最高値圏でも遅くない、10万円以下で買う「優待付きバリュー株」7選 <株探トップ特集>

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コラム

―AIブームの相場でも割安感、「ほったらかし投資」の有効な選択肢に―

 TOPIXが最高値を連日で更新し、日経平均株価が5万円を上回って堅調な動きとなっている。AI・半導体株主導の株高がどこまで続くのか、見極めは難しいものだが、過去をみると相場が佳境に入った際に低位株が大きく値を上げることがある。割安な株には割安な理由があるものの、配当や株主優待があれば、インカムゲインによる広義の「クッション効果」で下値リスクは軽減される。更に、低位株に関する実証研究では、値がさ株よりも良好なパフォーマンスを示すという傾向が確認されている。株式市場のアノマリー(経験則)を踏まえつつ、本命のポートフォリオとは別建てで配当や優待を享受し続けるというのも、効果的な投資戦略となるはずだ。

●低位株乱舞の局面は来るのか

 一般に上げ相場の最終局面では、経験と資力の乏しい投資家が増え、少額で投資可能な銘柄群が物色されやすくなると言われている。誰の目にも割安と思われる銘柄が少なくなればなるほど、単純に価格の安い株に投資家の目線が向かい、低位株が動意づくことがある。もちろん、割安株には割安となっている理由があり、業績が芳しくないこと、無配または減配が見込まれること、財務面に不安があることなどが挙げられる。業績や財務がさほど悪くない銘柄を厳選すべきなのは言うまでもない。

 割安株と判断するための基準としてPBR(株価純資産倍率)がある。PBRが1倍を下回る場合、株価<1株純資産、または時価総額<自己資本簿価の状態にある。株主に帰属する自己資本の時価である株式時価総額が自己資本の帳簿価額を下回っている状況は、時価が簿価に対してディスカウントされている、つまり割安ということになる。

 割安・低位株は不人気ゆえに放置された状況にあるため、買ってすぐに上がるということは滅多にないと覚悟すべきである。業績の好転や配当予想の増額、財務再編など好材料が出るまで、配当や優待を受け取りながら、じっくり待つ必要がある。株価3ケタ台の銘柄で1単元(100株)ならば、購入価格は10万円以下。10銘柄なら投資総額は100万円以下となる。配当・優待妙味のある割安株を、「ほったらかし投資」の一環として保有するのも一法だろう。

 優待銘柄に関して言えば、制度内容の改定や撤廃などは経営者の裁量による。廃止された場合は、「優待族」と呼ばれる株主優待ファン層の持ち株売却によって値下がりが想定される。近年では優待廃止とともに、増配や自己株取得などの別の株主還元の手当てがなされる場合も多いものの、リスクとして認識しておくべきだろう。

●年2回以上の優待銘柄は貴重品

 優待銘柄は通常、決算期末時点の株主を対象とするため、配当落ちも相まって権利落ち日の価格下落が大きくなりやすい。その意味で、年に複数回(2回以上)の優待があれば、期末の価格変動を抑制できる可能性がある。何より、半年ごとにプレゼントがもらえれば、嬉しいものだ。小売・流通関連は、株主優待に積極的な業界と言える。自社販売品の提供や自社店舗の割引など優待内容もさまざまだ。だがそれなりに人気がある銘柄が多く、株価低位かつ低PBRの銘柄はさほど多くはない。

◎ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> [東証S]

 イオン <8267> [東証P]系の食品スーパー大手で、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東、いなげやを傘下に持つ。優待は年2回、2月と8月だ。100株以上の株主を対象に、株主優待券(100円割引券30枚)または飲食料品などの優待品から選択する方式で、株数が増えると優待内容も上乗せされる。業績面では収益性の低さが否めず、25年2月期は、営業収益8112億7300万円に対して純利益8億1000万円に過ぎない。経営統合効果が発現して同業他社並みになれば、利益率は大きく改善する可能性がある。

◎ヤマダホールディングス <9831> [東証P]

