田部井美彦氏【5万円大台攻防、ここは買い場かそれとも見送りか】(2) <相場観特集>

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コラム

―高市政権に意識される逆風、物色の方向性に変化の兆しも―

 17日の東京株式市場は日経平均株価が続落したが、上下に不安定な値動きで一時5万円大台を割り込む場面があったものの、その後小幅ながら上昇に転じる場面もあった。前週末の米国株市場では米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ期待が後退したことを背景にNYダウが続落となった。これを受けて東京市場でもリスク回避の売りが優勢だったが、下値では押し目買いニーズも強く思惑が錯綜している。12月年末相場に向けた今後の株式市場の見通しと物色の方向性について、第一生命経済研究所の桂畑氏、内藤証券の田部井氏にそれぞれ意見を聞いた。

●「5万円挟んだレンジ相場に、バリュー株優位の展開も」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 年末を視野に入れた、今後1ヵ月程度の日経平均株価は5万円ラインを挟んだレンジ相場を予想している。具体的には、年内は4万8000~5万2000円前後での展開を想定している。

  AI関連株には日米ともに物色に過熱感があり、利益確定売りが出やすい状況だ。19日にはエヌビディアの決算発表があり、その結果を確かめる必要がある。また、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが先延ばしされる可能性も出ている。米金融政策とエヌビディアの決算などを確かめる必要があるが、ハイテク株は一服場面が続くことが予想される。来年1月中旬からの米国の決算発表でAI関連株などに対して、新たな見方が出てくるかがポイントだと思う。

 当面はハイテクなどグロース株よりバリュー株が優位となる展開を予想している。基本に戻り、株主還元強化銘柄や低PBR株などを見直す展開となりそうだ。

 日中関係の悪化が警戒要因となってきており、インバウンド関連株には手が出しにくい状況となっている。ただ、いまのところ日本株全体にまで影響は広がってはいないようだ。今週末の20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)などを経て状況が落ち着くかどうかを確かめていくことになりそうだ。

 個別銘柄では、エンターテインメント関連株としてソニーグループ <6758> [東証P]には再評価余地があるとみている。また、生活用品のライオン <4912> [東証P]や花王 <4452> [東証P]、それにピジョン <7956> [東証P]など。更に、防衛関連で特に造船に絡む三菱重工業 <7011> [東証P]や川崎重工業 <7012> [東証P]、三井E&S <7003> [東証P]などにはなお投資妙味があると思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


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