株価指数先物 【週間展望】―ソフトバンクGの決算がトリガーになる可能性
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今週の日経225先物は、11日発表のソフトバンクグループ<9984>[東証P]の決算が相場の方向転換につながる可能性があり、投資家の注目を集めそうだ。先週の日経225先物は11月4日につけた5万2700円をピークに調整し、5日には5万円の大台を一時割り込み4万9110円まで売られた。5万円割れでは押し目待ち狙いのロングも入り、その後は概ね5万円~5万1000円辺りのレンジで推移。終値での5万円台はキープしつつも、週末7日には4万9680円まで下げる局面もあった。 調整を強めた要因として、ソフトバンクグループとアドバンテスト<6857>[東証P]といった指数インパクトの大きい値がさの半導体・人工知能(AI)関連株の下げのインパクトの大きさがある。7日の日経平均株価は607円安だったが、この2銘柄で630円超押し下げた形である。もっとも、10月第5週(10月27日- 31日)をみると、24日にアドバンテストがストップ高で日経平均株価を1社で1000円超押し上げていた。この2社の動向を睨みながら、先物市場ではヘッジ対応などを含めて連動性が高まりやすく、結果、先週は下へのバイアスが強まりやすかった。 決算発表が本格化するなかで、米国市場でAIデータ分析プラットフォームのパランティア・テクノロジーズが急落したことがトリガーになったとの見方もある。同社が3日に発表した四半期決算は市場予想を上回ったものの、著名投資家が率いるファンドによるプットポジションの保有が明らかとなり、同社株は4日に8%近く下落した。半導体・AI関連株に対する割高感が意識されて、東京市場でもこれまで相場を牽引してきた関連銘柄に持ち高調整の売りが強まった。 指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げが見込まれるなかで、日経225先物ではショートが仕掛けやすくなった。上向きで推移するボリンジャーバンドの+1σと+2σによるレンジで推移してきたこともあって、+1σを割り込んだこともショートを入れやすくさせたのだろう。中心値である25日移動平均線と+1σとのレンジに移行するなかで、5万円割れも想定される形だったとみられる。 日経225先物は先週の調整によって上向きで推移する25日線に接近する場面もみられ、いったんは調整一巡からリバウンドが試される水準ではある。ただし、このリバウンドも前述のソフトバンクグループの決算反応次第であろう。同社の決算がポジティブ視される形でリバウンドを強めてくると、先週に調整がみられた他の半導体・AI関連株への買い戻しに向かわせ、先物市場でもロングが入りやすい。一方で、ネガティブな反応となれば、25日線割れから-1σ(4万7680円)水準が射程に入ることも考えられる。 ボリンジャーバンドは先週の調整の影響によって下向きに転じており、+1σは5万0910円、+2σが5万2530円に下がってきた。バンドが収斂をみせてくることで、下へのバイアスが強まる展開が意識されてくることも考えられよう。これまで長期的に支持線として機能していた25日線を割り込んでくると、戻り待ち狙いのショートが入りやすい需給状況になりそうだ。これらのトリガーになり得るのが、ソフトバンクグループの決算となろう。 7日の米国市場でNYダウは上昇したが、米連邦政府の一部閉鎖の解除に向けた動きが進展するとの思惑から、主力株の一角に買い戻しが入ったようである。ただし、半導体・AI関連株への持ち高調整は続いており、ナスダックは下落。東京市場では週初は前週の下落に対する自律反発狙いの動きがありそうだが、戻り待ち狙いのショートスタンスに向かわせそうだ。 まずは、5万円固めを意識した押し目狙いのロング対応とし、5万0500円を挟んだオプション権利行使価格の5万円から5万1000円のレンジを想定。その後のソフトバンクグループの決算を受けた株価の反応次第では、下は4万8000円から5万円、上は+1σ突破を意識した5万円から5万2000円のレンジとみておきたい。ソフトバンクグループの反応が限定的であれば、米国市場次第の面はあるものの、25日線が支持線として意識されて、やや押し目待ち狙いのロングが入りやすくなろう。 7日の米VIX指数は19.08(6日は19.50)に低下した。週間(10月31日は17.44)では上昇している。先週は半導体・AI関連株への持ち高調整が強まったほか、大手金融機関のCEO(最高経営責任者)が株価調整について触れたこともあり、VIX指数は上昇傾向をみせた。7日に一時22.72まで急伸する局面もみられたが、終値では20.00を下回っている。足もとでリバウンド基調を強めているが、センチメントを測るうえで20.00を上回って終えるようだと、市場心理をやや神経質にさせそうである。ただし、20.00近辺で上値を抑えられる状況では、過度な警戒感は強まらず、リスク選好に傾きやすい状況である。 先週末のNT倍率は先物中心限月で15.27倍(6日は15.34倍)に低下した。週間(31日は15.73倍)でも下落している。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の下げのインパクトが大きく、結果的にNTロングを巻き戻す動きに向かった。一時15.16倍まで下げてきており、25日線(15.12倍)が射程に入ってきたことで、いったんリバランスが意識されそうだが、一方で25日線を明確に下回ってくると、NTロングの巻き戻しが強まる可能性があろう。ただし、ソフトバンクグループの動向を受けて短期の仕掛け的な動きが日経225先物に入りやすく、その後のリバランスは意識しておきたい。 