不振からの脱出なるか、春のIPOシーズン突入と中小型株相場の行方 <株探トップ特集>

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コラム

―年初から初値「7連敗」と低迷続く、小型のスタンダード上場企業が増える―

 2月28日の米国・イスラエルによるイラン軍事侵攻を契機に世界の金融市場は大荒れの状態。原油価格の上昇が嫌気され、NYダウは2月高値から一時10%下落し調整局面入りし、日経平均株価も3月は月間で13%下落した。リスク回避の流れは、中小型株にも向かうなか新規上場銘柄の初値は公開価格を下回る状態が続き、年初からIPOは7連敗を記録している。イラン戦争には終結に向けた期待が出ているが、今後の市場環境には、なお不透明感が残る。 4月IPOが始まるなか、物色人気の復活はあるか。

●中小型株では宇宙やドローン関連株などが人気に

 新興株市場の動向を示す東証グロース市場250指数は、3月は前月末比で10%安と厳しい下落となった。1~2月までは昨年末比で約15%上昇を演じていただけに、イラク戦争の勃発でリスクオフ姿勢が強まるなか、中小型株にも売りが膨らむ展開となった。ただ、2日時点で同指数は昨年末比では7%高と依然としてプラス圏をキープしている。日経平均株価の同4%高も上回っている。市場からは「新興市場は長い低迷状態が続くだけに、下落余地も限られている」(アナリスト)との見方もある。

 足もとの新興市場では、大型蓄電池の製造・販売を手掛けるパワーエックス <485A> [東証G]や九州地盤でディスカウント店を運営するトライアルホールディングス <141A> [東証G]、リユース商材の出張買取や販売などを行うBuySell Technologies <7685> [東証G]などが堅調な値動きとなっている。また、衛星など 宇宙関連や ドローン関連は防衛関連としての側面から、QPSホールディングス <464A> [東証G]やSynspective <290A> [東証G]、アストロスケールホールディングス <186A> [東証G]、Terra Drone <278A> [東証G]などの銘柄が注目されている。

●国内IPOは不振も米ナスダック上場のPayPayは堅調

 そんななか、IPO市場は年初から冴えない状態が続く。2月は3社、3月も3社と計6社の新規上場があったが、その全ての初値は公開価格を割り込んだ。イノバセル <504A> [東証G]やジェイファーマ <520A> [東証G]は赤字バイオ企業だったほか、ベーシック <519A> [東証G]以外は、上場時の時価総額は100億円を超えており、規模がやや大きかったことも上値が抑えられる要因となった様子だ。そして、きょう4月のIPO第1号として登場したビタブリッドジャパン <542A> [東証G]の初値も公開価格を下回り、年初から「7連敗」を喫した。

 一方、米ナスダック市場に3月12日に上場したPayPayは、初値は公開価格を上回り、その後も堅調な値動きとなっている。日本のモバイル決済市場の成長性や、イラン戦争の影響を受けにくい点なども評価された様子だ。ただ、国内の直近IPO銘柄でも、製造業の事業承継を推進するセイワホールディングス <523A> [東証G]は、セカンダリー市場では底堅い展開となっており、個別企業の内容を吟味する動きも出ている。

●4月は8社が登場、「連敗記録はいつストップするか」に関心

 そして、4月は8社が新規上場する。昨年との比較では4社の増加となる。内訳はグロース市場への上場が4社、スタンダード市場が3社、スタンダード市場と名証メイン市場への同時上場が1社となる。きょう上場のビタブリッドはウェルネスケア関連製品の商品企画・開発などを展開しており、同社の上場時の資金吸収額は25億円程度、時価総額は70億円強だった。

 4月の新規上場企業の半数がスタンダード市場に上場し、上場時の時価総額が100億円以下となりそうな小型銘柄が多い。IPO銘柄の初値が年初から7連敗となるなか、市場の関心は、「連敗記録はいつストップするか」に向かっている。4月の新規上場銘柄の動向は、今年のIPO市場の動向を探るうえでの重要な試金石となりそうだ。

●システムエグゼやバトンズ、梅乃宿酒造などが登場

 6日にはシステムエグゼ <548A> [東証S]が上場する。同社はシステムインテグレーション及び自社開発ソフトウェアプロダクトの提供を行っている。資金吸収額は約12億円、上場時の時価総額は約50億円の水準だ。7日にはヒトトヒトホールディングス <549A> [東証S]が登場する。同社はスポーツなどのイベント運営やビルマネジメント、企業への人材派遣などを展開。株式の公募は行わず売り出しのみとなる。資金吸収額は17億円台、時価総額は約60億円だ。9日にはソフトテックス <550A> [東証S]が上場する。同社はシステム開発関連事業を展開している。資金吸収額は5億円台、時価総額は約17億円と小型だ。

 21日にはバトンズ <554A> [東証G]が登場する。同社はM&A総合プラットフォーム「BATONZ」の企画・開発・運用を行っている。18年に日本M&Aセンター(現・日本M&Aセンターホールディングス <2127> [東証P])から分社し設立された。資金吸収額は5億円前後、時価総額は約30億円程度の見込みとやはり小型だ。22日にはSQUEEZE <558A> [東証G]が新規上場する。同社は自社ホテルの運営やシステムの開発・提供などを手掛けている。インバウンド関連の側面を持つ。資金吸収額は40億円程度、時価総額は約100億円前後の見込みと4月IPOでは大型銘柄となる。

 23日には犬猫生活 <556A> [東証G]が上場する。同社はペットフードをはじめとしたペット関連商品の企画・製造・販売を行っている。資金吸収額は20億円程度、時価総額は80億円前後。24日には梅乃宿酒造 <559A> [東証S]が登場する。日本酒及び「梅乃宿の梅酒」など果実をつけ込んだ日本酒リキュールを中心とした酒類の製造販売を行っている。世界的な和食ブームにも乗り、海外24の国・地域に展開している。株式の公募は行わず売り出しのみ。資金吸収額は13億円程度、時価総額は30億円台の見込みだ。


■4月IPO一覧
上場日  コード・上場市場  企業名          主幹事
4月2日  542A・東G    ビタブリッドジャパン    SBI
  6日  548A・東S    システムエグゼ       みずほ
  7日  549A・東S    ヒトトヒトホールディングス 野村
  9日  550A・東S・名M ソフトテックス       岡三
 21日  554A・東G    バトンズ          大和
 22日  558A・東G    SQUEEZE       SBI
 23日  556A・東G    犬猫生活          SBI
 24日  559A・東S    梅乃宿酒造         SMBC日興
(注)東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース、名Mは名証メイン

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