倍騰前夜の金鉱脈を探せ、「株価3ケタ」半導体中小型バリュー特選5 <株探トップ特集>
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―今が仕込みのチャンス、成長性と割安感を併せ持つ半導体関連の穴株をリストアップ― 週末3日の東京株式市場は先物主導で強調展開となり、日経平均株価が660円あまり上昇、5万3000円台を回復して取引を終えた。米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃が長期化することへの懸念は拭えないものの、足もとで株価は打たれ強さを発揮している。米国では半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が直近まで3営業日続伸と上値指向にあり、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイシズ といったAI半導体の象徴株も3連騰を演じるなど、波状的な投資資金の流入が観測されている。東京市場でもリスクオフ相場の一巡から改めて 半導体セクターに熱視線が注がれる可能性が出てきた。 ●半導体インフラ整備はAI時代に必須のテーマ 生成AIが我々の日常に浸透するなか、近年は フィジカルAIのコンセプトでAIの活躍エリアが3次元空間にも広がってきた。こうしたAIの高付加価値化(ハイスペック化)は、すべて半導体が敷き詰められた強力な土台(インフラ)の上で進んでいるといってもよい。高性能化したAIの社会実装が進んでいくなかで、半導体市場は今後も構造的に拡大一途となることは疑いようのないところである。 WSTS(世界半導体市場統計)が昨年12月に開示した、半導体市場の動向と今後の見通しは驚くべき内容であった。まず、2025年の成長率は従来見通しの11%から22%に上方修正され、金額ベースでは123兆5500億円規模に達する。更に26年については、25年推定比で26%増と伸び率が更に加速し、156兆円規模に膨張する見通しだ。ドルベースで言えば1兆ドル市場が目前に迫っている。 また、26年1月単月の世界半導体販売額に関しては約13兆円、前年同月比で46%増という特筆に値する伸びをみせている。ちなみに前年同月比では27カ月連続の増加となった。AI過剰投資懸念が取り沙汰されて随分と時を経ているが、実際のところ半導体需要の盛り上がりはとどまるところを知らない。その割に半導体セクターの主力銘柄の株価については戻り足が鈍いように見えるが、これはひとえに株式需給悪のなせる業ということになる。ファンダメンタルズのアプローチから、これらの銘柄に失望売りが出ているということでは決してないのである。 ●半導体材料と製造装置で日本は世界最上位 「AI・半導体」は高市早苗政権が重点投資する17の戦略分野においても筆頭格としてリストアップされている。「AIを制する者は世界を制する」とまで言われる今の時代、国策的に資金面でフォローしていくことで、かつて「技術立国」とはやされた日本の技術力を呼び覚ますことが重要だ。半導体の完成品に関しては、米国や中国、韓国、台湾などの後塵を拝している日本だが、 半導体材料や 半導体製造装置においては世界最上位の存在であることはまぎれもない現実である。 そうしたなか、政府は国内で製造される半導体の売上高を今から4年後の30年に15兆円超という目標を設定していた。だが直近では、この目標を発展的に更新し、40年に40兆円まで増やす目標を掲げる方針であることが伝わっている。 大手金融機関など民間も半導体業界へのテコ入れに動き出している。みずほ銀行が福岡市内に、日本と台湾企業を橋渡しするためのハブ拠点創設に乗り出したほか、三井住友銀行もグループ企業と協働で、半導体業界の課題解決策を検討する仕組みを設けることが報じられた。国内における半導体サプライチェーンの構築は、官民を挙げて今後加速的に進められていくことが担保された状況といっても過言ではない。 ●人気圏外からのダブルバガー化を狙う 株式市場に目を向けると、前述したように時価総額上位の半導体主力銘柄の上値が重い。これは逆説的になるが既に大相場を経験済みという事情が関係している。ひと頃は機関投資家が「持たざるリスク」を恐れて過剰に買いポジションを高める傾向があったが、世界的なリスクオフで今はその持ち高調整の売りを優先している。