来週の株式相場に向けて=公明党の連立離脱で政局混沌に、「高市トレード」の行方を注視

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 10日の日経平均株価は前日比491円安と反落した。前日に急伸し最高値となる4万8500円台まで買われていただけに、利益確定売りに見舞われた格好だ。この日はファーストリテイリング<9983.T>が1銘柄で日経平均株価を260円近く押し上げており、同社株の急伸がなければ700円強の下落だった。東証プライム市場の9割強の銘柄が下落した。

 なかでも大きな関心を集めたのが、自民党と公明党の連立を巡る協議だ。公明党は自民党の政治資金問題に懸念を示し、連立離脱も辞さないとの姿勢をみせていた。長年続いた自公連立政権の行方が注視されたが、東証の大引けから間もない午後3時30分過ぎに「公明党が連立離脱を表明」とのニュースが流れた。

 4日の自民党総裁選では高市早苗氏が勝利し、「高市トレード」を背景に日経平均株価はこの1週間で2319円(5.1%)上昇している。それだけに、自公連立解消はネガティブなニュースととらえられ、引け後の日経平均先物は下げ幅を拡大した。今後、臨時国会での首班指名を巡る動向が注視されるが、市場からは「当面は混迷状態が続く」と警戒する声が上がっている。

 株式市場には過熱感もあっただけに、利益確定売りも出やすい状態だ。「日経平均株価は6日の急騰で出来た『窓』を埋める格好でいったん4万6000円割れもあるのではないか」(市場関係者)と警戒する見方も出ている。その場合、高市トレードの巻き直しも予想されそうだ。

 最大の焦点は、今後の政権の枠組みがどうなるかだ。状況次第では自民党の高市総裁が、首相には就かないというシナリオもあり得る。アナリストからは「最終的な落としどころは、自民党と国民民主党が歩み寄るという形になるのではないか」という声が出ている。その場合「やはり首相は高市氏となることが考えられるが、国民民主の玉木代表が浮上することもあり得る」という。日本維新の会が急浮上することも考えられる。ただ、国民民主や維新が、自民党に歩みよることには反対意見が出ることも予想されるだけに、やはり今後の見通しは不透明だ。

 来週は政局を巡り相場は大きく揺れそうだが、13日は休場のため、この週末から来週にかけ状況に変化があるかが注視されそうだ。

 来週のスケジュールでは、海外は13日が米国はコロンブスデーの祝日で債券・外為市場は休場。15日に米9月ニューヨーク連銀製造業景気指数、ベージュブック(米地区連銀経済報告)、16日にフィラデルフィア連銀製造業景況感指数が発表される。15~16日にG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催される。14日にJPモルガン・チェース<JPM>、ゴールドマン<GS>、15日ASMLホールディング<ASML>、シティグループ<C>、バンク・オブ・アメリカ<BAC>、16日に台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、17日にアメリカン・エキスプレス<AXP>が決算発表を行う。

 国内では、13日はスポーツの日の祝日で休場、大阪・関西万博が終了する。14日に9月マネーストック、15日に9月訪日外客数、16日に8月機械受注が発表される。14日にイオン<8267.T>、高島屋<8233.T>、J.フロント リテイリング<3086.T>、15日に東宝<9602.T>、ベイカレント<6532.T>、サイゼリヤ<7581.T>、17日に東京製鐵<5423.T>が決算発表を行う。また、15日にライオン事務器<423A.T>、16日にテクセンドフォトマスク<429A.T>、17日にユーソナー<431A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは、4万6700~4万8300円前後。(岡里英幸)

出所:MINKABU PRESS

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