ドル円、154円台に急上昇 日米の金融政策で円キャリートレード加速を期待=NY為替概況

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ドル円、154円台に急上昇 日米の金融政策で円キャリートレード加速を期待=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は154円台に急上昇した。円安が加速したほか、ドル高の動きも加わり、ドル円は高市トレードの高値153.25円付近を突破。ストップを巻き込んで一気に2月以来の高値154.45円付近まで駆け上がっている。

 日銀決定会合後の植田総裁の会見が慎重な色彩が強かったことで、市場では12月利上げへの期待が後退しており、早くても1月という見方が有力視されている。短期金融市場での年内利上げの確率は45%前後。

 一方、前日のパウエル議長の会見でFRBの12月の追加利下げ期待にも不透明感が増す中、日米金利差の縮小は想定よりも緩やかとの観測から、円キャリートレードの加速を期待した円売りが再び過熱している模様。

 ユーロドルは下値を切り下げ、1.15ドル台半ばまで下げ幅を拡大。100日線と21日線を下放れる展開が見られ、早期に戻せないようであれば、7月末から8月初めにサポートされた1.14ドルを試す展開になりそうな気配も出ている。一方、ユーロ円は178円台後半まで一時上昇し、ユーロ発足以来の高値を更新。ユーロ安以上に円安が優勢となり、ユーロ円を押し上げている。

 本日はECB理事会が開催され、大方の予想通りに3会合連続での据え置きとなった。ラガルド総裁は会見で「コアインフレは2%目標と整合。成長に対する下振れリスクの一部は緩和された」と述べていた。「ECBは現在、好位置にある」とも述べ、いまは追加の行動は不必要との認識を示唆している。

 市場ではECBの利下げサイクルは終了との認識が広がっており、その見方を再確認する内容ではあった。

 ポンドドルも下値をさらに切り下げ、1.31ドル台まで下げ幅を拡大。200日線を完全に下放れる展開が見られており、本日は8月に付けた年初来安値に顔合わせする展開。早期に200日線の水準まで戻せないようであれば、大きな下向きの流れに回帰する。一方、ポンド円は反転し、一時203円台まで買い戻される展開。目先は今週上値を抑えられた204円台前半まで戻せるか注目といったところ。

 米大手証券のエコノミストは、英中銀が来週の金融政策委員会(MPC)での利下げ予想を再び示している。市場のコンセンサスは据え置きを有力視しており、利下げの確率は25%程度にしか見ていない。先週発表の9月の英消費者物価指数(CPI)は3.8%と予想に反して横ばいとなり、英中銀が予想していた4%も下回った。食料品価格においては1年4カ月ぶりの下落となった。

 エコノミストは「総合的に判断すると、9月のMPC以降、主要指標が大きく弱含んでおり、来週の利下げは説得力あるシナリオ」と指摘。その上で、結果は接戦になる可能性があるとも付け加えている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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