NTT本格参入で熱視線、成長ロード疾走する「自動運転」関連株 <株探トップ特集>

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コラム

―目前に迫るレベル4の社会実装、運転手不足などの課題解決に期待―

 NTT <9432> [東証P]は4日、自動運転関連サービスに特化した新会社「NTTモビリティ」を12月15日に設立する予定だと発表した。車両の提供・保守などの管理に加え、走行エリアの構築やマップ作成などの導入支援、運行トレーニングプログラムの提供、遠隔監視システムの構築を一貫して提供するという。自動運転を巡る技術は日々進化しており、今後の更なる普及が想定されることから関連銘柄を改めて見直しておきたい。

●技術革新の中心テーマに

 政府が目標としてきた「レベル4自動運転の実用化」が現実のものになろうとしている。自動運転はレベル0(自動運転する技術が何もない状態)からレベル5(条件なく、すべての運転操作を自動化)までの6段階に区分されているが、レベル4は「自動運転車(限定領域)」と呼ばれ、例えば自動車専用道や特定の敷地内・送迎ルートなど限定された領域で、システムによる自動運転が行われるもの。運転手不足が社会問題として広く認識されるなか、2023年4月に道路交通法が改正されたことでレベル4での公道走行が可能となり、全国各地で実証実験が進んでいる。

 自動運転が普及すれば、現在抱えている公共交通の運転手不足や交通渋滞といった課題の解決が期待できるほか、移動の自由度が高まることで生活や街づくりが大きく変わる可能性がある。政府は「27年度までに100カ所以上でレベル4の自動運転移動サービスを実現する」との目標に向け注力姿勢にあり、国土交通省が8月下旬に公表した26年度予算の概算要求では物流・自動車局が「自動運転(レベル4)法規要件の策定事業」として前年度予算の1.2倍となる2億3100万円を計上している。

 各国及び自動車メーカーが電気自動車(EV)の普及目標や生産・販売計画を後退・縮小する動きをみせるなか、自動車業界の技術革新の中心テーマは自動運転に絞られそうだ。

●自動車メーカー以外にも商機

 国内自動車メーカーでは、トヨタ自動車 <7203> [東証P]が27年度にレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指しているほか、日産自動車 <7201> [東証P]も27年以降に遠隔監視設備を備えたレベル4相当のモビリティサービスを提供する計画。ホンダ <7267> [東証P]は10月、自動運転などの新たな機能開発に生かすため、人工知能(AI)技術に強みを持つ米ヘルムaiへの追加出資を発表した。また、直近では大和自動車交通 <9082> [東証S]が自動運転への移行を見据え、同業の国際自動車(東京都港区)や配車アプリを手掛けるS.RIDE(同)と業務提携するといった動きもみられている。

 このほか自動運転の関連銘柄では、ダイナミックマッププラットフォーム <336A> [東証G]がこのほど、トヨタ子会社のウーブン・バイ・トヨタに高精度3次元地図データの提供を開始したと発表。これを活用することでウーブン・バイ・トヨタが使用するシミュレータツール上に実際の道路環境をより速く、かつ現実に近い形で構築することが可能になるという。

 エスペック <6859> [東証P]は10月、高度加速寿命試験装置に大型基板の試験に対応したモデルをラインアップした。生成AIやデータセンター、自動運転など先端技術分野で用いられる電子部品は小型化や高性能化が進んでおり、開発期間短縮のため加速試験の需要が高まっていることに対応したとしている。

 アイサンテクノロジー <4667> [東証S]とA-Drive(横浜市港北区)は10月、国交省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」で採択された地方公共団体が実施する全国67の事業のうち、重点支援自治体3地域、一般支援自治体14地域の合計17地域に参画することを明らかにした。

 これ以外では、自動運転向け組み込みソフトウェア開発を手掛けるソーバル <2186> [東証S]、自動走行向け遠隔運行管理システムなどを開発した実績のあるシステナ <2317> [東証P]、遠隔運転システムを提供するソリトンシステムズ <3040> [東証P]、自動運転を支える画像処理技術に強みを持つモルフォ <3653> [東証G]、大阪・関西万博で自動運転バスの走行ルートにおけるセルラー通信の品質を測定・可視化する取り組みを実施したアンリツ <6754> [東証P]、対象物の位置や形状を計測するセンサーであるLiDARを展開する小糸製作所 <7276> [東証P]などにも注目したい。

●バス・タクシーなど目標設定

 国交省は10月31日、第3次交通政策基本計画(素案)に対する意見の募集を開始した。同計画では30年度までにバスやタクシー、トラックを含むレベル4の自動運転車両を1万台普及させる目標が掲げられている。

 直近ではマクニカホールディングス <3132> [東証P]傘下のマクニカが、独自の遠隔運行管理システム「everfleet(エバーフリート)」を基盤とした遠隔運行管理センターを、自動運転EVバスの定常運行を実施している茨城県常陸太田市に開設したと発表。同センターを中核拠点として、今後全国で運行される自動運転車両を一元的に管理し、安全で持続可能なモビリティ社会の実現を目指すという。

 神奈川中央交通 <9081> [東証P]は10月、神奈川県平塚市と持続可能な地域公共交通の実現に向け、いすゞ自動車 <7202> [東証P]製「エルガ EV 自動運転バス」を用いた既存バス路線での実証運行を全国で初めて実施すると発表。試運転は10~12月中旬、実証運行は12月中旬から来年1月下旬を予定している。

 豊田通商 <8015> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]傘下のみずほリサーチ&テクノロジーズ、日本工営(東京都千代田区)、先進モビリティ(茨城県つくば市)の4社は10月、経済産業省と国交省が推進する「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」の一環として、新東名高速道路で自動運転トラックの総合走行実証を開始したと発表。いすゞ、日野自動車 <7205> [東証P]、三菱ふそうトラック・バス(川崎市中原区)、UDトラックス(埼玉県上尾市)の4社も参画し、官民連携による最終段階の実証となる。

 東急不動産ホールディングス <3289> [東証P]傘下の東急不動産は10月、T2(東京都千代田区)が27年に開始を目指すレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスを見据えて戦略的業務提携を締結したと発表。これにあわせて両社の連携強化のため、東急不HDが出資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドを通じて、T2への出資も完了した。

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