ドル円、153円台に上昇 ドル高が優勢 高市総裁の発言で売りが強まる場面も=NY為替概況

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ドル円、153円台に上昇 ドル高が優勢 高市総裁の発言で売りが強まる場面も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル高が優勢となり、ドル円は153円台に上昇している。序盤に売りが強まる場面も見られたものの直ぐに切り返した。序盤の売りは自民党の高市総裁の発言がきっかけ。

 高市総裁は自身の経済政策に関し、「行き過ぎた円安を誘発するつもりはない」と述べていた。特段、これまでの発言と変化はないものと見られるが、ドル円もここ数日の急速な上昇で上値が重くなってきているのか、敏感に反応していたようだ。

 ドルについてはファンド勢がドルに強気姿勢を強め、ドルの反発が年末まで続くと見込むポジションをオプション市場で拡大しているとの指摘も聞かれる。ドル高を見込むポジションはドル安を見込むポジションよりも取引量が3倍に達したとの報告も流れていた。豪ドルを除いたG10通貨の大半に対してドル高を見込んでいるとの指摘も出ている。

 テクニカルアナリストは、ドル円の短期的な上昇トレンドは依然として強いと述べている。ドル円は総裁選後の3日間で急速に上昇し、5円超の上げ幅を記録。この上昇により、150.80のレジスタンス水準および年前半の下落に対するフィボナッチ61.8%戻し水準(151.65円)を突破した。ここから上のテクニカル的なレジスタンスはフィボナッチ78.6%戻しの155円までほとんど存在しないという。

 ユーロドルは売りが加速し、1.15ドル台半ばまで下げを加速。本日1.1630ドル付近に来ている100日線を完全にブレイクし、見切り売りが出た模様。下向きのサインが点灯したのか、テクニカル勢の活発な売りが観測されていた。本日はユーロ円も下落し、176円台に値を落とした。ユーロ円に関しては、ユーロ発足後の最高値を更新し続け、さすがに過熱感も出ている。

 ストラテジストは、チャートからはユーロドルの短期の下落モメンタムが加速していると指摘。ユーロドルが1.1645ドル水準の上昇トレンドラインを明確に下回り、前日は1.1610ドル付近で、一目均衡表の雲下限を試した。ユーロドルが1.1610ドルを下回って終了すれば、さらなる下落を引き起こす可能性があると述べている。本日の動きを見た限りでは、その通りのシナリオのようだ。

 ポンドドルも売りが加速。これまで強いサポートとなっていた1.33ドル台前半の水準をブレイクし、1.32ドル台まで一時下落。チャート的には下向きの流れが強まっている形状を示現しており、明日以降の動きが注目される。

 一方、ポンド円は上げが一服しており、203円台半ばに下落。円安の流れは続いているものの、さすがに過熱感は否めず、上げ一服となっているようだ。ポンド円のRSIは前日に71まで上昇し、買われ過ぎの水準である70を上回っていた。本日は70を下回っている。

 本日は利下げへの慎重姿勢が強いマン英中銀委員の発言が伝わっていたが、インフレを抑制し続けることで、家計に残る再び物価が急騰するのではないかという不安を取り除き、個人消費の回復を促す必要があるとの認識を示していた。家計は、3年前の2桁台のインフレと現在も目標の2%をほぼ倍上回る高い物価上昇に傷つき、支出を減らし貯蓄を増やしている。そのような中、金融政策は引き続きインフレ抑制に重点を置き、物価安定という環境を実現する必要があると指摘した。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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