 家電量販店首位のヤマダデンキを中核に、M&Aも駆使して住宅や家具、金融、環境にも事業領域を広げている。優待は年2回(3月と9月)、100株以上500株未満の株主ならば、自社店舗で利用可能な買物優待券(3月は500円分、9月は1000円分)が付与され、株数による上乗せもある。今期からスタートした新中期経営計画では、グループシナジーの追求により、成長戦略と収益性向上を図り、30年3月期にはROE(自己資本利益率)を8.5%(25年3月期は4.5%)へ引き上げる方針だ。中期計画の進捗によっては株価評価が一変する可能性もあるだろう。

◎朝日放送グループホールディングス <9405> [東証P]

 関西地区の民間放送大手で、テレビとラジオを兼営、テレビ朝日系列の準キー局としての地位を占める。優待は年2回(3月と9月)。100株以上500株未満の場合、QUOカード(500円分、年間1000円分)が付与され、株数による上乗せもある。業績面では、テレビ広告の市況に左右されるが、関西地区では高視聴率を維持していること、住宅展示場などライフスタイル事業が貢献していることなどから、相対的に安定している。強固な財務基盤を背景にM&Aも活用し、コンテンツやライフスタイルといった非放送事業を拡大する方針だ。

●長期保有による優待上乗せなどにも注目

 株主優待について、保有期間が長くなれば優待内容を拡充させる例もある。発行会社にとっては長期安定株主の確保という目的があるためだが、株主にとってもメリットは大きくなる。また、これまで取り上げた銘柄にも当てはまるが、保有株数を増やせば優待内容がグレードアップする例もある。当初は単元株(最低単位)で買ってみて、状況に応じて買い増しを検討するという方法もいいかもしれない。

◎ヨロズ <7294> [東証P]

 サスペンションなど自動車足回り部品製造が主力。日産自動車 <7201> [東証P]向けが売上高の6割を占める。優待は年1回(3月)、100株以上1000株未満の株主を対象に、1000円相当のQUOカードまたは商品が付与され、1年以上なら2000円分に、3年以上なら3000円分に増額される。株数増加による上乗せもある。主納入先の自動車生産台数には懸念もあるものの、減損を含めて一定の生産体制再編も進み、他メーカー向け拡販、電動化対応、非自動車展開などで挽回する方針だ。

◎コロナ <5909> [東証S]

 石油ストーブ大手として有名だが、ヒートポンプ給湯器「エコキュート」など住宅設備機器、空調・家電機器にも事業展開している。優待は年1回(3月)、100株以上500株未満の株主を対象に、QUOカード(500円分)が付与され、500株以上、1000株以上と、保有株式数が増えるにつれて株式数の区分に応じて増額される。足もとの業績はエアコンの価格競争などによって低調となったが、暖房機器は堅調なもよう。ヒートポンプ・電化事業の拡大と収益性向上により、PBRの倍率が高まる可能性もあろう。

◎メディアスホールディングス <3154> [東証P]

 医療機器商社の大手として、国内外の最先端医療機器から消耗品までを医療機関に納入している。優待は年1回(6月)、100株以上500株未満の株主を対象に、QUOカード(1000円分)が付与され、500株以上なら6000円分に増額される。国内の医療機器市場は、メーカー、地域、商材によって細分化されており、4兆円弱のマーケットに約1000の商社がひしめいている。同社は、M&Aや業務提携を駆使し、事業規模拡大・シェアアップを図っている。メーカーにとっては日本全国への販売ネットワークが望ましく、医療機関ではワンストップでの資機材納入が望ましく、ともに業務効率化志向が高まっている。その意味で事業拡大余地は大きい。

◎MERF <3168> [東証S]

 富山を拠点とする金属商社が発祥で、美術工芸品、銅合金インゴット、金属資源リサイクルに事業展開。今年1月に黒谷から商号変更した。優待は年1回(8月)、100株以上500株未満の株主を対象にQUOカード(500円分)が付与され、500株以上、1000株以上なら増額される。業績は銅の国際市況に連動する傾向があり、仕入れと販売のタイムラグ(スクラップを含む)があるため、市況上昇時にはマージン拡大と在庫評価益もあって利益が出やすく、市況下落時にはマージン低下、在庫評価損が出やすくなる。銅鉱石の全量を海外から輸入しているわが国にとっては不可欠な静脈産業の中の1社とも言えるだろう。

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