10月第5週(10月27日-31日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの売り越しであり、売り越し額は1893億円(10月第4週は6335億円の買い越し)だった。なお、現物は3459億円の買い越し(同6436億円の買い越し)と5週連続の買い越し。先物は5353億円の売り越し(同101億円の売り越し)と3週連続の売り越しだった。個人は現物と先物の合算で1219億円の売り越しと2週連続の売り越し。信託銀行は現物と先物の合算で2645億円の買い越しとなり、2週ぶりの買い越しだった。 主要スケジュールでは、11月10日に日銀金融政策決定会合の主な意見(10月29日・30日開催分)、9月景気動向指数、11日に10月景気ウォッチャー調査、13日に10月国内企業物価、米国10月消費者物価指数、14日にオプションSQ、中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高、米国10月小売売上高、米国10月生産者物価指数などが予定されている。ただし、米国では政府機関の一部閉鎖が長期化しているため、経済指標の一部は公表が遅れる可能性がある。 ――プレイバック・マーケット―― ●SQ値 11月限 日経225 39901.35 TOPIX 2765.26 12月限 日経225 39434.85 TOPIX 2738.68 01月限 日経225 39343.19 TOPIX 2726.70 02月限 日経225 39432.64 TOPIX 2775.06 02月限 日経225 39432.64 TOPIX 2775.06 03月限 日経225 36483.79 TOPIX 2684.98 04月限 日経225 32737.29 TOPIX 2418.70 05月限 日経225 37572.13 TOPIX 2733.00 06月限 日経225 38172.67 TOPIX 2776.06 07月限 日経225 40004.61 TOPIX 2830.46 08月限 日経225 41368.58 TOPIX 3004.82 09月限 日経225 45016.28 TOPIX 3175.61 10月限 日経225 48779.14 TOPIX 3241.66 ◆日経225先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/12 11月07日 50750 51040 49680 50310 -550 25/12 11月06日 50450 51380 50300 50860 +330 25/12 11月05日 51540 51600 49110 50530 -980 25/12 11月04日 52600 52700 51510 51510 -960 ◇TOPIX先物(日足) 始値 高値 安値 清算値 前日比 25/12 11月07日 3307.0 3324.5 3270.5 3294.0 -19.5 25/12 11月06日 3274.5 3326.5 3268.0 3313.5 +35.5 25/12 11月05日 3312.0 3314.5 3202.0 3278.0 -32.0 25/12 11月04日 3345.0 3356.0 3308.5 3310.0 -24.0 ●シカゴ日経平均 円建て 清算値 前日大阪比 11月07日(12月限) 50410 +100 11月06日(12月限) 50220 -640 11月05日(12月限) 51205 +675 11月04日(12月限) 51200 -310 11月03日(12月限) 52565 +95 ※前日比は大阪取引所終値比 □裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額) 売り 前週末比 買い 前週末比 10月31日 20億円 +8億円 2兆1483億円 -3066億円 10月24日 12億円 -499億円 2兆4549億円 +2932億円 10月17日 511億円 +489億円 2兆1617億円 -4271億円 10月10日 22億円 -2058億円 2兆5888億円 +3076億円 10月03日 2080億円 +538億円 2兆2812億円 -3067億円 09月26日 1542億円 +599億円 2兆5880億円 +1936億円 09月19日 942億円 +211億円 2兆3944億円 +2765億円 □裁定取引に係る現物ポジション(株数) 売り 前日比 買い 前日比 11月05日 690万株 +618万株 8億0469万株 -7343万株 11月04日 72万株 ±0万株 8億7812万株 -292万株 10月31日 72万株 ±0万株 8億8105万株 +2831万株 10月30日 72万株 +16万株 8億5273万株 -1223万株 10月29日 55万株 ±0万株 8億6497万株 -2788万株 10月28日 55万株 ±0万株 8億9286万株 -8064万株 10月27日 55万株 ±0万株 9億7350万株 -5999万株 10月24日 55万株 ±0万株 10億3350万株 -1008万株 10月23日 55万株 -14万株 10億4358万株 -770万株 10月22日 69万株 +14万株 10億5129万株 +3904万株 10月21日 55万株 -805万株 10億1224万株 +4138万株 10月20日 861万株 -347万株 9億7085万株 +2248万株 10月17日 1208万株 +475万株 9億4837万株 -3524万株 10月16日 732万株 +65万株 9億8361万株 -3500万株 10月15日 667万株 +445万株 10億1861万株 -1035万株 10月14日 222万株 +144万株 10億2896万株 -5286万株 株探ニュース