その受け皿となっているのが、信用枠を目いっぱい使った個人投資家マネーである。 人気絶頂時から急速な株価調整の過程で段階的に買い向かった資金が想定以上に膨らみ、二度咲きのチャンスを待っている。しかし、その原動力となる買い需要は何らかの材料がなければ容易に発生しない。こうした銘柄群は強力な戻り売り圧力をこなしていく「日柄」が必要となる。 他方、半導体関連で上値にシコリ玉の少ない中小型株は、主力銘柄とは次元の異なる相場環境に置かれているといってもよい。現在は人気圏外で出来高流動性が乏しくても、いったん火がつけば急激な水準訂正のプロセスをたどることも十分にあり得る。ロットが小さいため機関投資家の投資対象とはなりにくい一方、持ち高調整の売りから解放され、個人投資家の土俵で戦えるという強みが最大限に引き出されれば、株価の居どころが変わる。分かりやすいのは株価が3ケタ台(1000円未満)に位置する銘柄群で、4ケタ台での活躍がイメージできれば、株価倍増のシナリオも無理なく描くことが可能となる。 今回のトップ特集では株価が3ケタ台で水準訂正余地が意識されやすい半導体関連銘柄に照準を合わせ、PER・PBR・配当利回りなどトラディショナルな投資指標からバリュエーション的に極めて割安に放置されている5銘柄を選抜。株価が倍化しても違和感のないバリュー系半導体関連銘柄で戻り相場を堪能したい。 ●開花を待つバリュー系半導体有望株5銘柄 ◎日本トムソン <6480> [東証P] トムソンは半導体製造装置向けを主力とする直動案内機器を製造するが、前工程、後工程、検査・搬送工程のすべてのプロセスで高精度かつ使用環境に対応した性能を武器に顧客ニーズを開拓している。また、工作機械やロボットアームの回転部分に組み込まれるニードルベアリングでも、独自技術力を駆使して高い商品シェアを獲得している。同社が手掛けるクロスローラーベアリングはコンパクトな構造で高精度・高剛性を強みとし、将来的には人型ロボットなどの重要部品として使用される可能性も高い。フィジカルAI関連のテーマでも同社の存在性は高まりそうだ。なお、AIデータセンター の建設が加速するなか、AIサーバーに搭載される先端半導体のパッケージングでは同社の持つ商品製造技術が必須となる。26年3月期は売上高が前の期比11%増の605億円、営業利益が同95%増の31億円と急回復予想にあり、続く27年3月期もAIデータセンター関連の半導体向け需要をバネに2ケタ以上の大幅増収増益が見込まれる。 株価は2月12日に年初来高値1131円をつけた後、2月26日の戻り高値1116円でほぼダブルトップを形成したが、その後は値を崩し、850~950円のボックスゾーンでもみ合う展開となっている。ただ、3%を超える配当利回りと0.7倍台のPBRはバリュエーション面で割安感が強く、ボックス下限をメドに押し目があれば丹念に拾っておきたい。早晩ボックス圏を離脱し1000円台を地相場とする展開も視野に入りそうだ。 ◎ダイトーケミックス <4366> [東証S] ダイトーケミは半導体集積回路製造用のフォトレジストなどに使用される感光性材料の製造や写真材料、医薬中間体などを手掛ける。同社が製造する感光性材料はAIデータセンターのAIサーバーに搭載されるGPUやHBM(高帯域メモリー)の製造プロセスにおいて必須であり、中期的な業容拡大への期待が大きい。半導体材料の世界市場規模は2030年には昨年比で1.5倍化に相当する11兆円超に達するとの試算もあり、同社の収益機会は年々高まっていくことが予想される。26年3月期はインスタント写真向け材料の販売が好調なほか、半導体向けの牽引もあって会社側の営業利益見通しは上方修正される可能性が強く意識される。進捗率を考慮して会社想定の8億3000万円から1億円程度上乗せされる公算が大きい。株主優待制度の導入(図書カード贈呈)による実質配当利回りの上昇も、個人投資家には魅力的な買いの根拠となりそうだ。 株価は2月18日につけた495円の年初来高値形成後に大幅な調整を入れた。だが、400円を割り込み75日移動平均線を下回った時価近辺はイレギュラーな安値で拾い場を提供している。筆頭株主の著名投資家が買い増し姿勢を強めていることでも注目度が高い。PBR0.7倍台は水準訂正狙いの買いも誘導しやすく、当面はPBR1倍水準である500円近辺への戻りが、495円の年初来高値奪回と合わせて上値目標となりやすい。 ◎巴川コーポレーション <3878> [東証S] 巴川コーポはリードフレームの固定に使う半導体実装用テープや、その他パッケージ材料など半導体関連部材で需要獲得を進めている。現在は祖業である製紙事業から撤退し、電子材料メーカーへと変貌を遂げている。トナー材料で培った技術をベースに半導体分野を主戦場としており、主にエレクトロニクス武装が進む車載用などのレガシー半導体向けで実力を発揮するほか、電力使用に伴う発熱対策が懸案となっているAIデータセンター向け絶縁熱接着フィルムなどでもニーズを獲得。また、電磁波シールド材料など電子機器の誤作動防止でも商機を捉えている。業績は26年3月期の営業利益が前の期比9%増の14億円と2ケタ近い増益を見込むが、一段と上振れる可能性がある。更に27年3月期も半導体テープと接着フィルムなどの成長トレンドに変化はなさそうだ。有配企業にして0.5倍を下回るPBRは見直し余地が大きい。 株価は、1510円前後の一株純資産(前の期実績ベース)と比較して評価不足が著しい。2月27日の年初来高値949円形成後に大きく調整を強いられているが、目先のもみ合いはバーゲンセールであり、中勢4ケタ台を地相場とする強調展開が想定される。当面は年初からの相場で累積売買代金の多い900円どころが最初の関門となりそうだ。信用買い残は枯れた状態にあり、その点で上値も軽く動き出せば足は速そうだ。 ◎三社電機製作所 <6882> [東証S] 三社電機は半導体モジュールや電源機器の製造を手掛け、表面処理用電源では国内トップシェアを有するほか、半導体はパワーデバイスに特化し、ニッチ分野における高い商品競争力が武器となっている。この2つの事業の技術的なシナジーも同社の強みだ。25年3月期は営業利益段階で前の期比69%減益と落ち込んだ。26年3月期については前の期比12%増の12億円予想と2ケタ成長で切り返す予想を出してはいるが、第3四半期(25年4~12月)までの進捗率を考慮すると未達の可能性が高い。しかし、株価的には第3四半期決算発表翌日に大幅に調整を入れるなど、おおむね織り込みが進んだ。カギを握るのは27年3月期の業績見通しがどうなるかだが、AIデータセンター向けパワー半導体の好調や、電源需要を取り込み収益は再び成長路線に回帰する公算が大きい。実質的な筆頭株主である三菱重工業 <7011> [東証P]との連携も強固で防衛関連の一角としても評価余地がある。 株価は年初にフシ目の4ケタ大台乗せを果たしたが、2月26日に1135円で約1年9カ月ぶりの高値を形成した後は利食い圧力の強い展開を強いられた。時価は下値支持ラインとなっていた26週移動平均線をいったん下回ったことで、下値リスクも意識されやすかったが踏みとどまった。PBRが0.5倍台と会社解散価値の半値水準に放置される一方、配当利回りが4%を超えており非常に割安感が強い。今期業績回復トレンドが見えるなか、足もとの押し目は買い向かって報われそうだ。中勢1200円台を目指す展開に。 ◎竹田iPホールディングス <7875> [東証S] 竹田iPは商業印刷を祖業とし、印刷事業のほか印刷機材・資材を取り扱う商社機能も有する。注目すべきは、有力子会社を通じて電子基板のスクリーンマスクやフォトマスクといった半導体関連マスク事業を手掛けていることだ。設計から製造までワンストップの生産体制を構築し、工程ごとの品質管理や万全の検査・機密保持管理などを強みに顧客需要を捉えている。この半導体マスク事業は成長ドライバーとして、既に情報印刷事業に次ぐ収益の第2の柱に育っている。26年3月期の営業利益は前の期比6%増の14億5000万円を予想するが、これは進捗率から未達となる可能性がある。しかし、27年3月期は半導体マスクの生産ライン集約による採算改善効果が寄与し、利益の伸びが再加速しそうだ。PER10倍前後で、PBRは0.5倍台、3%前後の配当利回りも含めバリュー株の側面を強く有しており、中期スタンスで買い安心感も強い。 株価は出来高流動性にやや難があるものの、株式分割に伴い600円近辺の株価は買いやすさがあるほか、バリュエーションの割安さも際立つ。テクニカル的には分割権利落ち後の3月30日ザラ場に600円まで売り込まれ、2月19日に開けたマドを埋めたことで、ここからは仕切り直しの買いが期待できる。75日移動平均線との上方カイ離修正場面は強気に買い向かいたいところ。675円の高値払拭から、実質的な青空圏突入が想定される。 株探ニュース