高市政権誕生で再脚光、「地熱発電」関連で熱気高まる妙味株7選 <株探トップ特集>

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コラム

―日本は世界第3位の地熱エネルギー保有国、日米での開発機運高まる―

 高市新政権の誕生とともに、熱い視線を浴びている再生可能エネルギー分野がある。日本が世界有数の資源を抱える「地熱エネルギー」がそれだ。普及にあたって、開発コストのほか、各種規制や地域合意形成など、いくつもの壁があることは事実だが、スピード感と実行力で国民の期待を一身に集める新政権が誕生したことで、その潮目が変わる可能性が急浮上してきている。熱気高まる「地熱発電」関連株にスポットライトを当てた。

●自民・維新の連立合意で「地熱」推進を明記

  再生可能エネルギーの代表格として多くの人々が認識しているのは、やはり「太陽光発電」だろう。建物の屋根にも設置できるほか、遊休地の活用などにも適しているとされ、これまで全国的に積極的な設置が進められてきた。東京都内では、新築住宅などへの太陽光発電設備の設置や断熱・省エネ性能の確保などを義務付ける新たな制度が2025年4月から始まったことも記憶に新しい。一方、その負の側面に近年はかなり目が向けられるようになってきた。開発の態様によっては、自然破壊や大規模な土砂崩れにつながる恐れがあるだけでなく、太陽光パネル自体の廃棄問題、外国製パネルへの依存による安全保障上の深刻な懸念なども指摘されている。

 10月に新たに総理大臣に就任した高市早苗氏は、自民党総裁選への出馬会見の際に「私たちの美しい国土を外国製の太陽光パネルで埋め尽くすことには猛反対だ」と述べている。加えて、自民党と日本維新の会が交わした連立政権合意書の中で、エネルギー政策について「電力需要の増大を踏まえ、安全性確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進める。また、次世代革新炉および核融合炉の開発を加速化する。地熱などわが国に優位性のある再生可能エネルギーの開発を推進する」と明記している。

●完全国産で経済安全保障面からも注目

 いわゆる「高市トレード」の中核テーマの一つに地熱発電も加わっているのだ。そもそも、火山が非常に多い国であるという認識は多くの人々が持っていても、一歩進んで、日本が世界3位の地熱資源量を有する国であるということは、案外知られていない事実だろう。また、地熱発電はCO2排出量がほぼゼロであるだけでなく、発電後の熱水利用(ハウス栽培や養殖事業での利用を想定)のようにエネルギーの多段階利用が可能な点など、メリットも豊富で、完全国産の理想的なベースロード(基幹)電源として経済安全保障上の観点からも発展が期待されている。

●トランプ大統領も地熱発電の推進派

 実際、25年5月に米アルファベット傘下のグーグルと米大手電力会社NVエネルギーによる取り組みが承認され、次世代型地熱発電が米国で運営されることになったとの報道が出ているだけでなく、再生可能エネルギーに対して否定的なトランプ米大統領でさえ地熱発電については推進派とされるなど、日米で地熱エネルギーの開発が急加速していく機運が足もとで高まっている。

 地熱発電関連の対象銘柄としては地熱発電プラントを手掛ける三菱重工業<7011>、地熱発電用蒸気タービンなどのボイラ設備を展開する川崎重工業<7012>、地熱発電所の建設で日揮ホールディングス<1963>のほか、石油資源開発<1662>、ENEOSホールディングス<5020>、出光興産<5019>などの資源関連や鹿島<1812>、清水建設<1803>といった大手ゼネコンなどが挙げられる。以下では中小型株やグループ企業において地熱事業を手掛けている関連銘柄を紹介する。

●日鉄鉱や富士電機、Fブラザーズなど注目

 日鉄鉱業 <1515> [東証P]~石灰石や銅などの鉱物資源の採掘・販売を主力事業とする日本製鉄<5401>系の総合資源会社。子会社の日鉄鉱コンサルタントにおいて、地熱調査・物理探査などを含む地熱資源調査を実施し、坑井掘削計画の立案、掘削を行う。操業中の地熱発電所の環境調査、貯留層モニタリング調査や設備維持管理も行っている。

 富士電機 <6504> [東証P]~パワーエレクトロニクスとパワー半導体のコア技術で社会・産業インフラ分野向けに事業を展開。地熱発電では地下からの蒸気と熱水が混合した地熱液体から分離した蒸気でタービンを回して発電するフラッシュ式と、地下からの地熱流体で加熱・蒸発させた低沸点媒体の蒸気でタービンを回して発電するバイナリー式の両方のラインアップと実績を持つ。

 JX金属 <5016> [東証P]~半導体材料と情報通信材料、基礎材料で事業を展開。グループのJX金属探開では鉱山開発初期段階にあたる鉱床探査、鉱床評価、開発最終段階にあたる休廃止鉱山管理まで幅広く手掛けており、地熱資源、水理・水文・水質、土木地質、地震防災、鉱害防止、温泉・地下水開発、石油・LPG 地下備蓄などの分野へ業務を拡大。地熱開発に伴う調査井などの掘削実績を持つ。

 三菱ガス化学 <4182> [東証P]~天然ガス採掘で獲得した探鉱技術を活用し、地熱発電事業を展開。化学企業で唯一地熱発電を手掛ける。三菱マテリアル <5711> [東証P]やJパワー <9513> [東証P]などのパートナーとともに地熱発電所を建設、運転し、再生可能エネルギーである地熱電力を供給している。

 ファーストブラザーズ <3454> [東証S]~賃貸不動産などに投資する投資銀行事業を主力に、投資運用事業などを展開する。グループのファーストブラザーズディベロプメントにおいて、地熱発電事業、社会インフラ投資及び開発事業、不動産エンジニアリングを手掛けており、これまでに熊本県小国町や大分県九重町と地熱発電関係で協定の締結などをしている。

 東京エネシス <1945> [東証P]~変電所の建設・保守を手掛ける。地域において再生可能エネルギー資源の発掘、それらを利用するための課題検討、地域の特質を生かした事業構想の企画・立案を行っており、地熱では天候に左右されず、1年を通して安定した熱源となる温泉水を活用した、地熱発電所(バイナリー式)の設計・調達・建設も行っている。

 住友重機械工業 <6302> [東証P]~減速機や建設機械、射出成形機などを手掛ける総合重機大手。グループでは広島県呉市にある新日本造機が蒸気タービンの開発・製造・販売を一手に担当している。

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