ガラスの天井打破で新たなる王道へ、機運高まる「女性活躍推進」関連株 <株探トップ特集>

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コラム

―高市首相誕生でジェンダー平等は進むか、国際的な指数改善に期待―

 第219回臨時国会が10月21日に召集され、自民党の高市早苗総裁が衆参両院の本会議で第104代首相に指名された。日本で女性の首相が誕生するのは憲政史上初めてとなる。男性が多い政界の「ガラスの天井」(能力や実力があるにもかかわらず、目に見えない障壁によって昇進や成長が妨げられること)を破った意義は大きく、今後さまざまな業界で女性が活躍する場が一段と広がるきっかけとなりそうだ。

●女性の起業など支援

 女性活躍の推進は国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」で掲げられている目標のひとつだが、世界経済フォーラムが6月に公表した日本のジェンダー・ギャップ指数は148カ国中118位と依然として低い。教育や健康面が高得点であるのに対し、経済参画(同一労働における賃金の格差、管理職の比率など)が弱いほか、政治参画(議員・閣僚の比率など)の得点が低く、指導的地位に就く女性の少なさが目立っている。

 政府が6月に決定した「女性版骨太の方針2025」では、地域における魅力的な職場づくりを通じた「女性に選ばれる地方」の実現や、ライフステージに左右されず誰もが希望に応じて働ける環境づくりに取り組むことが明記された。具体的には、全国各地における女性の起業支援、地域における魅力的な職場や学びの場づくり、女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化、仕事と育児・介護の両立の支援、企業における女性活躍の推進などが掲げられている。

●なでしこ銘柄などに注目

 そこで注目したいのが、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進に優れた上場企業として選定している「なでしこ銘柄」だ。これは中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことが狙い。なお、25年度の選定企業は来年3月下旬に公表される予定だ。

 ちなみに、24年度では味の素 <2802> [東証P]、中外製薬 <4519> [東証P]、エーザイ <4523> [東証P]、資生堂 <4911> [東証P]、出光興産 <5019> [東証P]、LIXIL <5938> [東証P]、オムロン <6645> [東証P]、丸井グループ <8252> [東証P]、山陰合同銀行 <8381> [東証P]、大和証券グループ本社 <8601> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]、東京ガス <9531> [東証P]、SCSK <9719> [東証P]が連続して選ばれている。

 また、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良であるなど一定の要件を満たした企業は、都道府県労働局への申請により、厚生労働相が認定する「えるぼし認定」を受けることができる。認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告などにつけることができ、女性活躍推進企業であることをPRすることで優秀な人材の確保や企業イメージの向上などが期待できる。

 認定は、「採用」「継続就業」「労働時間などの働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5項目のうち満たした数に応じて3段階に分かれ、直近ではエプコ <2311> [東証S]、ヒューマンホールディングス <2415> [東証S]、エステー <4951> [東証P]、エリアリンク <8914> [東証S]などが最高ランク(3つ星)を取得している。

●フェムテック関連も要マーク

 女性の活躍は、優秀な人材の確保、生産性の向上、新たな商品・サービスの創出、企業イメージの向上といった多くの効果が期待されるが、妊娠・出産や女性特有の体調の変化などライフステージに応じて直面するキャリアへのインパクトは大きく、女性の健康をITなどで支える「フェムテック」関連銘柄にも目を配っておきたい。

 セレス <3696> [東証P]子会社のサルースは、オンラインピル診療の福利厚生サービス「エニピルforキャリア」を提供している。24時間365日診察を受けられる利便性が特長で、月経痛やPMS(月経前症候群)といった女性特有の健康課題にともなう労働生産性低下の改善を支援しており、直近ではめぶきフィナンシャルグループ <7167> [東証P]傘下の常陽銀行に採用された。

 カラダノート <4014> [東証G]は出産前後世帯の43%以上をカバーする国内最大級のデータベースを保有し、ライフイベントを起点としたマーケティング提案力が強み。住友生命との資本・業務提携を契機に持続的かつ安定的な企業成長を図る構えで、28年7月期の単独営業損益目標として15億円以上の黒字(25年7月期は3400万円の赤字)を掲げている。

 I-ne <4933> [東証P]はこのほど、女性の健康と美容を支援する新ブランド「Sonael(ソナエル)」を立ち上げた。30日から電子商取引(EC)サイトで大豆由来のサプリメントを販売する予定で、従来のヘアケアに加えて健康食品やオーラルケア分野に注力する。

 MTG <7806> [東証G]は9月、新カテゴリー「SIXPAD for Women(シックスパッドフォーウィメン)」を立ち上げ、フェムテック事業に参入した。これまでの製品開発で培ってきた知見とテクノロジーを通じ、女性の身体と心のケアにつなげる構えだ。

 エムティーアイ <9438> [東証P]は女性の健康情報サービス「ルナルナ」などを通じて、啓発プロジェクト「FEMCATION(フェムケーション)」に取り組んでいる。直近では新潟県と、女性の健康管理支援及びプレコンセプションケアの推進に関する連携協定を締結した。

 このほか、国内最大級のママ向け情報サイトを手掛けるインタースペース <2122> [東証S]、各種フェムテック活動に取り組むアツギ <3529> [東証S]、エイジングケアを目指した化粧品・スキンケアブランドを展開するエイチームホールディングス <3662> [東証P]、フェムケア素材を扱うダイセル <4202> [東証P]、婦人科系に強みを持つあすか製薬ホールディングス <4886> [東証P]、24年9月に女性向けサプリメントを販売する企業を子会社化したさくらさくプラス <7097> [東証G]、出産・育児向け情報サイト運営や産婦人科向けの経営支援事業を行うベビーカレンダー <7363> [東証G]、女性向けメディアを配信するクラシル <299A> [東証G]などが関連銘柄として挙げられる。

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