明日の株式相場に向けて=5万円割れでホルムズの呪縛は解けるか

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 3連休明けとなった23日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1857円安の5万1515円と大幅続落。一時は2600円を上回る下落で5万600円台まで急落する場面があった。75日移動平均線をマドを開けて下抜ける格好となったが、次は心理的なフシ目である5万円大台ラインが意識されるところ。きょうのところは5万1000円台まで水準を戻して引けたものの、ショートカバー以外で純粋な買いは入れにくいタイミングにある。それは直近のトランプ発言が影響している。

 トランプ米大統領が21日、「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければイランの発電所を攻撃する」と表明した。だが、ある意味この脅しに対してイランが素直に言うことを聞くくらいなら、そもそもここまで中東有事が続くことはなかったわけで、当然ながらこれを拒否。イラン側は同国の発電所が攻撃された場合は「ホルムズ海峡を完全に封鎖する」と逆に警告した。こうなると、トランプ大統領の翻意、つまり“TACO”以外に戦局は泥沼化の経緯をたどることになる。タイムリミットは日本時間のあす午前8時44分という時刻で、図ったように前場取引が開始される直前という時間帯である。TACOトレードに賭けるなら、ここは買い向かう選択肢も考えられるところだが、僥倖を期待して敢えて蛮勇を振るう局面ではなさそうだ。

 日本の場合は何といっても中東産原油に依存しており、オマーン産原油を除きその大部分がホルムズ海峡を経由するという事実がのしかかる。オマーン同様に地理的な制約がないイエメンは原油生産量がわずかであり、あとは紅海を経由できるサウジアラビア産原油があるとはいえ、実際このコースはイエメン沖の地政学リスクが伴い難しい。もちろん原油生産は中東だけではないが、「WTIや北海ブレント原油は軽質油で、重質油の中東産の代替は不可能ではないものの、製油設備の構造面から精製コストがかかるため、言うほど簡単な話ではない」(ネット証券アナリスト)という。

 日本だけがエネルギーリスクに晒されているわけではなく、他のアジア諸国、例えば韓国なども同様であり、このホルムズ問題で韓国KOSPIの下落率の大きさは日経平均やTOPIXと同じような状況にある。そして、外国為替市場で円は韓国のウォンと同様、通貨安も警戒されている。円安・原油高騰の同時進行によって増幅されたコストプッシュ型の物価上昇圧力は、経済全般に重いボディーブローとなっている。韓国市場と東京市場は類似点が多いが、異なるとすれば韓国の方が半導体などのハイテク株比率が高いこと。とすればKOSPIの下落圧力が強いはずだが、実際は75日線を下抜けたのは東京市場の方が先となった。折悪しく、AIインフラへの過剰投資が絡んだプライベート・クレジット問題も潜在的なネガティブ材料として歯車が回転し始めた気配があり、株式市場に吹く向かい風はにわかに突風と化してきた印象だ。

 日本にとって光明もある。19日に開催された高市早苗首相とトランプ氏の日米首脳会談は成功裏に終わったという見方で一致している。ホルムズ海峡の封鎖に関してもエネルギーの安定した供給に際し米国との連携を確認した。トランプ氏は安倍元首相の系譜を継ぐ高市首相に明らかに好印象を抱いていることは間違いなく、これが石破前首相の時との決定的な差である。対米投融資で次世代小型原子炉(SMR)が第2号案件の一つに挙がっており、既に日立製作所<6501.T>と米GEベルノバ<GEV>が協業することが決まっているが、これも全体相場が落ち着けば、有力な投資資金のシフト先として改めてクローズアップされる形となりそうだ。きょうはプライム上場銘柄の95%の銘柄が下落する文字通りの全面安商状だったが、そのなか日立は下落したものの、朝方の売り一巡後は急速に値を戻し、結局1%安と小幅な下げにとどまった。

 他方、今後の相場を占ううえで需給面から警戒されるのは、今回の波乱含みの下げ局面では売り方の買い戻しがあまり機能しにくいことがある。相場用語でいうところのケツ入れが利いて売り建玉がかなり軽くなった状態にあるからだ。対して信用買い残は極めて高水準に積み上がっており、この逆回転が顕在化すると、想定以上の下げに見舞われる懸念は拭えない。これまで懸念はされても現実には回避されてきた追い証ラッシュに火が付けば、そこは本当の買い場となる可能性があるのだが、現状の信用評価損益率を考慮すると「追い証が多発する状況は日経平均で5万円を大きく割り込むような局面に遭遇した場合」(ネット証券アナリスト)とし、まだその段階にはないことを指摘している。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される2月の全国消費者物価指数(CPI)が注目されるほか、国際決済銀行(BIS)国際資金取引統計及び国際与信統計の日本分集計(昨年末時点)が開示される。前場取引時間中に40年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には2月の食品スーパー売上高、2月の百貨店売上高が発表される。海外では3月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値、3月の独PMI速報値、3月の英PMI速報値が発表され、米国でも3月のPMI(S&Pグローバル調査・速報値)のほか、2025年10~12月期の労働生産性指数などが注目される。米2年物国債の入札も行われる。なお、インドネシア市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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