前日に「買われた株!」総ザライ (1) ―本日につながる期待株は?―

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材料

■河西工 <7256>  112円 (+30円、+36.6%) ストップ高

 河西工業 <7256> [東証S]がストップ高。同社は8日、提出が遅れていた25年3月期の有価証券報告書を関東財務局に提出した。また、過年度の有価証券報告書の訂正も行った。上場廃止リスクが後退したと受け止めた投資家の買いが集まった。同社は海外子会社で誤った決算処理が発生したことを受け、有報が期限までに提出できない状態となり、9月25日に延長承認後の期限である同月26日までに提出できない見込みとなったと公表。10月8日までに提出ができなかった場合は、整理銘柄に指定された後、上場廃止となる見通しとなっていた。河西工が発表した25年3月期の連結決算は、売上高が前の期比2.1%増の2188億100万円、営業損益が2億8900万円の赤字(前の期は16億5300万円の黒字)、最終損益が91億8200万円の赤字(同15億5900万円の赤字)。自己資本比率は8.6%だった。26年3月期の業績予想は、売上高を前期比8.6%減の2000億円、営業損益を35億円の黒字、最終損益を20億円の赤字とした。東証は「決算訂正に関する重要な情報が生じた」ことを理由に、8日午後1時36分から午後3時00分まで河西工の株式売買を停止した。あわせて、有報の提出を受けて東証は河西工の株式について9日付で監理銘柄(確認中)の指定を解除すると公表した。

■ノート <5243>  1,644円 (+300円、+22.3%) ストップ高

 note <5243> [東証G]がストップ高。同社は7日の取引終了後、25年11月期第3四半期累計(24年12月-25年8月)の連結決算の発表にあわせて、25年11月期の連結業績予想を上方修正した。売上高予想をこれまでの40億1000万円から41億2500万円(前期比24.5%増)、営業利益予想を6000万円から2億円(同3.8倍)、最終利益予想を1億1000万円から3億3000万円(同3.3倍)に引き上げた。持続的な利益成長への期待を持たせる内容となり、見直し買いを誘発したようだ。主力のnote事業では生成AIの普及により、クリエーターやコンテンツの増加ペースが拡大。購読・購買の増加に寄与し、プラットフォームの成長が加速しているという。note pro事業や子会社のTales&Co.が取り組む新事業の業績も想定を上回って推移。繰延税金資産の計上も寄与する。12-8月期は売上高が30億4600万円(前年同期比23.8%増)、営業利益が1億2700万円(同3.7倍)、最終利益が2億1200万円(同4.4倍)だった。

■大東港運 <9367>  949円 (+150円、+18.8%) ストップ高

 大東港運 <9367> [東証S]がストップ高。7日の取引終了後に、26年3月末日時点の株主から株主優待制度を拡充すると発表しており、これを好感した買いが流入した。現行制度では、毎年3月末日時点で200株以上を保有する株主を対象に、保有株数に応じてQUOカード500円分~3000円分を贈呈していたが、制度変更後は500株以上を保有する株主に対して、取引先である「コストコ」のメンバーシップクーポン引換券を追加で贈呈する。

■わらべ日洋 <2918>  3,460円 (+503円、+17.0%) ストップ高

 東証プライムの上昇率トップ。わらべや日洋ホールディングス <2918> [東証P]がストップ高。7日の取引終了後、26年2月期の連結業績予想について、売上高を2315億円から2345億円(前期比5.4%増)へ、営業利益を60億円から73億円(同61.7%増)へ、純利益を39億円から54億5000万円(同2.0倍)へ上方修正し、あわせて配当予想を中間・期末各45円の年90円から中間・期末各60円の年120円(前期90円)へ引き上げたことが好感された。上期において、商品規格の見直しにより国内食品関連事業の販売が好調に推移していることに加えて、国内新工場や海外事業が想定よりも順調に推移していることが牽引する。また、固定資産売却益の計上や、業績予想に織り込んでいた閉鎖工場処分費用が想定よりも小さくなることも寄与する。なお、同時に発表した8月中間期決算は、売上高1196億3400万円(前年同期比5.3%増)、営業利益52億8900万円(同24.3%増)、純利益40億円(同42.5%増)だった。

