窪田朋一郎氏【AI関連株物色に異変? 年内の相場展望を読む】 <相場観特集>
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―グーグルの最先端AIモデル開発に絡み思惑錯綜、相場も気迷いモードに― 25日の東京株式市場は日経平均株価が反発したものの、朝高後は値を消す展開で小幅な上昇にとどまった。追加利下げ期待を背景に米ハイテク株が上昇したことは東京市場においてもポジティブ材料ながら、AI・半導体関連株にひと頃の勢いが失われていることは気がかりである。今後の相場展望と物色の方向性について、個人投資家の動向にも詳しい松井証券の窪田朋一郎氏に話を聞いた。 ●「日経平均4万5000円前後への深押しも視野」 窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト) 3連休明けとなったきょうの東京市場だが、前日の米国株市場でナスダック総合株価指数が2.7%高と大きく水準を切り上げたことを受け朝方は買いが優勢となったが、寄り後すぐに上げ幅を縮小するなど日経平均株価は思いのほか重い値動きとなった。これは、これまでのAI関連が主導してきた相場に流れの変化が生じていることが背景にある。 前日の米株市場ではグーグルを傘下に有するアルファベットが6.3%高と値を飛ばし、これを好感したハイテク株全般に投資資金を誘導したが、エヌビディア は上昇したとはいえ、上げ幅は2%程度にとどまり75日移動平均線をクリアできずに終わるなど戻り売り圧力が表面化している。グーグルの開発した最先端AIモデルである「Gemini(ジェミニ)3」への高評価がアルファベットの株価のみならず、全体相場の押し上げに貢献した。しかし、高性能で低コストであることへの評価が、オープンAIの相対的な企業価値に対する評価を低める結果となり、これがきょうのソフトバンクグループ <9984> [東証P]の株価が大幅続落した背景ともなっている。東京市場では、指数寄与度の高いソフトバンクGの下げが日経平均にも反映された。 米国ではFRBによる追加利下げ期待が再び高まっていることが、マーケットにはプラスに働きやすい。ただ、日本国内に目を向けると債券売りの動きが止まらず、長期金利の上昇が目立っていることが警戒視されている。仮に10年債利回りが2%台に入ってくると、債券の売りが加速することも考えられ、株式市場もリスクオフに大きく傾く可能性が高まるため注意が必要だ。債券安、円安を加えたトリプル安懸念もくすぶるなか、年内は日経平均の下値リスクを意識せざるを得ない。上値は5万円トビ台を上限に下値は4万5000円近辺まで深押しする可能性もあると考えている。また、相対的に強さを発揮しやすいTOPIXの年内のレンジについては3200~3500のゾーンを想定している。 物色対象としては、当面はソフトバンクGやアドバンテスト <6857> [東証P]は下げの反動による短期的なリバウンドはあるとしても、値ごろ感からの押し目買いには慎重な姿勢が求められる。大林組 <1802> [東証P]、清水建設 <1803> [東証P]などゼネコンをはじめとした建設株や、三井物産 <8031> [東証P]や三菱商事 <8058> [東証P]といった商社株などへのバリュー株シフトを念頭に置くところ。このほか、銀行セクターでは京都フィナンシャルグループ <5844> [東証P]のような財務体質の強固な規模の大きい地銀株もマークしておきたい。 (聞き手・中村潤一) <プロフィール>(くぼた・ともいちろう) 松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「グロース市場信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」など、これまでにない独自の投資指標を開発。また、投資メディア部長としてYouTubeチャンネルやオウンドメディア「マネーサテライト」を運営。 株探ニュース
