鈴木英之氏【日経平均は一時1000円超下落、年末相場の行方】(2) <相場観特集>

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コラム

―日銀利上げを警戒し買い手控え、物色の方向性に変化は出るか―

 週明け1日の東京株式市場は日経平均株価が大幅反落し、一時1000円を超える下げで4万9000円台前半まで一気に水準を切り下げた。日銀による利上げ観測がにわかに高まるなか、全体相場は再び波乱含みの様相。18~19日に開催される日銀金融政策決定会合で利上げが行われるとの見方が売りを誘導した。12月の相場展望はどうなるのか、個人投資家にとっても気になるところである。年末を目前にした東京市場の見通しと物色の方向性について、雨宮総研代表の雨宮京子氏と、SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏にそれぞれの見解を聞いた。

●「年末は5万円前後で着地も、TOPIX優位の展開に」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

 12月相場の日経平均株価のレンジは4万8000~5万2000円前後を想定している。やや幅広い値動きも予想されるが、結局、年末は5万円前後で着地する展開を見込んでいる。

 師走相場に入ると「掉尾の一振」という言葉が聞こえてくるが、過去10年程度を振り返っても12月のパフォーマンスはさほど良いわけではない。今年は10月に日経平均株価が前月比で16%強上昇しており、12月が伸び悩んだとしても年間ベースでは良好な結果が期待できそうだ。2026年度の企業業績は今期に比べ10%超の増益が予想されており、新年の株高に向けて期待をつなげることはできると思う。

 12月は日米の金融政策の決定会合がある。米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが行われそうだが、日本では今日の植田和男日銀総裁の発言で0.25%の利上げの可能性が浮上している。日経平均株価は5万円近辺の水準にあり、いまは利上げがやりやすい状況といえるのかもしれない。12月利上げがあった場合、市場の関心はあと何回利上げがあるかに移りそうだが、「新年に1回」との見方も出ているようだ。金融政策の着地点がみえてくれば、徐々に不透明感は後退することが期待できる。当面は12月の日銀金融政策決定会合を意識しながら、相場は徐々に落ち着きを取り戻す展開を見込んでいる。

 足もとの相場は、日経平均株価が急伸する格好で拡大したNT倍率(日経平均をTOPIXで割った倍率)を修正する局面とみており、TOPIX優位の展開を予想している。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]など銀行株や高配当利回り株に投資妙味があると思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。


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