三井郁男氏【大荒れ続く日本株、新年度入りの4月相場の展望は?】 <相場観特集>

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コラム

―日経平均下げ幅一時2800円超も下げ渋り、中東情勢の悲観後退で調整一服なるか―

 30日の日経平均株価は下げ幅が一時2800円を超え、昨年大納会の終値に接近した。終値は1487円安と下げ渋ったが、イランを巡る軍事衝突が始まってから1ヵ月あまりが経過し、ボラティリティの高い大荒れのマーケットが続いている。紛争の長期化懸念が広がるなかで国内では新年度入りとなる。この先の展望について、アイザワ証券投資顧問部ファンドマネージャーの三井郁男氏に話を聞いた。

●「過度に弱気なポジション構築は困難」

三井郁男氏(アイザワ証券 投資顧問部 ファンドマネージャー)

 中東での軍事衝突が収束に向かうかどうか読めないなか、中東情勢が景気や業績に悪影響を及ぼすという悲観的なストーリーをマーケットは織り込もうとしている。リスク回避ムードが続き、好財務株やブルーチップ(優良株)を含めて値持ちのよかった銘柄に対する売り圧力が強まった。だが、トランプ米大統領を通じて停戦に向けた話が突然出てくる可能性もあり、過度に弱気なポジションは構築しにくい。

 AIが業務用ソフトウェアを代替するとのシナリオを踏まえたSaaS株の下落や、プライベート・クレジットを巡る悲観に加え、イエメンの親イラン武装組織フーシ派によるイスラエルへの攻撃も直近で明らかとなり、悪材料が重なっている。新年度に入ると国内の金融機関の一部が利益確定売りを先行させ、需給を悪化させるとの警戒感も広がっている。更に、日銀が4月の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの見方も台頭するようになり、これらを含めて株価調整に至った印象もある。円安がインフレにつながるという認識は一般的なものとなっており、個人的には6~7割程度の確率で4月会合において利上げが決まる可能性があると考えている。この先1ヵ月間の日経平均は5万~5万5000円の範囲で推移するとみているが、セリング・クライマックスの局面では一時的に5万円を下回ることも想定される。

 トランプ大統領による中国訪問までに、中東紛争を巡る落としどころがどのように出てくるのか、注視すべき局面が続きそうだ。今回の紛争は投資の観点においても、米国一極集中のあり方について再考を促す出来事だと言える。マネーの分散化が進むのであれば、バリュエーション調整が進み過熱感が後退した日本株はその受け皿となっていくはずだ。短期では慎重姿勢が必要なフェーズにあるものの、日経平均5万円近辺の価格帯は、EPS(1株利益)などの面で中長期的な日本企業の変化を評価する投資家にとっては買い場となる。

 悲観が後退した際にはブルーチップや好財務株が優先的に選好されるとみられるが、国策の追い風を受けるテーマに絡んだ銘柄への物色意欲も高まることになるに違いない。フィジカルAI関連としてダイフク <6383> [東証P]や安川電機 <6506> [東証P]、防衛関連で三菱重工業 <7011> [東証P]など重工大手や日本製鋼所 <5631> [東証P]、レアアース関連において商社株、エネルギーの領域では原子力発電関連として日立製作所 <6501> [東証P]や三菱電機 <6503> [東証P]といった銘柄に注目が集まりそうだ。

(聞き手・長田善行)

<プロフィール>(みつい・いくお)
1984年からファンドマネージャーとして日本株運用を40年以上にわたり続ける。国内銀行投資顧問、英国の投資顧問会社、国内大手信託銀行を経て、投資顧問会社を設立。2013年からアイザワ証券の投資顧問部で日本株ファンドマネージャー。自ら企業調査するボトムアップ運用を続けている。

株探ニュース

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