明日の株式相場に向けて=「勝ち易きに勝つ」は国策にあり

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 きょう(11日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比776円高の5万5025円と続伸。今回の波乱相場における下値模索局面で、抵抗ラインとして頭上に覆いかぶさっていた5日移動平均線を見事にブレーク、同移動平均線も上向き転換という局面に持って行ったのは大健闘といえる。だが一方で、取引終盤になると弱気の虫が顔を出して伸び悩んだ。日経平均は一時1300円を上回る急伸をみせ、前日に敢然と買い向かった個人投資家の歓喜の声が聞こえそうな場面に遭遇したが、後場取引後半は電池切れのような状態となった。クロージングオークションで何とか踏ん張って5万5000円台回復は果たしたものの、先行きに不安が残る着地であった。これは余談だが、あと2銭高ければ上げ幅は777円高となるところ。フィーバーにも紙一重の差で届かなかった。

 今回の下落相場で個別に最も個人投資家の視線を浴びていたのはキオクシアホールディングス<285A.T>でもアドバンテスト<6857.T>でもなく、ソフトバンクグループ<9984.T>であったと思われる。2月の中旬に4954円の高値をつけてからの崩れ足は結構なインパクトがあるが、この下落過程で信用買い残は増え続けた。きょうは満を持して大幅高で切り返したのだが、後場の取引序盤にこの日の高値をつけ、その後は上値の重い展開で上げ幅を縮小。きょう1日の値動きを5分足でみると日経平均とソフトバンクGは見事に合致したチャートを形成している。ソフトバンクGは全体相場の縮図となっている。

 全体急落の後は、ファンダメンタルズは問われず、売り込まれた銘柄からリバウンドも大きくなるという原理が働く。しかし、ここから先は徐々に選別色が強まっていく。全体相場が買い一巡となっても上値指向を維持する銘柄をどう選んでいくか、これが課題となる。孫子の兵法が説くところの「勝ち易きに勝つ」は株式投資でも重視されるコンセプトだ。投資資金の目に留まりやすい場所を探す。高市トレードが盛り上がったのも好循環のなせる業で、分かりやすい旗印があったからこそ資金が集まりやすく、それだけ回転が利きやすいというメカニズムが働いた。その観点に立てば国策ロードを走る銘柄群に目を向けておくのが有効だ。折よく前日10日に、高市政権が掲げる17の重点投資分野に関して動きがあった。官邸で開かれた日本成長戦略会議において優先的に投資支援対象とする61製品・技術が示されており、今後品目ごとに官民投資ロードマップを作成し、成長戦略に実装していく運びとなる。

 その61製品・技術のラインアップから、いくつか浮かび上がる銘柄をピックアップしてみる。まず「AI・ロボット関連(フィジカルAI)」では低位のCYBERDYNE<7779.T>が強さを発揮している。また、株価指標面から割安感が際立つエムケー精工<5906.T>もマークしたい。メカトロ技術に定評があり、食品用充填機と協働ロボットをパッケージ化した職人技レベルの製品を開発している。ドローンの進化系である「空飛ぶクルマ関連」としてはザインエレクトロニクス<6769.T>に照準を合わせてみたい。既にTerra Drone<278A.T>と資本・業務提携を行い開発に本腰で取り組んでいる。また、ザインはAIデータセンターの隠れテーマである光半導体関連の一角でもある。「環境負荷の低い次世代造船技術」では三井E&S<7003.T>に改めてスポットが当たりそうだ。今回の全体波乱相場で13週移動平均線を割り込んだものの、平行してすぐ下を走っていた26週線がサポートラインとして機能、ここからの戻りに期待したい。

 投資家の関心が高い「ペロブスカイト太陽電池関連」ではケミプロ化成<4960.T>の押し目買いや、チャートに崩れが見られないマナック・ケミカル・パートナーズ<4360.T>などが要注目となる。また、同関連では休火山状態にあるフジプレアム<4237.T>なども覚醒が待たれる銘柄で、400円台前半をクリアできれば需給面から上値には真空地帯が広がる。「レアアース関連」では第一稀元素化学工業<4082.T>の急騰習性に火がつけば3000円近辺までの戻りは十分に期待できそうだ。岡本硝子<7746.T>も同様である。

 番外では、当欄でも複数回取り上げてきた任天堂<7974.T>の戻りが鮮烈となった。時価総額13兆円近い銘柄が、きょうはマドを開け垂直上昇パフォーマンスを演じた。売買代金もキオクシアに次ぐ2位と気を吐いている。任天堂を追撃買いするのは、実際かなり胆力がいるが、“任天堂エフェクト”の及ぶ銘柄に視点を切り替える手段はある。例えば、ソフトの不具合検査を行うデジタルハーツホールディングス<3676.T>に目を向けておく方が戦い上手といえるかもしれない。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、26年1~3月期法人企業景気予測調査がいずれも朝方取引開始前に発表される。前場取引時間中に2月のオフィス空室率、後場取引終盤に2月の投信概況が開示される。個別ではGENDA<9166.T>が26年1月期決算、タイミー<215A.T>が26年4月期第1四半期(25年11月~26年1月)決算をそれぞれ発表予定。海外では中国で全国人民代表大会(全人代)が閉幕するほか、トルコ中銀が金融政策決定会合で政策金利を決定する。米国では週間の新規失業保険申請件数、1月の貿易収支、1月の住宅着工件数などに市場の関心が高い。米30年国債の入札も行われる。このほか、ボウマンFRB副議長の講演が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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