【植木靖男の相場展望】 ─過熱感が消えるまであと少し

投稿:

コラム

「過熱感が消えるまであと少し」

●5万円達成ほぼ確実か、政権次第でさらにスケールアップも

 日経平均株価は米国株高にけん引される形で急伸し、10月9日には4万8597円の史上最高値を付けたが、5万円大台にあと一歩まで迫りながらここで頭を打ち、翌10日から下落に転じた。表立った懸念材料としては、わが国の次期政権を巡る不透明感や米中関係悪化への懸念が指摘されている。だが、反落の主因は、むしろ市場内部要因、つまり過熱感が利食い売りを誘ったとみる方が正しい。

 なにせ9日の東京市場では、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]が上場来高値を更新し、この1銘柄だけで日経平均株価を470円程も押し上げたのだ。日経平均株価の25日移動平均線カイリ率は6日に7.96%に達し、買われ過ぎとされる5%を大きく上回り、5カ月ぶりの水準にあった。明らかに相場は過熱していたといえる。

 もっとも、過熱感が利食い売りを誘い株価が頭を打ったのだとすれば、目先の大きな下落不安はなさそうだ。過熱感が解消されれば、相場はいずれ反転する。実際、9日高値から3営業日目の15日には反発している。この日に下げれば先行き不安は一段と強まったはずだが、そうはならず、更にその翌日は窓を空けて上昇した。

 とはいえ、週末17日は695円安と大きく反落しており、まだ買い転換には至っていない。チャート的には、いましばらくもみ合いが必要かもしれない。

 今後の展開を予想する上で材料的に注目されるのは、まずは国内政局と米国株価だろう。政局については、高市自民党総裁の首相選出を想定して先行きを考えたい。なんといっても、財政に対してどのような姿勢を示すかが焦点である。早くもガソリン暫定税率の廃止で失われる年1兆円の代替財源問題が立ちはだかる。

 そして、米国株価。米国では弱気論を吐くと、政府筋から圧力を受けるという。これではまだ大きく下げることはなさそうだ。NYダウとナスダックの日替わりの上昇が続くことになる。また、懸念されたインフレも未だ顕在化していない。

 このようにみると、黄金比率からみて日経平均株価の5万円乗せは達成されそうである。もっとも、これは通常の景気変動を考慮した場合だ。だが、大正時代の米騒動に端を発した株価上昇のケースになぞらえば、今回の株価上昇は5万円を更に大きく上回るとみたい。当時と同じとみれば上昇期間で2026年春ないし夏頃まで続く可能性もあろう。もちろん、バブル化である。

 そのための条件としては、やはり新しい政府による政策次第である。保守本流、そして“鉄の女・サッチャー”を目指す高市総裁に期待したい。

●新旧交代を睨んで注目すべき銘柄は

 ところで、それまで当面の物色の流れはどうみればよいか。本来なら現状のようなもみ合い状況の中で、新旧銘柄つまり人気株の交代がみられるのだが、いまのところそうした兆しはうかがえない。いずれ、人気株が入れ替わるまでは、これまでと同じ展開が続きそうだ。

 すなわち、米国のNYダウとナスダックの交互物色につれて、IT株と内需株が交互にしばらく物色されそうだ。具体的には現状、IT株の人気ナンバーワンはソフトバンクグループであり、内需株のそれは高市銘柄とされる防衛関連の三菱重工業 <7011> [東証P]だ。こうした銘柄を軸に展開されることになろう。

 ただ、新旧銘柄の交代がそう遠くない時期に起こることを想定するのならば、現状で注目すべき銘柄はごく目先的にならざるを得ない、と考えられる。

 上記を踏まえて今回は、まずイオン <8267> [東証P]に注目したい。また、銅価格や金価格の上昇で住友金属鉱山 <5713> [東証P]あたりが連騰すれば、市場の人気を集めるのではないか。

 このほかでは、三井E&S <7003> [東証P]はどうか。造船業に対する政府の姿勢は大きく変わった。

 内需では、FOOD & LIFE COMPANIES <3563> [東証P]や神戸物産 <3038> [東証P]、サイゼリヤ <7581> [東証P]だ。また、ようやく出直り始めた資生堂 <4911> [東証P]は時間はかかるが妙味は大きそうだ。

2025年10月17日 記

株探ニュース

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。