明日の株式相場に向けて=実質新年度は波乱の開幕、今そこにある危機

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 週明け30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1487円安の5万1885円と続急落。前週後半から数えて3日続落となったが、きょうの下げは実質年度替わりで警戒された通り、かなり強烈なものとなった。配当権利落ち分は日経平均で350円程度と試算されているが、そんなことは関係ないと言わんばかりの暴力的な下げで、一時下落幅は2800円あまりに達した。後場に入ると先物主導のインデックス買いが寄与して下げ幅を急速に縮小したものの、実需で買い向かう動きは限定的なものにとどまった。これまで相場の主軸を担ってきたAI・半導体関連主力銘柄に関しては、足もとで機関投資家がリスク回避目的で持ち高を減らす動きを顕在化させ、その受け皿となっているのが個人投資家という構図となっている。イラン情勢は依然として予断を許さず、過去の成功体験を拠りどころに買い向かう個人マネーの蛮勇が今回も報われるかどうかは不透明だ。

 米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃は収まるどころか更に苛烈化する方向で、地上戦の準備に入ったとの観測報道も相次いでいる。トランプ米大統領は中間選挙を意識して、和平合意に向けての道筋を探っているようにも見えるが、「イスラエルのネタニヤフ首相が極めて好戦的で単独でも構わずに動く。トランプ大統領も、弱みでも握られているのかこれを止めることができない」(ネット証券アナリスト)という。トランプ政権はイランに対し“北風政策”一辺倒であるため、イランとしても態度を硬化させる一方だが、何らかのディールを持ち出そうにもネタニヤフ氏がそれを是としないという事情が窺われる。

 こうした状況下、今週は国内外で重要指標の発表が相次ぐ。需要なき物価上昇への警戒の度合いが緩むのか、それとも不安心理を増幅させるのか、長期金利や株価動向にも密接にかかわるだけに注目が怠れない。国内では明日31日に3月の都区部消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、明後日4月1日に日銀短観が開示。海外でも明日発表の2月の米雇用動態調査(JOLTS)や、明後日の3月の米ISM製造業景況感指数、そして週末3日には3月の米雇用統計に耳目が集まることになる。中東情勢の緊迫化を背景としたディマンドプル型ではないインフレの加速は、スタグフレーション思惑の火種となっている。「火種としてはまだ小さい段階」(生保系アナリスト)という指摘だが、最近はこの火種の存在がメディア上で頻繁に踊るようになっているのも事実である。つれて投資家の意識下でこのネガティブワードが次第に存在を肥大化させていく気配も漂う。

 仮に今後、イラン停戦あるいは和平合意のシナリオが現実に動き出したとしても、相場的にはこれで一件落着とはならない可能性がある。中東有事によって立ち上がったスタグフレーションの兆しは、AI投資絡みで火を噴き始めたプライベート・クレジット問題と絡み、新たなリスクステージに歩を進めるケースが考えられる。米国でブルー・アウル問題に端を発したファンド解約制限の連鎖が一朝一夕に解決するとは考えにくく、こちらは米アンソロピック・ショックの余波が延々と続いている。少なくともAI関連株に対する「持たざるリスク」というひと頃のコンセンサスが、大きく変質していることは否定できない。

 株式需給面では、今回の株価波乱局面がこれまでと大きく異なる点がある。それは空売りの仕掛けがあまり入っていないということだ。これまで、先物などを絡めた売り仕掛けがあっても株価は結局持ちこたえて切り返し、半ば強制的な買い戻しを誘発して倍返しのリバウンドに転じるというパターンが繰り返されてきた。いわゆる踏み上げ相場の肥やしになってきたことから、売り方も容易にポジションが組めなくなっている。

 つまり、今回は売り方の仕掛けで崩れているのではなく、機関投資家の実需売りによる部分が大きなウエートを占めている。前述したように買い向かっているのは信用取引枠を存分に活用した個人投資家だ。国内ネット証券の前週末時点の信用評価損益率はマイナス6.9%と、「過熱しているとまでは言わないが、非常に良好な投資マインドを裏付ける数値」(ネット証券マーケットアナリスト)であり、裏を返せば今はまだ投げ売り(セリング・クライマックス)」には程遠い段階で、むしろ現在進行形で押し目を買いまくっている状況だ。今、買い向かっている向きが投げる時が来るとすれば、それがセリング・クライマックスということになる。いずれにしても今は上値にしこりのない中小型株が優位性を発揮しやすいが、総論として基本は待ちの姿勢が望まれる。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の都区部消費者物価指数(CPI)、2月の失業率、2月の有効求人倍率、2月の鉱工業生産速報値、2月の商業動態統計が発表されるほか、前場取引時間中に2年物国債の入札が予定されている。後場取引時間中には2月の自動車輸出実績、2月の建機出荷、2月の住宅着工統計などが開示される。海外では3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、3月の中国非製造業PMI、3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値のほか、米国で重要指標発表が相次ぎ、1月の米S&Pコタリティ・ケース・シラー住宅価格指数、3月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、3月の米消費者信頼感指数、2月の米雇用動態調査(JOLTS)などにマーケットの関心が高い。また、この日はバーFRB理事がディスカッションに参加するほか、ボウマンFRB副議長が講演を行う予定でその内容が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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