明日の株式相場に向けて=AIプログラム炸裂、激動相場の勘所

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 名実ともに4月相場入りとなった1日の東京株式市場は、これまでとは様相が一変、日経平均株価が前営業日比2675円高の5万3739円と5営業日ぶりに急反騰に転じた。今年最大の上昇幅であることはもちろん、歴代でも4位に入るという記録的な上昇パフォーマンスで高値引けとなった。個別株をみてもプライム市場の値上がり銘柄数が何と97%を超えている。AIによる自動売買プログラムの作動なくしては、この数字が弾き出されることはなさそうだ。

 中東情勢に対する見方が楽観的な方向に傾き、足もとでリスクオフの巻き戻しが生じている。前日は欧州時間の段階で既に流れは変わっていたものの、欧州各国の株式市場はまだ上昇幅としては限定的であった。しかし、米国株市場では取引後半にかけて全体指数は上昇ピッチを強め、NYダウは1125ドル高で高値圏での着地。ナスダック総合株価指数も795ポイント高で取引を終え、上昇率でダウを大幅に上回った。「トランプ米大統領がホルムズ海峡の解放を待たずに、イランに対する軍事攻撃を終了することに言及した」と伝わったのは前日の話だが、この時点で市場ではまだ懐疑的な部分もあったはずである。しかしその後、これに加えてイラン大統領が戦争終結の用意があるというニュースヘッドラインが踊ると、投資マネーは堰を切ったようにマーケットになだれ込む展開へと変わった。停戦に関してトランプ氏が何を発言しても、イラン側は交渉が行われたことすら真向否定していたのがこれまでの経緯であったが、ここに至って状況は大きく変化した、とマーケットは判断したようだ。きょうの東京市場もその奔流に乗る形となった。

 東京市場では、今回の中東有事がトリガーとなった相場の調整局面で、純カラと言われる戦略的なショートの占める割合が少なく、一方で記録的な買い残の膨張に伴う需給悪が背景に横たわっていた。しかし、直近データである前週末3月27日現在では信用買い残(東京・名古屋2市場合算ベース)が4週ぶりに3600億円あまり減少し5兆4419億円となり、対して信用売り残は5200億円の大幅増加で1兆5420億円まで急膨張した。ざっくり売り残は1.5倍化したことになる。にわかに売り方が跋扈(ばっこ)する気配が漂い始めていた。

 そして、今週明け3月30日の相場は3月の権利落ち日と重なったが、配当権利落ち云々に言及する必要がないくらい売り一色の地合いとなり、売り方の思惑がそのまま投影されるような相場だった。前日も乱高下の後、結局800円あまりの下げでリスク回避ムードに染まったが、売り方にすればここが買い戻すチャンスだったということになる。前述のようにAIトレードの影響も大きいと思われるが、今の相場は投資家心理が錯綜する暇(いとま)もないほどのスピードで舞台が回っていく。

 きょうは新高値銘柄(年初来高値)がプライム市場だけで84銘柄、スタンダード市場で40銘柄、グロース市場で13銘柄の計137銘柄も出ている。新高値銘柄の数が3ケタ台となるのは、3月3日以来約1カ月ぶりとなる。その意味ではホルムズの呪縛が解けたともいえなくはないが、きょうの怒涛のリバウンドは、今後の戻り相場を担保するということとは違う。また、大方の期待通り中東における停戦が実現したとしても、これによって相場を取り巻く環境が一夜にして変わるわけではない。原油価格の動向はもちろん、世界的な長期金利の上昇傾向に歯止めがかかるのかどうかを見極めていく必要がある。リバウンドの初動は総花的な上昇で、ホルダーは一様に恩恵を享受できるが、ショートカバーが一巡した後が問題であり、強い銘柄と弱い銘柄が徐々に色分けされていくことになる。

 強い銘柄を探すという観点であれば、きょう年初来高値を更新した銘柄の中にハイパフォーマンス候補が潜在している確率が高い。いくつか候補を挙げると、まず藤倉化成<4620.T>。樹脂系コーティング材で世界的に競争力が高く、導電性樹脂材料など電子材料も手掛ける。AIデータセンター関連のシンボル株の一角を担うフジクラ<5803.T>が筆頭株主である。また、化学用ポンプのリーディングカンパニーである日機装<6376.T>、半導体加工用研磨材を手掛ける富士紡ホールディングス<3104.T>、医療用ガイドワイヤー・カテーテルを手掛ける朝日インテック<7747.T>などの押し目はチェックしておきたい。このほか、食品価格の上昇は消費者にとっては難儀だが、食品メーカーにとっては買い控えの対象となりにくい分野で収益面の追い風が意識される。日本ハム<2282.T>やmeito<2207.T>などはその対象となり得る。これ以外の個人消費関連では、メルカリ<4385.T>も好チャートだ。

 あすのスケジュールでは3月のマネタリーベース、週間の対外・対内証券売買契約が、いずれも朝方取引開始前に開示され、前場取引時間中に10年物国債の入札が予定されている。後場取引時間中には3月の財政資金対民間収支が発表される。個別では霞ヶ関キャピタル<3498.T>の26年8月期中間決算(25年9月~26年2月)発表が行われるほか、ユニクロの3月国内既存店売上高が開示される。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にビタブリッドジャパン<542A.T>が新規上場する。海外では、週間の米新規失業保険申請件数、2月の米貿易収支が注目される。なお、フィリピン市場、イスラエル市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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