「ワン」ダフルな成長力で注目! 支出額増大追い風のペット関連株 <株探トップ特集>

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コラム

―新商品・サービスが続々と誕生し高度医療技術も、長寿命化で市場規模は拡大へ―

 11月1日は「ワン・ワン・ワン」で犬の日だ。ペットへの支出額はこの数年で大きく増加しており、新たな商品・サービスが続々と登場している。健康志向の高まりに支えられる形でペットの長寿命化が進み、医療技術も進化を遂げている。ペット市場の更なる成長が期待されるなか、投資妙味のある関連銘柄をピックアップしていく。

●「家族の一員」で強まる健康志向

 人間とペットの愛の歴史は長い。「名犬ラッシー」や「フランダースの犬」、「南総里見八犬伝」「ハチ公物語」など洋の東西を問わず、語り継がれる文学・映像作品があるのは、それだけ人類にとって身近な存在であり続けているということだろう。

 総務省の家計調査によると、2人以上の世帯における2024年の平均支出額はペットフードが9957円(20年比22%増)、動物病院代が9572円(同19%増)となっており、過去4年間で大きく伸びた。犬や猫の平均寿命も延びており、ペットフード協会によると24年の平均寿命は犬が14.90歳(10年は13.87歳)、猫が15.92歳(同14.36歳)となっている。

 第一生命ホールディングス <8750> [東証P]グループのアイペット損害保険が今年1月末から2月初旬にかけて犬・猫の飼育者各500人にインターネットで実施したアンケートでは、ペット関連の支出額の増加の理由として、物価上昇に伴う固定費の増加が48.4%とトップとなっている。インフレが支出額の増加の一因となるなか、ペットの高齢化に伴う医療費関連の支出の増加(25.1%)や、健康に対する意識の高まり(20.0%)も上位に入っている。ペットの医療・健康に関する消費支出の拡大基調が浮き彫りとなっており、ペットの生涯支出額の増大は関連市場の成長に寄与しているようだ。

 ペットビジネスを展開する企業は創意工夫を凝らし、魅力的な商品やサービスを次々と世に届けている。イオン <8267> [東証P]子会社のイオンペットは、ペット用福袋の予約販売を10月20日から開始したほか、ペット用のおせちの予約受付も行っており、愛犬や愛猫と過ごす正月を華やかなものにするための商品を用意する。ペットと泊まれる宿泊施設も徐々に増えており、大和ハウス工業 <1925> [東証P]グループのコスモスイニシア <8844> [東証S]は千葉県茂原市において、複合型ドッグリゾートを26年5月下旬ごろにグランドオープンする予定だ。

●動物医療関連に成長期待株

 ペット関連銘柄の代表格として挙げられるのが、アニコム ホールディングス <8715> [東証P]である。ペット保険大手で、26年3月期の売上高は前期に続き過去最高を更新する見通し。経常利益は減益予想だが、アクサダイレクト契約移管に伴うコストが押し下げ要因となっている。一時的な減益要因が来期ははく落するとみられ、トップラインの増加基調を踏まえると、足もとの株価水準は仕込み場に映る。

 高度医療に特化する日本動物高度医療センター <6039> [東証G]が8月14日に開示した26年3月期第1四半期(4~6月)の売上高、各利益は四半期として過去最高。二次診療ニーズの拡大や連携病院数の増加などを受け、KPI(重要業績評価指標)と位置付ける初診数・総診療数・手術数のいずれも最高件数を記録した。あわせて通期の業績予想を上方修正した。決算発表の翌営業日以降、株価は2倍近くとなり9月に上場来高値を更新した。その後騰勢は一服したものの、決算を手掛かりに再び新値追いの流れとなるか注視される。

 一次診療から高度医療まで対応するWOLVES HAND <194A> [東証G]は昨年6月にグロース市場に新規上場した。動物病院数及び診療エリアを拡大するため、自社での開設とともにM&Aも駆使。大手医薬品会社との連携による創薬・商品開発も手掛ける。26年6月期の業績予想には自社開院や事業承継・M&Aの影響は含めていないといい、一段の収益上振れに期待が膨らむ。

●アース製薬などペット用品関連も要マーク

 ペット用品の販売を強化する ホームセンターも増えている。DCMホールディングス <3050> [東証P]やコメリ <8218> [東証P]、コーナン商事 <7516> [東証P]といった大手に加え、LIXILビバを買収したアークランズ <9842> [東証P]はペット専門店「NICO PET」を展開。スーパーマーケット「バロー」を展開するバローホールディングス <9956> [東証P]は、ホームセンター「ダイユーエイト」を傘下に持つほか、ペット専門店の「アミーゴ」や「ペットフォレスト」を運営。26年3月期第1四半期(4~6月)の営業利益は前年同期比36%増と好調だった。75日移動平均線割れの水準で押し目買い意欲が高まっていくか注目したい。

 アース製薬 <4985> [東証P]は子会社にペット用品やペットフードを製造・販売するアース・ペットを持つ。酸化抑制技術「MA-T」を活用したペット用口腔ケア製品で、4月にアニコムHD子会社と一定期間の独占販売契約を締結したと開示。動物病院やペットショップ、トリミングサロン、ブリーダーなどを通じた拡販を狙う。25年12月期第2四半期累計(1~6月)の営業利益は前年同期比26%増。ペット用品は虫ケア用品の売り上げが前年を下回った一方、ケア用品や機能性フードは増収となった。バスクリンや白元などM&Aを経て事業規模を拡大してきた同社は、議決権比率の25%弱を大塚ホールディングス <4578> [東証P]が間接保有している。

 消臭・芳香剤のエステー <4951> [東証P]の26年3月期第1四半期(4~6月)営業損益は黒字転換を果たした。花王 <4452> [東証P]から事業を取得した猫用トイレ用品が加わり、ペットケアの売上高が前年同期比6割増となっている。レンジ相場が続いているが、信用倍率は1倍を下回る売り長の状況。中間期の決算発表がショートカバーを誘発した際には、レンジ相場からの上放れとなる可能性がある。

 このほか、ペットフード・ペット用品を展開するユニ・チャーム <8113> [東証P]やECサイトを中心としたペットヘルスケア事業を営むペットゴー <7140> [東証G]、ペットフード・用品卸のエコートレーディング <7427> [東証S]、日用品卸大手でペット関連の子会社を持つあらた <2733> [東証P]、LPガス販売を中心にペット事業など多角化を進めたカメイ <8037> [東証P]、ペット同伴可能な宿泊施設を予約できる「いぬやど」を運営するブッキングリゾート <324A> [東証G]なども関連銘柄と位置付けられる。

株探ニュース

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