「認証ソリューション」は新章突入、不正対策強化で成長ロード爆走へ<株探トップ特集>
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―証券口座被害巡る金融庁の注意喚起から1年、時代の要請に応じる関連株を総点検― 世はまさに「認証時代」である。急速に進展したネット社会だが、生活を送る上での利便性が一気に向上した半面、不正アクセスによる犯罪も急増し社会問題となっている。こうしたなか、さまざまな認証ソリューションが登場。現代社会では、もはや認証なくして本人確認ができない状況になったと言ってもいいだろう。昨年4月には、金融庁が実在する証券会社のウェブサイトを装った偽のサイト(フィッシングサイト)などで、盗み取られたログインIDやパスワードでの不正アクセス・不正取引の被害が急増しているとして注意を喚起した。こうしたことを受けて、いまや当たり前となった証券口座など金融分野での「多要素認証(MFA)」の導入が加速し、連れて多方面で認証ソリューションが活用されるようになった。金融庁の注意喚起から約1年、ネット時代の要請に応える「認証ソリューション」関連株のいまを点検した。 ●口座乗っ取り事件はやまず 昨年4月には、証券口座の乗っ取りなどによる不正アクセス数が5482件、不正売買額が約3000億円(売却・買付合計)を突破。証券業界は口座の乗っ取り事件が多発し、金融庁が注意喚起したことを受け、各社はセキュリティー強化の観点から多要素認証の採用を一気に進めた。まさに、投資家にとっては他人事ではない。株式市場でも大きな関心を集めることになった。 あれから1年を経て、ログインでの多要素認証導入が加速したことで、セキュリティー対策は急速に向上した。しかし、今年2月だけでも不正アクセス数が187件、不正売買額では130億円(同)近くの被害が出ている。ピーク時と比べれば減少したとはいえ、不正アクセス・不正取引犯との闘いは、いたちごっこであり一層のセキュリティー強化が求められている。 ●出動のタイミング待つ 身近な存在となった多要素認証だが、いわゆる認証の3要素といわれる「知識認証」「所有物認証」「生体認証」のうち、2つ以上を組み合わせて認証することで、セキュリティーのレベルアップがもたらされる。こうしたなか、顔や指紋などによる生体認証をはじめとする強固な認証ソリューションは、金融分野やネット通販、警備をはじめとして幅広いシーンで活用されており、不正アクセスが高度化するなか更に活躍の舞台を広げていくことになりそうだ。 また、中東情勢に翻弄される株式市場だが、認証に絡む銘柄は地政学リスクとは遊離した物色エリアに位置している点にも注目しておきたい。いずれ相場が落ち着けば、業績面でも比較的好調な銘柄が多いこともあり、出動のタイミングは早晩訪れることになる。 ●ソリトン、認証を軸に次の成長ステージへ ソリトンシステムズ <3040> [東証P]はセキュリティー対策ソフトの開発販売などで高い実績を誇るが、ITセキュリティー事業において「認証」を軸に次の成長ステージを目指す。国内シェアトップクラスの認証アプライアンス「NetAttest EPS」や多要素認証クラウドサービス「Soliton OneGate」など主力製品の販売が好調だ。また、Soliton OneGateの機能強化を図ることで、更なる需要の獲得を図ろうと懸命だ。2030年まで続く見通しの公共3分野(自治体・教育・医療)におけるセキュリティー整備・更改需要に対応し、安定的な需要を取り込んでいくという。2月13日に発表した26年12月期連結業績は、営業利益で前期比10.7%増の31億5000万円を計画し、連続で過去最高益を更新する見通しだ。なお、3月19日には28年12月期に同利益で50億円を目指す中期経営計画を発表している。 ●サイバトラス、認証サービスが拡大 認証分野で活躍領域を大きく広げるサイバートラスト <4498> [東証G]に注目したい。26年3月期連結業績は、営業利益で前の期比10.5%増の15億7000万円と連続の最高益更新を目指し成長ロードを快走している。1月下旬に発表した第3四半期累計(4~12月)でも、電子認証サービス「iTrust」の本人確認サービスが証券口座開設、銀行における利用範囲拡大により大きく伸長したことなどで、同利益は前年同期比20.9%増の11億7000万円と順調に推移した。昨年9月には、日立製作所 <6501> [東証P]と連携して日立が提供するオンライン本人確認サービス「eKYC支援サービス」の機能を拡張すると発表。日立は今後、サイバトラスとの協業を強化し、同サービスを金融機関や公的機関などに幅広く展開するとしている点も見逃せない。株価は、1月7日につけた1411円を高値に調整局面入り。現在は1100円台後半で上値の重い展開が続くが、見直し機運からの反転攻勢に期待したい。 ●顔認証で頭角現すセキュア セキュア <4264> [東証G]は入退室管理や監視カメラシステムを提供するが、「顔認証」関連ソリューションで急速に頭角を現している。先月3日には、顔認証を活用した「キーレス顔認証ソリューション」について、小売店や金融機関など500店舗以上への導入が決定したと発表するなど、リアル空間へのAI(人工知能)実装を通じリテールDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを加速化させている。昨年3月末には顔認証関連ソリューションの導入件数が1万件を超え、更に同年8月には同社の監視カメラ・入退室管理システムなどの累計導入社数が1万3000社を突破するなど目覚ましい実績を誇る。業績面では、26年12月期連結営業利益で前期比90.1%増の6億2000万円と大幅増益を計画している。株価は3月11日に1989円まで買われ年初来高値を更新。その後は全体波乱相場に巻き込まれた格好で1700円近辺まで押し戻されるものの、ここ押し目買い意欲も散見されじわり切り返しへ。 ●株価変貌のアスタリスク 急速に株価を変貌させ、投資家の熱い視線が注がれているのがアスタリスク <6522> [東証G]だ。同社は、スマートフォン装着型の自動認識デバイス「AsReader」を主力とし、RFID(近距離無線通信を利用した自動認識技術)や画像認識、AI技術を駆使することで、物流・流通・医療などの現場における業務効率化とDXを支援している。3月17日取引終了後には、急拡大する顔認証市場のニーズを捉えるべく、コーユーレンティア <7081> [東証S]子会社と、顔認証による入退室及び勤怠管理システムなどの導入に関する包括的業務提携を開始したと発表。16日には、RFIDセルフレジ関連特許の譲受と「グローバル標準レジ」戦略の本格始動に関する発表を行い17日にストップ高に買われていた。これらを契機に同社株は急速人気化。400円近辺だった株価は商いを伴い上昇加速、3月27日には1699円まで買われ約4倍化した。その後は調整し、きょうは大きく売られ1000円近辺に押し戻されているものの注目は怠れない。26年8月期の連結営業利益は1億1700万円(前期1億2500万円の赤字)の黒字転換を見込んでいる。 ●提供拡大で攻勢強めるエレメンツ ELEMENTS <5246> [東証G]は、生体認証・画像解析・機械学習技術を活用した個人認証・個人最適化ソリューションを展開。さまざまな領域で、オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」を提供している。2月17日には、住信SBIネット銀行(東京都港区)が新たに導入する不正アクセスやなりすましなどの不正対策において、エレメンツグループのLiquidの当人認証サービス「LIQUID Auth(リキッドオース)」を提供すると発表し注目を集めた。3月に入っても、オンライン本人確認サービスの提供を次々と発表するなど、活躍のすそ野を広げている。2月26日には、大型案件を受注したことを開示した。受注内容はクラウドサービス提供で、金額は17億4500万円。売り上げ計上は26年11月期~29年11月期を予定している。26年11月期の業績予想には織り込み済みだという。 ●アクリートは活躍領域の拡大へ 法人向けSMS(ショートメッセージサービス)の配信事業を手掛けるアクリート <4395> [東証G]にも目を向けてみたい。同社は、企業が強く求める「本人認証」用途に強く、通知・認証用途で圧倒的ともいえるシェアを誇り、ログイン時の2段階認証としてSMS認証がニーズを捉えている。今後はAI・量子暗号・音声認証などの先端技術を駆使し、事業領域の拡大と更なる認証技術の強化・高付加価値化で収益向上を図る構えだ。また、3月にはアクリートを統括会社として先端IT企業4社が集結し、クラウドサービス環境及びコンテナ型データセンター基盤の強化を目的とした業務提携契約の締結を発表。活躍領域の拡大に積極的な点も見逃せないポイントだ。26年12月期連結営業利益は、前期比23.9%増の6億5600万円を計画し、3期連続の営業増益を見込む。 ●目を配っておきたいサイオス、ミガロHD サイオス <3744> [東証S]は教育機関向け認証ソリューションで、100を超える大学・教育機関への導入実績を誇っている。ID管理などをクラウドで行う「Gluegent Gate (グルージェントゲート)」などのGluegentシリーズが業績に寄与している。同ソリューションは「いつ」「誰が」「どこから」の制御に加え、多要素認証で本人確認を強化し、なりすましによる不正アクセスを防止することでアクセスセキュリティーの強化を図る。また、シングルサインオン機能により、1回のログインで連携済みの複数サービスを利用できユーザーの利便性を大幅に向上させた。26年12月期連結営業利益は、前期比12.1%増の4億5000万円を計画。経常利益段階では、同2.5%増の5億1000万円と連続の最高益更新を見込む。株価は下値模索の展開が続くが、再評価機運が高まれば反転への期待も。 顔認証IDプラットフォームで導入実績を積み上げているのがミガロホールディングス <5535> [東証P]だ。グループのDXYZが手掛ける顔認証IDプラットフォーム「FreeiD(フリード)」の採用が、東急不動産(東京都渋谷区)や三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)をはじめ大手ブランドのマンションで相次いでいる。FreeiDは、新機能の開発に加えマンションを中心とした案件開拓営業などで攻勢をかけており、成長ステージのいっそうの拡大を図る。株価は年初来安値圏を這(は)う展開だが、26年3月期連結営業利益は前の期比10.6%増の30億円を計画し、3期ぶりの過去最高更新を見込む。 株探ニュース