隠れた優良株の宝庫、割安感顕著の「スタンダード銘柄」を再評価せよ <株探トップ特集>

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コラム

―市場改革に向けた動きも胎動、安定収益誇る企業は多く一段高期待膨らむ―

 東京株式市場では、AI・半導体関連株を中心とする物色人気が続き日経平均株価は上昇基調にある。ソフトバンクグループ <9984> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]などが牽引する格好で、日経平均株価は10月には史上最高値の5万2000円台まで一気に跳ね上がった。そんななか、好調な大型株に続く格好で上昇基調となっているのが、中堅銘柄が中心に上場するスタンダード銘柄だ。新たな市場改革の動きも胎動し割安感も強いスタンダード銘柄に焦点を当てた。

●年初から17%上昇し最高値圏で推移

 東京市場で大型株を中心とする上昇が続いているが、その物色人気は中堅銘柄にも及んでいる。東証スタンダード市場指数は昨年末から10月末まで約17%上昇した。特に、10月27日には1513.76まで値を上げ、最高値を更新した。同期間中に日経平均株価は31%と突出した上昇を演じたが、同指数はTOPIXの約20%高に迫る値上がりを示した。スタンダード市場は、東証の市場再編で2022年4月にスタートした。主に旧東証2部市場や旧ジャスダック市場銘柄で構成されており、プライム市場やグロース市場からの移籍組も増えている。4日時点で同市場には1564銘柄が上場している。

●造船株など市場の注目株が多数上場

 プライム市場は「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」とされ、日本を代表する大企業向けと位置付けられる一方、スタンダード市場は中堅企業向けで社会ニーズに応えて安定成長を目指す企業に適した市場と捉えられている。足もとでは、新興企業向けであるグロース市場も上場維持基準を100億円に引き上げる改革を進めていることもあり、IPO市場の選択をグロース市場からスタンダード市場に変更する動きもあるようだ。

 スタンダード市場は上場企業数もプライム市場に並ぶ水準にあり、「名実ともに今後の中心となる市場」と期待される一方、投資家からはやや見逃されがちだ。しかし、同市場の時価総額上位銘柄には日本オラクル <4716> [東証S]や日本マクドナルドホールディングス <2702> [東証S]、アコム <8572> [東証S]、東映アニメーション <4816> [東証S]、ワークマン <7564> [東証S]など株式市場での有力銘柄が並ぶ。また、今年の注目テーマとなった造船関連では名村造船所 <7014> [東証S]や内海造船 <7018> [東証S]、ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証S]といったスタンダード銘柄が人気を集めたほか、核融合発電に絡み高市関連株として関心を集めた助川電気工業 <7711> [東証S]、台湾の国巨(ヤゲオ)とミネベアミツミ <6479> [東証P]によるTOB合戦の対象となった芝浦電子 <6957> [東証S]なども同市場の上場銘柄だ。スタンダード市場には、安定した収益基盤を誇り時価総額も機関投資家の投資基準に見合う規模に達している銘柄は少なくない。プライム市場に隠れてやや目立たない立ち位置にあるものの、その分、割安な隠れた優良株の宝庫とも言えるだけに、再評価余地は大きい。

●市場改革による再評価機運にも期待

 更に、東証市場改革の波はスタンダード市場にも及んでいる。9月に公表された「スタンダード市場における今後の対応」では、同市場が「他の市場区分の受け皿のようなイメージを持たれることは避けるべき」との意見も出ている。今後は流動性の改善や上場維持基準の見直しなどが打ち出される可能性もある。市場改革に向けた動きは、スタンダード上場企業の評価を引き上げることにつながり、相場の一段の上昇要因となることも期待される。以下ではスタンダード市場の注目株を取り上げたい。

●日本ドライやヨネックス、西川ゴムなど注目

◎日本ドライケミカル <1909> [東証S]~防災設備機器大手。公共事業や都市再開発に絡み防災・減災への需要は拡大。データセンターやクリーンルーム向けの防災設備が好調。26年3月期連結業績には上振れ期待も。

◎ヨネックス <7906> [東証S]~スポーツ用品大手でバドミントンでは圧倒的シェア。4~6月期は中国や台湾でバドミントン用品の販売が好調。26年3月期の連結営業利益は前期比4.4%増の148億円と最高益見通し。

◎ニッポン高度紙工業 <3891> [東証S]~アルミ電解コンデンサー向けを主力とするセパレーター大手。生成AI普及に伴うデータセンター向け需要が拡大し26年3月期連結業績予想を増額修正。今期配当も増額し、配当利回りは3%近辺の水準。

◎マミーマートホールディングス <9823> [東証S]~埼玉地盤の食品スーパー「マミーマート」が主力。既存店売上高も増加基調が続き、25年9月期の連結営業利益は前の期比4.1%増の67億円と最高益予想。

◎西川ゴム工業 <5161> [東証S]~自動車用ドアシールでトップ。25年3月期から毎期DOE(株主資本配当率)8%程度の配当を実施。今期は年184円配(前期比実質79円50銭増)を予定しており、足もとの配当利回りは約6.3%と高水準。

◎ERIホールディングス <6083> [東証S]~建築確認検査業務などで首位。4月から新築建築物に省エネ基準への適合が義務付けられ省エネ適合判定業務にかかわる売り上げなどが増加。第1四半期(6~8月)の連結営業利益は前年同期比6.5倍と大幅増益に。

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