明日の株式相場に向けて=AIデータセンター周辺に大化けの鉱脈
投稿:
きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比413円安の5万5895円と反落。朝方にわずかな時間プラス圏で推移したとはいえ、ほぼ一日を通じて下値を探る展開だった。取引開始直前の225先物の萎(しぼ)み方は、資金が逃げ足に転じたことを如実に映し出していた。前日の米国株市場でハイテク株中心に大きくリスクオンに傾斜したといっても、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに2.8%高にとどまっていた。対して日経平均は前日にトランプ米大統領の翻意を世界で一番早く織り込み、5.4%高に買われていたから、その差し引きで利食い急ぎの動きが出ても何ら不思議はなかったといえる。 この日の朝方に発表された対外・対内証券売買契約(週間ベース)で、前週(3月29日~4月4日)の海外投資家動向が判明したが、海外投資家はこの週に国内株式を4週ぶりに買い越した。これ自体は別にどうということはないが、刮目すべきはその買い越し額で、2兆9596億円と3兆円近くにまで膨らみ、これは同統計の公表を開始した2005年以降で最高金額だった。この週は5営業のうち3営業日が安く2営業日が高かった。名実ともに新年度相場入りとなった4月1日は週央(水曜日)であったが、2675円高と今週8日の2878円高と肩を並べる記録的な上昇パフォーマンスをみせた。 ところが、週間で均(なら)せばこの週の日経平均は250円のマイナスであった。先物を絡めた超ハイボラティリティー・ウィークだったものの、締めてみればあまり日経平均の居場所は変わらず、“大山鳴動して鼠一匹”という感が強い。逆に言えば、そのくらい右も左も分からない予想困難な展開が続き、投資家泣かせの地合いであったといえる。AIアルゴリズム売買が演出したジェットコースター相場には乗らずに傍観を決め込んだ投資家も多かったのではないか。この週に外国人投資家は確かに現物で日本株を全力で買っていた。しかし正確には全力で買い戻したというべきで、何のことはないその前の週(3月22~28日)に日本株を4兆4481億円の売り越しで、実はこれも統計以来の過去最高だった。東京市場全体の時価総額が膨張しているため、売りも買いも金額の絶対値が大きくなるのは必然とはいえ、七変化も八変化もする中東情勢、もっと突っ込んだ言い方をすれば七変化も八変化もするトランプ発言に海外投資家も振り回され続けたことを物語っている。 そして、今回の中東有事はパンドラの箱を開けてしまった可能性もある。米・イスラエルによるイランへの攻撃は、ベネズエラで味を占めたトランプ米大統領の完全なミステイクだったと思われるが、侵略戦争とまではいわずとも俗物的に大義なき戦争を仕掛けた米国の一挙一動を、裏側でイランに協力しながらも黙って見ていた中国とロシアの存在も非常に不気味である。 中東問題さえ収まれば原油価格も安定し、長期金利の上昇にも歯止めがかかり、全体株価指数も巡航速度と方向感を取り戻すとみる市場関係者の声も少なくないが、果たしてそれは本質を見誤っている可能性がある。前日時点で日経平均ベースのPERは再び20倍を超えてきた。企業業績に関して26年3月期は減益から増益予想にコンセンサスは変わっているが、27年3月期の増益シナリオは揺らぐ公算が大きい。コストプッシュ型のインフレによる利益採算の悪化、物価高による消費者マインドの低下。これに加え、アメリカファーストを履き違えてジャイアン化したトランプ米大統領も、世界経済に一段と北風を吹かせる蓋然性は高い。東京市場でも既にイレギュラー水準に跳ね上がったPERの妥当性を主張する「成長」の2文字が消えれば、株価崩落の懸念も杞憂では終わらない可能性がある。 今年は中期的な警戒感を常に心に留めながら、株式市場の動向を見守っていく時間軸にあるが、現在は資金が離散しているわけではなくテーマ物色の流れが明確に確認できる。ホットマネーの通り道にアンテナを張り、流れあるところに資金を振り向けていく、というのが実践的な手段といえる。今まさに奔流が発生しているのが「AIデータセンター(DC)」関連だ。十把一絡げ(ひとからげ)に半導体関連、という切り口よりは鋭角的で銘柄の範疇も狭まる。前日にも触れたが古河電気工業<5801.T>がシンボル化し、フジクラ<5803.T>がこれに続いている。このほか、人気化素地を内包している関連銘柄では、AIDCの配線ソリューションを展開する平河ヒューテック<5821.T>。電線御三家同様AIDC向け光ケーブルやコネクタで商機を捉えているJMACS<5817.T>。また、電源供給用ケーブルや水冷システムの配線インフラで活躍余地があるオーナンバ<5816.T>。そして、光アイソレータなどで圧倒的シェアを有する湖北工業<6524.T>。国際間のデータ通信では最重要インフラといっても過言でないのが海底ケーブルであり、米ビッグテックの設備投資の動きにも反映されている。紛れもなく海底ケーブル用光通信デバイスは湖北工業の活躍フィールドである。 あすは株価指数オプション4月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、3月の貸出・預金動向、3月の企業物価指数が朝方取引開始前に開示され、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。個別では安川電機<6506.T>の26年2月期決算と良品計画<7453.T>の26年8月期上期(25年9月~26年2月)決算に関心が集まる。海外では3月の中国消費者物価指数(CPI)、3月の中国生産者物価指数(PPI)が開示され、韓国中銀が政策金利を発表する。また、この日は米国でも3月のCPI発表が予定されており、マーケットの注目度が高い。このほか、4月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、4月の米製造業受注、3月の米財政収支が発表される。(銀) 出所:MINKABU PRESS