明日の株式相場に向けて=大陰線25日線下方ブレイクは崩落の序曲か

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 きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2033円安の5万4245円と大幅安で3日続落。相場はいくつかあるシナリオのもっとも厳しい選択肢に進んだ。日経平均はマドを開けての大陰線で25日移動平均線に触れることもなく下抜け、これは単なる調整では終わらない雰囲気を醸している。75日移動平均線が位置するのは5万2606円。昨年5月のゴールデンウィーク明け以降、下回ることのなかった75日線がセーフティーネットとなるのであれば、ここからはひたすら買い下がって報われるはずだが、警戒材料として押さえておかなければならないのは約20年ぶりという高水準に積み上がった信用買い残だ。

 直近(前日まで)の信用評価損益率はネット証券大手店内でマイナス3%と依然として天井圏を示唆している。日経平均のポジションもジェットコースターで言えば最上層のスタート地点から発進したばかりというタイミング。仮に75日線攻防まで下がれば、追い証ラッシュの入り口に立つ。AIアルゴリズムによる先物を絡めた株安誘導で、投げ売りに火が付けば4万円台に沈んでも不思議はない。

 名実ともに3月相場入りとなった2日、2月と同様の「二日新甫」でいきなりマーケットを取り巻く空気が凍り付いた。日経平均は793円安と大幅な下げに転じたが、翌3日に1778円安、そしてきょうは2033円の下落と、雪だるま式に下げ幅を拡大してきた。3営業日合計で4600円強下落したが、1日当たりの下げ幅が終値段階で2000円を超えたのは昨年4月7日以来(2644円安)となる。

 24年以降は毎年相場が大波乱に遭遇している。24年8月初旬に「令和のブラックマンデー」と称された大暴落に見舞われたのはまだ記憶に新しい。この時は8月5日・月曜日に日経平均は4451円安を記録したが、その前の週から数えた3営業日合計では7600円あまりも水準を切り下げた。当時の日経平均は3万円台後半の水準だったことから、今より体感的にはパニックの度合いも高かった。そして昨年4月上旬にも暴落局面に遭遇したが、実際は3月27日からリスクオフ相場がスタートしており、4月7日の2644円安まで8営業日(8日連続安ではない)で6900円あまりの下落を記録している。令和のブラックマンデーから昨年4月の波乱相場までの日柄が約8カ月で、今回の波乱はそこから約11カ月後に起こったことになる。株式市場をクールダウンさせる定期的なガス抜きといえなくもないが、それもどこかで長期上昇トレンドの終焉が訪れ、ガラスの階段を踏み砕く場面がイメージされる。ただし、今回はまだそこには至っていないという印象が強い。地政学リスクが株式市場の長期トレンドを崩壊させるというケースに直結しないことは、これまでの相場の歴史が証明している。

 とはいえ、今回のトランプ・ネタニヤフ連合によるイラン攻撃に始まった中東有事の着地点が見えなければ株式市場は迷走を続けそうである。市場関係者いわく「一番理想的な着地はトランプ大統領がタコる(TACO)こと」(ネット証券アナリスト)で、米国にとって不利益な戦争であると判断すれば、トランプ氏が翻意する可能性は十分にある。ホルムズ海峡を航行するタンカーに米海軍が護衛し、保険も提供するというが、このコストは米国にのしかかる。また、イランは現在5000基以上の未使用ドローンを保有しているといわれるが、1基当たりの製造コストは日本円にして1000万円程度とされる。「(これに対して)米国が製造する迎撃ミサイルは1台10億円平均で、仮にドローン撃墜という観点に立てば経済的に全く割に合わない」(同)という指摘がある。ビジネスマン出身のトランプ氏が、許容できなくなるまでそれほど時間を要さないという意見もある。

 他方、今回の暴落は本質的には中東情勢の緊迫化がもたらしたものではないという解釈もある。中東有事はトリガーを引いたに過ぎず、本当の理由はバリュエーション調整であり、いわゆる膨らんだバブルを潰すプロセスに入ったという見方。「日米ともに企業業績は好調であり、株高を肯定できる環境にある」という主張が大手を振っていたが、これには詭弁的な要素も否めない。実際にEPSが上昇しても、現状で日経平均ベースのPERは20倍と歴史的にみてもかなり高いという事実を拭い去ることは不可能。来期以降、飛躍的にEPSが上昇していくという根拠はどこにもなく、割高なPERを解消するには株価が下落するよりない。たとえばPERを15倍まで下げるには株価は25%調整する必要がある。日経平均にしてざっくり4万2000円程度まで水準を切り下げなければ帳尻が合わない。中長期的にはそこまでの下げがあっても、破綻しないポートフォリオを考える必要がある。

 あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示される。前場取引時間中に30年物国債の入札が行われるほか、2月の車名別新車販売台数、2月の車名別軽自動車販売台数の発表が予定されている。個別では積水ハウス<1928.T>の26年1月期通期決算が開示される。海外では中国で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開幕する。また、1月のユーロ圏小売売上高、週間の米新規失業保険申請件数、10~12月期の米労働生産性指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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