■プロパスト <3236>  277円 (+40円、+16.9%)

 プロパスト <3236> [東証S]が急騰。首都圏を中心にマンション開発を手掛けており、今期は大幅減益予想ながらPERやPBRなどから割安感が強い。また、M&A戦略による業容拡大にも積極的で、7日取引終了後に、同社の建設業務発注先でもある小川建設(東京都新宿区)の株式を取得額合計40億5600万円(概算)でシノケングループから取得し子会社化することを発表した。これを材料視する形で投資マネーを呼び込む格好となった。

■T&S・G <4055>  1,350円 (+152円、+12.7%)

 ティアンドエスグループ <4055> [東証G]が急騰。独立系のシステムインテグレーターで、先端半導体工場向けの受託開発で実績が高い。とりわけNAND型メモリーのリーディングカンパニーでAIデータセンター向けSSDの需要獲得が進むキオクシアホールディングス <285A> [東証P]を主要顧客としており、今後中期的にキオクシア案件で商機の高まりが期待される状況にある。画像認識などAIソリューション分野でも実力を開花させていることから、日米の株式市場で盛り上がるAI関連株の一角としても頭角を現している。

■サカタタネ <1377>  3,995円 (+370円、+10.2%)

 東証プライムの上昇率4位。サカタのタネ <1377> [東証P]が4日続急騰。年初来高値を更新した。同社は7日の取引終了後、26年5月期第1四半期(6-8月)の連結決算を発表した。売上高が前年同期比9.6%増の230億500万円、営業利益が同63.5%増の44億6200万円、最終利益が同3.2倍の36億3700万円だった。自社株TOB(公開買い付け)の実施も発表し、好業績と資本効率の向上につながる取り組みを評価した買いが集まった。野菜種子の売り上げが大きく伸びた国内卸売事業と海外卸売事業が業績を押し上げた。前期の災害損失の反動に加え、受取和解金の計上と為替差損の減少なども利益拡大に寄与した。また、同社は坂田宏会長の資産管理会社で同社株を17.56%保有するティーエム興産が、現金化を目的に100万株(所有割合2.31%)を売却する意向を示したことを踏まえ、自社株TOBを通じて株式の流動性への影響などを抑える。取得株式数の上限は110万100株で、取得価額の上限は36億1382万8500円。10月8日から11月6日の間に、10月7日終値を約9%下回る1株3285円で買い付けを行う。

■菱製鋼 <5632>  1,923円 (+161円、+9.1%)

 東証プライムの上昇率5位。三菱製鋼 <5632> [東証P]が5日続急伸。6月9日の年初来高値1849円を4ヵ月ぶりに更新した。特殊鋼及び精密ばねなどの製造を手掛け、素材から製品までワンストップで生産できる優位性を持つ。26年3月期は営業13%増益を見込むなど2ケタ成長路線が続く。また、同社の実質筆頭株主は三菱重工業 <7011> [東証P]であり、防衛関連の一角としての位置付けでも注目度が高まっている。PERやPBRなどいずれも割安感が際立つほか、株主還元に前向きな姿勢も評価され、今期の年間配当は前期実績から16円増配となる80円を計画しており、予想配当利回りは4.3%弱に達する。

■グランド <9720>  7,550円 (+500円、+7.1%)

 ホテル、ニューグランド <9720> [東証S]が続急伸。7日の取引終了後、25年11月期の単独業績予想について、売上高を60億8800万円から63億円(前期比7.6%増)へ、営業利益を1億500万円から2億2000万円(同13.4%減)へ、純利益を7000万円から2億1000万円(同30.7%減)へ上方修正したことが好感された。コロナ禍後の反動による国内旅行需要の取り込みに注力したことで、宿泊の稼働率が大幅に上昇していることに加えて、宴会、レストランも好調なことが要因。また、コロナ禍に実施した経費削減の効果が継続していることも寄与する。

