。テクニカルでは日足一目均衡表の雲抜けを果たし、3月11日につけた1205円の高値奪回から実質青空圏への突入が濃厚と思われる。このほか、ニッポン高度紙工業<3891.T>もコンデンサー用セパレーターで世界シェア6割と推定されるニッチトップで、改めて物色対象としてスポットライトを浴びそうである。 一方、AI・半導体とは少し距離を置くが、日本が世界に誇る戦略的物資といえば、高市早苗政権肝いりのペロブスカイト太陽電池は外せない。同分野に早くから注力し業界の草分けともいえる積水化学工業<4204.T>は、3月27日にペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL(ソラフィル)」の事業開始を発表した。これは同社株云々というよりはひとつのエポックメイキングとして認識しておきたい。関連銘柄ではフジプレアム<4237.T>の400円近辺が魅力的に映るほか、ケミプロ化成<4960.T>を改めて注目したいところ。ケミプロは紫外線吸収剤で国内トップシェアを誇るが、同分野で培った有機合成技術を横展開し、ペロブスカイト太陽電池の発電効率を向上させる材料の開発推進に力を注いでいる。 あすのスケジュールでは、2月の機械受注統計が朝方取引開始前に開示されるほか、後場取引時間中に日証協の会見が行われる。後場取引終了後に発表される3月の訪日外国人客数に対するマーケットの関心も高い。海外では3月の米輸出入物価指数、4月のNY連銀製造業景況指数が発表されるほか、4月の全米建設業協会(NAHB)住宅市場指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2月の対米証券投資などが注目される。また、この日はバーFRB理事、ボウマンFRB副議長がそれぞれのディスカッションに参加することで市場の耳目を集めそうだ。個別企業ではバンカメ<BAC>、モルガン・スタンレー<MS>の1~3月期決算が発表予定にある。なお、タイ市場は休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS