ローム巡り合従連衡も、再編機運高まる「パワー半導体」関連の妙味株6選 <株探トップ特集>

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コラム

―デンソーの買収提案の行方を注視、EV、データセンター向けなどに需要拡大―

 電気自動車(EV)、太陽光発電、AIデータセンター ――。これら急成長分野を陰で支える中核となる電子部品がある。それが「パワー半導体」である。電力を効率よく制御するこの部品は、今後の社会の効率を左右するキーテクノロジーであり、その需要は世界的に拡大している。そんなパワー半導体に絡んでは、足もとで大規模な再編の思惑が台頭し、投資家の耳目を集めている。パワー半導体関連の動向を探った。

●デンソーによるローム買収提案を機に動乱状態

 パワー半導体を巡る業界再編機運が高まっている。日本経済新聞電子版は3月6日、デンソー <6902> [東証P]が半導体大手のローム <6963> [東証P]に買収を提案した、と伝えた。更に、ロームと三菱電機 <6503> [東証P]、東芝の3社がパワー半導体事業の統合を検討していると報じられ、27日には正式に3社による事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書の締結が公表された。デンソーによるロームに対する買収提案の行方は不透明のままであり、最終的にどのような結末を迎えるかは現時点では分からないが、「パワー半導体」という業界自体が今まさに大きな転換点を迎えていることは間違いない。

 パワー半導体は、電力の変換・制御を行う半導体素子で、インバータ、電源装置、EV、鉄道、再生可能エネルギー設備など用途が多岐にわたる。このことからも明らかなように、エネルギー効率を高める役割を担っているため、脱炭素や電動化が重要となる今後の社会において不可欠な基盤技術とされる。

●中国企業の台頭が業界に変動もたらす

 パワー半導体の業界再編機運が高まる背景のひとつには、台頭する中国勢の脅威がある。杭州士蘭微電子やEV最大手のBYDなど中国企業がパワー半導体の分野で急速に台頭している。このパワー半導体が現在直面している中国勢による追い上げという構図は、過去の液晶業界などを想起させる。1980年代から2000年代初頭にかけて、日本は名だたる大手企業の力で、液晶ディスプレイ分野で圧倒的な優位を持っていた。しかしその後、韓国、そして中国が液晶産業を国家戦略として位置づけ、大規模な資本を投入した。そのため、市場価格が引き下げられ、投資回収が困難になった企業が急増。その結果、日本企業は次々と液晶パネル事業から撤退したという苦い記憶がある。同様の動きは、さまざまな業界で起こっており、今回のパワー半導体業界での大規模な再編観測も、この流れのなかにある。実際、ロームは、3社での事業・経営統合に関する協議開始に向けた基本合意書の締結の補足資料で、「国際競争激化により、半導体市場で持続的に成長するためには、技術力・生産規模・供給体制の強化が必要不可欠。加えて、地政学リスクにより、サプライチェーン強靱化への要請も高まる」と明記している。

●競争力向上や技術開発の加速に期待

 そんななか、今回急浮上した再編観測に関しては業界の競争力向上や技術開発の加速につながることに期待している投資家も多いはずだ。シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)から成る「Power Eco Family」を提供するローム争奪戦が意識されるなかで、デンソー、東芝、三菱電に加え、ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]、富士電機 <6504> [東証P]、サンケン電気 <6707> [東証P]などのパワー半導体企業を含めた一段の合従連衡が進む可能性もある。いずれにせよ、パワー半導体を巡る話題は今後も活発化しそうだ。以下では同関連の中小型株を取り上げた。

●テセック、タカトリ、テラプローブ、AIメカなど評価余地

 テセック <6337> [東証S]~半導体製造の最終工程を担う「ハンドラー」「テスター」などの検査装置を手掛ける。ファイナルテスト(製品検査・信頼性試験)では、半導体製造の全プロセスを一瞬にして正確に総点検する。大電流・大電圧のテストや、高温・低温環境のテストも高精度で行うことができ、パワー半導体の信頼性試験においても同社製品が貢献している。

 タカトリ <6338> [東証S]~半導体・次世代材料加工・ディスプレイ・機能繊維といった既存事業を深化させ、医療・ヘルスケアやクリーンエネルギーなど新たな領域にも挑戦している。特に、SiCパワー半導体や全固体リチウムイオンバッテリーといった次世代技術への取り組みに注力しており、パワー半導体・SiC関係対応設備などを手掛ける。

 ワイエイシイホールディングス <6298> [東証P]~半導体・メカトロニクス関連事業において、レーザ技術とイオンビーム技術を駆使した高精度な装置を提供。パワー半導体の性能を左右する「不純物活性化」プロセスにおいて、信頼性の高い熱処理(レーザアニーラ)や微細加工(イオンビームミリング、レーザドリラ)を実現。半導体デバイスや電子部品の製造プロセスにおいて、研究開発から量産まで幅広く採用されている。

 テラプローブ <6627> [東証S]~世界有数の半導体後工程受託(OSAT)企業である台湾の力成科技(パワーテック・テクノロジー:PTI)傘下。PTIグループのネットワークを活用し、後工程(封止・検査)を一括受託する「ターンキービジネス」を展開。24年よりパワーデバイス分野への本格的なアプローチを開始している。

 クオルテック <9165> [東証G]~電子部品や半導体の「信頼性評価試験」や「故障解析」を主軸とする独立系の受託検査会社。24年11月、次世代半導体を含めたパワー半導体評価技術の研究開発や試験機の開発を行う「パワエレテクノセンター」を新設。単なる試験の受託にとどまらず、新しい半導体材料に合わせた「試験手法そのものの開発」や「試験装置の自社開発・外販」を強化する。

 AIメカテック <6227> [東証S]~半導体パッケージ実装装置や液晶パネル製造装置の専業メーカー。半導体パッケージ用の「はんだボールマウンタ」や、次世代の実装技術に欠かせない「ウエハハンドリングシステム」を提供。パワー半導体の回路形成に欠かせない、レジストの硬化(UV装置)や溝加工(エッチング装置)、不要なレジストの除去(アッシング装置)といった応用設備を展開している。

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