桂畑誠治氏【一時1500円安、目先波乱相場とどう対峙するか】 <相場観特集>

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コラム

―米国のイラン攻撃で不透明感も、押し目買いで報われるか―

 週明け2日の東京株式市場は日経平均株価が波乱含みの値動きとなり、一時1500円以上の急落を見せる場面があった。その後は下げ渋ったものの、前週の地合いとはガラリと眼前の景色が変わった。にわかにリスクオフの流れが強まるなか、個人投資家サイドとしても動揺しやすい状況に置かれている。全般3月相場入りで2025年度末に向けた最終盤に突入するが、日経平均の着地点に対する思惑が錯綜するなか、どのように相場と向き合えばよいのか。第一生命経済研究所の桂畑氏にここからの相場展望を聞いた。

●「当面不安定な地合いも期末までに6万円台は十分射程」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 東京株式市場は前週末の米株安に加え、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃が、リスク回避の流れに拍車をかけ、日経平均が一時1500円を上回る下げで5万7200円台まで売り込まれる場面があった。ただ、その後は前週の上昇相場に乗り遅れた投資資金の参戦もあって戻り足に転じている。中東の地政学リスクの高まりが原油価格を高騰させ、前週末の米株安と相まって投資家マインドを弱気に傾けたが、きょう取引時間中は原油先物の上昇幅が縮小するのを横目に押し目買いを誘導した。OPECプラスが4月に増産を再開することで合意したと伝わっており、これが上昇に歯止めをかけ、つれて株式市場でも好感される格好となった。

 当面、東京市場は上下にハイボラティリティな値動きとなることが予想され、その点は注意が必要となるが、イラン側の対応次第と言える部分はあるものの、中期的には徐々に落ち着いていく展開を想定している。イラン側が核開発を放棄しない構えをみせるとともに長距離ミサイルも排除しない姿勢を示していることで、今回のトランプ米政権の決断は大義名分が立つが、今年の中間選挙を意識した動きと捉えられる。軍事力に差があるため、結局はイラン側が折れる形で収束に向かう公算が大きく、中東有事による株式市場のリスクオフもそうは長く続かないのではないか。原油価格の動向はインフレ圧力につながるため、東京市場でも警戒されるが、現状は過度に懸念する段階にはないといえる。

 他方、英住宅金融会社への貸し倒れが警戒されて米株市場で大手銀行株が売られ、東京市場にもこの銀行株安が波及しているが、これに関しても英住宅金融の二重担保などの不正行為疑義に絡む固有の悪材料であって連鎖的な要素には乏しく、全体相場のトレンドを崩壊させるほどのインパクトはないとみている。

 日経平均の3月期末までの株価推移としては、波乱含みの展開となったとしても下値は5万5000円前後で歯止めがかかるのではないか。上値については中東情勢が落ち着くことを前提に、前週末2月27日につけた史上最高値5万8850円を上抜き、6万円台に乗せるケースも十分に可能なシナリオとみている。物色対象としては、半導体主力銘柄は押し目を段階的に拾うスタンスであれば買いで対処できる。また、当面は防衛関連株への波状的な資金流入が予想される。銀行セクターに関しては米国発の金融波乱の懸念は限定的だが、日銀の金融政策スタンスが、審議委員人事などをみてもハト派寄りに傾く可能性があり、高値警戒感がしばらくは意識されやすいため、安易に買い向かわず様子を見たい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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