師走IPOスタート、本年最大級「SBI新生銀行」などに関心集まる <株探トップ特集>

投稿:

コラム

―15社が新規上場を予定、グロース市場改革で25年の上場銘柄数は減少―

 12月に突入するとともに、「師走IPO」がスタートした。例年12月は新規上場の銘柄数が3月と並び最も多くなる時期でもあり、IPOは1年を締めくくるイベントとなる。特に、今年は本年最大級のIPOとなるSBI新生銀行 <8303> [東証P]が登場し関心を集めている。2025年は、東証グロース市場改革の影響もありIPO銘柄数は昨年に比べ減少する見込みだが、 12月IPOが今年1年の相場を飾ることが期待されている。

●12月第1号のBRANUは堅調なスタート

 12月は15社の新規上場が予定されている。昨年に比べ2社の減少となる。その内訳は東証プライム市場が2社、スタンダード市場が3社、グロース市場が10社というものだ。12月1POの第1号銘柄として1日に東証グロース市場に新規上場したBRANU <460A> [東証G]の初値は公開価格を69%上回った。同社は中小建設事業者に特化した各種ITサービスの提供などを行っており、堅調なスタートを切った。

 例年12月は1年のうちでIPOが盛り上がる時期であり、今年も3月(12社)を上回る最多の銘柄数が登場する。現時点では公開価格が未定の銘柄も多いが、上場時の時価総額が100億円を超える銘柄も少なくなく、IPOの脱小型化の流れは続いているようだ。

●25年IPO銘柄数は67社程度と低水準に

 25年を通じたIPO銘柄数は67社程度(ダイレクトリスティング、REIT含む)となった模様だ。昨年に比べ19社ほど減少する見通しで13年の54社以来、12年ぶりの低水準となるようだ。このIPO銘柄数の減少は「東証グロース市場改革」の影響が大きいとみられる。同改革では、新たな上場維持基準を「上場から10年経過後に時価総額40億円以上」から「上場5年経過後に100億円以上」へ引き上げ、30年3月1日以降に新基準を適用する。グロース上場企業は、機関投資家の投資対象となり得る規模(100億円以上)へ早期に成長することが求められている。

 また、プライム市場に上場する大型株が物色される一方、グロース市場に上場する中小型株は依然として物色の圏外となる銘柄が多いことも影響しているようだ。ただ、初値が公開価格を下回る公募割れ銘柄も11月までで6銘柄と減少傾向にあることはプラス要因だ。

●SBI新生銀行は銀行株人気の追い風に乗れるか

 そんななか、12月IPOの最大の注目銘柄となるのが、17日に上場するSBI新生銀行だ。仮条件から弾いた資金吸収額は約3700億円と3月に上場したJX金属 <5016> [東証P]に続き今年2番目で、時価総額は約1兆2980億円と今年トップの規模となる。旧新生銀行が21年12月にSBIホールディングス <8473> [東証P]の傘下となり、23年1月に現社名に変更。同年9月に上場廃止。25年7月に公的資金を完済し、今月再上場する。SBIグループの中核銀行として「第4のメガバンク構想」を通じた地域金融機関との連携を進めている。26年3月期の連結純利益は前期比18.3%増の1000億円の見通し。足もとの銀行株人気の追い風に乗ることができるかが注目される。

 また、16日にプライム市場に上場するNSグループ <471A> [東証P]も資金吸収額が390億円前後、時価総額が770億円程度の大型上場となる。同社は家賃債務保証サービスを展開。21年に米投資ファンドのベインキャピタルが資本参加している。今回のIPOでは公募増資はなくファンドの売り出しのみとエグジット色が濃い。

●FUNDINNOやフィットクルー、AlbaLinkなど登場

 5日にはFUNDINNO <462A> [東証G]が登場する。同社は株式投資型クラウドファンディングサービスを提供するプラットフォーム事業を運営。スタートアップ企業へ資金調達の機会を提供するほか、投資家には未上場株式への投資機会を作っている。資金吸収額は約18億円、上場時の時価総額は140億円台の見込み。12日にはフィットクルー <469A> [東証G]が登場する。同社は女性専用パーソナルトレーニングジムやパーソナルトレーナー養成スクールの運営などを行っている。資金吸収額は8億円前後、時価総額は20億円台の見込みと小型だ。

 15日には、AlbaLink <5537> [東証G]が上場する。同社は流動性が低下している不動産の買い取り再販事業やコンサルティングなどを展開している。空き家対策関連銘柄としての側面を持つ。資金吸収額は20億円台、時価総額は100億円前後の見通し。

●ミラティブやパワーエックス、フツパーなど注目

 18日にはミラティブ <472A> [東証G]が登場する。ライブ配信プラットフォーム「Mirrativ」の開発・運営を行っている。推し活関連の側面も持ち、25年12月期の業績は黒字転換の予想だ。資金吸収額は70億円台、時価総額は140億円台の見込みだ。

 19日にはパワーエックス <485A> [東証G]、辻・本郷ITコンサルティング <476A> [東証S]、ギミック <475A> [東証S]の3社が同時上場する。なかでも、パワーエックスは大型蓄電池の製造販売、EVチャージステーションのサービス展開などを行う。同社の資金吸収額は110億円強、時価総額は430億円前後だ。24日にはPRONI <479A> [東証G]とフツパー <478A> [東証G]が上場する。フツパーは製造業向けAIサービスの提供を行っている。資金吸収額は30億円台、時価総額は90億円前後。25日にはリブ・コンサルティング <480A> [東証G]が登場する。同社は総合経営コンサルティング業務などを展開。資金吸収額は10億円台、時価総額は60億円前後の見込みだ。


■12月IPO一覧
上場日  コード・上場市場 企業名     主幹事
12月1日 460A・東G BRANU       みずほ
  5日 462A・東G FUNDINNO    野村
  12日 469A・東G フィットクルー     みずほ
  15日 5537・東G AlbaLink    野村
  16日 471A・東P NSグループ      SMBC日興、大和
  17日 8303・東P SBI新生銀行     野村、SBI
  18日 472A・東G ミラティブ       三菱UFJ、大和
  19日 476A・東S 辻・本郷
           ITコンサルティング  SBI
  19日 475A・東S ギミック        野村
  19日 485A・東G パワーエックス     三菱UFJ、SMBC日興
  22日 477A・東G スタートライン     みずほ
  23日 483A・東S テラテクノロジー    SBI
  24日 479A・東G PRONI       大和
  24日 478A・東G フツパー        SMBC日興
  25日 480A・東G リブ・コンサルティング SMBC日興
(注)東Pは東証プライム、東Sは東証スタンダード、東Gは東証グロース



株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。