雨宮京子氏【日経平均は一時1000円超下落、年末相場の行方】(1) <相場観特集>(訂正)

投稿:

コラム

―日銀利上げを警戒し買い手控え、物色の方向性に変化は出るか―

 週明け1日の東京株式市場は日経平均株価が大幅反落し、一時1000円を超える下げで4万9000円台前半まで一気に水準を切り下げた。日銀による利上げ観測がにわかに高まるなか、全体相場は再び波乱含みの様相。18~19日に開催される日銀金融政策決定会合で利上げが行われるとの見方が売りを誘導した。12月の相場展望はどうなるのか、個人投資家にとっても気になるところである。年末を目前にした東京市場の見通しと物色の方向性について、雨宮総研代表の雨宮京子氏と、SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏にそれぞれの見解を聞いた。

●「当面は調整も押し目は国策重視で買い」

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

 東京市場は12月相場入り早々荒れた地合いで、日経平均は再び軟調な動きとなっている。年末相場はいったん下値を試す展開も想定しておくところだ。指数寄与度の高いAI・半導体関連の主力株など、これまで相場のリード役を担ってきた銘柄の調整色が強まっていることで上値が重い展開になることが予想される。個人、機関投資家ともに保有者が多いソフトバンクグループ <9984> [東証P]が急落し、上値にシコリを作ったことで戻りもままならず、全体相場の調整局面を意識せざるを得ない。

 12月開催の日銀金融政策決定会合で利上げ観測が高まってきたことも警戒され、日経平均が年内に11月4日につけたザラ場高値5万2636円87銭を更新するのは難しいと考えている。もっとも今上期の決算発表で明らかとなったように国内企業の業績が堅調であることはファンダメンタルズ面から追い風といえる。需給面では中間配当の再投資などが期待されるなか、下値に対しても抵抗力を発揮しそうだ。

 更に「責任ある積極財政」を打ち出している高市早苗政権への世論調査による評価は良好で、長期金利上昇への懸念もあるとはいえ、国策を重視した動きが中期的に相場を支えることになりそうだ。年内の日経平均のレンジとしては上値が5万1000円前後、下値は11月下旬の安値水準である4万8500円近辺とみている。ここをオーバーシュートするケースも当然考えられるが、そこはイレギュラーと捉え、売り買いともに反対売買のタイミングとみておきたい。

 個別株では、まず日本製鉄 <5401> [東証P]に着目。国内の設備投資需要拡大を追い風に素材関連の代表格として早晩見直されそうだ。次に、蓄電池アグリゲーションビジネスの先行きに期待が膨らんでいるイーレックス <9517> [東証P]もマークしたい。また、富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]が先端半導体材料のテーマでスポットが当たる可能性が出てきた。同社は旧富山化学工業を傘下に擁しておりバイオ関連の切り口でも注目できる。

 このほか、今最も時流に乗る投資テーマと言っても過言ではないデータセンター関連株では、光デバイスや測定器を手掛けるsantec Holdings <6777> [東証S]をはじめ、データセンター建築設備用バルブを製造する総合バルブ最大手のキッツ <6498> [東証P]、同じくデータセンター向け空調機器を製造する新晃工業 <6458> [東証P]などに目を向けたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て、日経CNBC解説者に。


※「訂正」の表記は、配信の際に編集部の不手際により、一記事内に本文が二重に掲載される事象が生じたため訂正作業を行ったことによるものです。雨宮京子氏の発言などインタビューの内容に誤りはございません。

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。