【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 「金利ある世界」で株価に明暗、投資家の取るべき戦略とは?

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コラム

「『金利ある世界』で株価に明暗、投資家の取るべき戦略とは?」

●真逆の金融政策を推し進める日米中銀

 FRB(米連邦準備制度理事会)が0.25%の利下げに踏み切る一方、日銀は0.25%の利上げを実施した。主要国の中央銀行がここまで明確に真逆の金融政策をとる局面は極めて珍しく、今後の展開を考えるうえで最重要の市場変動要因となる。しかも、この動きは12月に限ったことではなく、2026年~27年にかけても米国は景気減速への備えとして利下げを継続し、日本は物価と賃金上昇を背景に段階的に利上げを続ける可能性が高い。

 では、以上のような違いにより、市場にどんな変化が生じるのか。為替市場では円高圧力がじわじわと強まりやすいだろうし、株式市場ではこれまで優位に立っていた「米国一強」の構図が揺らぎ始める。私はこう見ている。つまり、米国株は金融緩和が下支えとはなるものの、成長期待が先行して上昇を牽引してきたAI(人工知能)・ハイテク株は選別色が強まり、勢いを失う銘柄が増える恐れがある。

 一方の日本市場は、金利上昇が重しとなりつつも、内需拡大と構造改革を背景に、分野ごとの明暗がよりはっきりする展開となる。こう見ておきたい。投資家が取るべき対応は、

 (1)金利上昇に弱い高PER(株価収益率)銘柄への過度な集中を避ける。
 (2)円高耐性があり、価格転嫁力や国策の後押しを受ける企業に目を向ける。

以上となる。具体的には、高市政権が主導する 国土強靱化、 防衛・インフラ、エネルギー効率の改善、国内設備投資関連、金融機関などが有望分野となろう。

●金利上昇、国策に沿う有望銘柄をチェック!

 そこで、まず注目したいのが、オリックス <8591> [東証P]になる。もちろん、 リース業界首位企業だ。私も複合機をこの会社のリースで長年利用しているのだが、いまではリース事業の枠を越えて、企業買収や投資、ファンド組成などあらゆる分野に展開し、収益を着実に伸ばし続けている。そのため、市場での人気は高いものの、実質的な評価は低くPERは11.3倍に過ぎない。今後、次第に見直されると予想している。

 米国での意外な需要増が見込める製品を製造しているマックス <6454> [東証P]も魅力的だ。トランプ政権が不法移民の排斥に積極的なため、建設現場で人手不足が深刻化している。そのため、マックスの鉄筋結束機や金網切断工具などの需要が拡大しており、株価は強い動きが続くだろう。

 高市政権の国土強靱化への注力は来年から本格化することになるため、大成建設 <1801> [東証P]にも注目したい。25年9月末現在で3兆円を超える受注残を抱えており、仕事に当面不自由することはない状態だ。仕事がなくて困っている企業からすると、羨ましい限りとなるため、株価も続伸の確率が高い。

 製造業向けなどシステム開発や大学向けパッケージソフト、医療機関向けレセプト管理などに強いのが日本システム技術 <4323> [東証P]。企業などの経営効率化に不可欠なDX(デジタルトランスフォーメーション)を提供しているため、収益は着実に伸び続けると見てよく、株も期待が持てる。

 最後に、ソリトンシステムズ <3040> [東証P]を。改めてアサヒグループホールディングス <2502> [東証P]やアスクル <2678> [東証P]の例を持ち出すまでもなく、ランサムウエアなどのネットシステム攪乱による身代金要求は脅威だ。しかも、今後も続発する恐れがある。それを防ぐにはサイバーセキュリティ企業に頼るしかなく、ソリトンは防衛・防災など公共性の高い分野に強いだけに、株価の上昇はまだ止まりそうにない。

2025年12月19日 記 (次回は2026年1月1日に更新予定)

株探ニュース

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