【植木靖男の相場展望】 ─11~12月が株価の分岐点か

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コラム

「11~12月が株価の分岐点か」

●補正予算の規模、日銀の金融政策がカギに

 日経平均株価は10月末にかけて着実に上伸歩調を強めていたが、月替わりとなった11月4日、さすがに過熱感が意識されて反落に転じた。その後は米国でのハイテク株安をきかっけに、東京市場でもハイテク、AI(人工知能)関連株などに売りが広がった。これまでソフトバンクグループ <9984> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]など限られたAI・半導体関連株が日経平均株価を引き上げてきただけに、これらが崩れると、全般に調整色を強めてしまう。

 ただ、この過程で2つの注目すべき点があり、留意したい。

 1つは、11月5日の急落だ。日経平均株価は1284円安となったが、高値でのこの下げ幅は通常ならかなりの先安感となる。だが、その後はほぼ横ばいにとどまっている。これは珍しいことだ。そして11月12日、13日と上げ、早くも買い転換かと思われたが、ここが曲者(くせもの)、週末14日は再び大きく下げてしまった。どうも気迷い商状の典型である。

 とはいえ、11月4日から素直に大きく下げ続けなかったことが、もう1つの注目点となる。それは TOPIX(東証株価指数)の踏ん張りだ。TOPIXはこれまで日経平均株価の上昇に比べ出遅れていたが、11月12日には史上最高値を更新して逆転の様相をみせている。ちょうど米国株高を、NYダウとナスダックが支え合っている構図と似ている。

 さて、今後をどう見るか。物色面からは、これまで日経平均株価を押し上げてきたAI関連株が休みに入り、逆にTOPIX、つまり建設や金融などのバリュー株(割安株)が台頭するのか。はたまた交互物色となるのか。見極めにはいましばらくの時が必要だろう。

 全般相場はどうか。日経平均株価の最終目標値は黄金比率では5万円ほどだが、これはすでに達成している。では、高値示現で、相場はもう天井を打ったのか。だが、それは通常のケース、すなわち景気変動サイクルが平常のケースの話だ。

 かつて大正時代、第一次世界大戦の戦争景気が終了し、株価が大きく下落した後、再び米騒動をきっかけに食品価格が急騰。これに連動した株価が最高値を再び更新した例があるが、今回はこの時と酷似している。当時の再上昇した期間が約1年。これを今回に当てはめると、2026年春頃まで上昇する可能性があるということになる。

 これが正しいかどうかは、11~12月の高市政権の政策如何にかかっている。具体的には補正予算の規模、そして日銀の利上げ政策次第といえよう。

●AI関連の逆張り、内需好業績の押し目買いで対処

 今後の物色動向だが、現状では先行きの判断は難しい。仮にバブル化が進むとすれば、少しずつこれまでのAI関連株からバブル株に転じていくとみられるが、まだそこまで変化は明らかではない。また、バリュー株が買われているといっても、折しも4-9月期決算発表で非製造業の7割が増益であることが背景にあり、成長性からみればなおAI・半導体関連株への支持は大きい。

 だとしたら、高市政権の政策に見極めがつくまでは、AI関連株は大きな逆張りが正しいとみることができるし、内需株については好業績銘柄、すなわち建設、金融などは押し目の積極買いといった判断が正しいのではないか。

 筆者は大正時代と同じバブル化がさらに進むとみている。しかし、だとしても未だどのような銘柄が輩出してくるのかはメドが立たない。

 当面は建設、不動産、金融、電力・ガス、医薬品などのセクターをフォローしつつ、住友不動産 <8830> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]、東京ガス <9531> [東証P]に注目したい。

2025年11月14日 記

株探ニュース

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