■IHI <7013>  3,094円 (+203円、+7.0%)

 東証プライムの上昇率6位。IHI <7013> [東証P]が4日続急伸。 防衛関連の一角として人気が高まっていることに加えて、7日の取引終了後に、豪州の新興衛星メーカーであるイノバー・テクノロジーズ社及びIHIグループの明星電気と連携し、小型衛星の技術実証に関する共同研究契約を締結したと発表しており、好材料視された。同共同研究は、日豪両国の政府間で強化が進む防衛・宇宙分野の協力関係を背景に、両国の海域監視分野における技術力強化を図るのが狙い。同プロジェクトにおいてIHIは、オーストラリア側との調整を担当。また、イノバー社はオーストラリア側のプロジェクト管理及び衛星バスの開発・製造、ミッション機器(センサー)の搭載、衛星の試験を担当し、明星電気はミッション機器(センサー)の開発・製造を行うとしている。なお、同プロジェクトにおけるイノバー社の作業は、南オーストラリア州政府の基金を活用して実施される。

■あいちFG <7389>  3,740円 (+215円、+6.1%)

 東証プライムの上昇率9位。あいちフィナンシャルグループ <7389> [東証P]が5日続急伸。地銀を中心に投資するありあけキャピタル(東京都中央区)が7日の取引終了後に関東財務局へ大量保有報告書を提出した。新たにあいちFGの株式について5%を超えて保有していることが明らかになり、需給思惑的な買いが入った。大量保有報告書によると、ありあけキャピタルの保有割合は5.06%。報告義務発生日は9月30日。保有目的は純投資と「状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。

■住友鉱 <5713>  5,133円 (+256円、+5.3%)

 住友金属鉱山 <5713> [東証P]が急反発。8日、トヨタ自動車 <7203> [東証P]とバッテリーEV(BEV)に搭載する全固体電池の正極材量産に向けて共同開発契約を結んだと発表しており、好材料視された。両社は、 全固体電池用の正極材について21年ごろから共同研究を進め、充放電を繰り返す中での正極材の劣化への課題に取り組んできたが、その解決策として住友鉱が持つ独自の粉体合成技術を活用し、全固体電池に合った「耐久性に優れた正極材」を両社で新たに開発。住友鉱はこれまで20年以上にわたり多くの電動車に正極材を提供してきた知見を生かし、新開発した正極材の供給やその後の量産化を目指すとしている。

■アジア投資 <8518>  247円 (+12円、+5.1%) 一時ストップ高

 日本アジア投資 <8518> [東証S]が続急伸、一時ストップ高となった。7日の取引終了後、関連会社JAICデータダイナミクス(以下JAIC-DD社)の福島県双葉町における分散型AIデータセンター事業が、経済産業省の第5次地域経済効果立地支援事業(自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金)に採択されたと発表しており、好材料視された。JAIC-DD社の福島県双葉町における分散型AIデータセンター事業は、同社が、AIの急速な普及などにより高まることが予想されている計算力需要に応えるため、新規事業として取り組むAIデータセンターの構築・運用事業の第1号案件。今回の採択を受けてJAIC-DD社は最大15億円の補助金を交付申請する予定であり、審査手続きのあと26年12月予定の同センター運用開始後に補助金が発生する見込みとしている。なお、JAIC-DD社は圧縮記帳を行い、補助金の発生時に同額の固定資産圧縮損を計上する予定としている。

■テイツー <7610>  146円 (+6円、+4.3%)

 テイツー <7610> [東証S]が大幅反発。7日の取引終了後に発表した9月の月次売上高が前年同月比15%増となり、4ヵ月連続で前年実績を上回ったことが好感された。中古ゲーム、中古トレカ、中古ホビーが対前年を上回り全体を牽引。また、前月に続き新品ゲーム、新品トレカが対前年を上回り、新品部門全体の売上増に貢献した。

※8日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。

株探ニュース

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