決算シーズン到来、好業績&過去データで大選抜「上方修正有力」6銘柄リスト <株探トップ特集>

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コラム

―決算発表の本格化を前に、業績修正履歴を活用して上方修正有望株をリストアップ―

 6日の東京株式市場で日経平均株価は前週末比2175円高の4万7944円と史上最高値を大幅に更新した。自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出されたことがマーケットに大きなサプライズをもたらした格好だ。これまでの上昇相場は半導体とAI(人工知能)関連の主力株が牽引してきたが、今後は中小型株へ物色の広がりが期待される。こうしたなか、今回の株探トップ特集では業績が好調で、材料性も備えた中小型株にスポットライトを当てた。

 今月下旬から本格化する26年3月期上期(4-9月)の決算発表シーズンを前に、早くも一部で業績予想を見直す動きが始まっている。通常、上場企業は期初に掲げた業績予想を期中に何回か見直しを行い、より実態に近づけるために数値を修正する。業績修正の発表が年間を通じて最も多いのが、上期決算発表のピーク期間にあたる10月下旬から11月中旬だ。今回は第1四半期(4-6月)の業績が好調で通期計画に対する進捗率が高く、上方修正が期待される有力候補を探った。

●関税交渉中で期初予想は保守的

 上場企業の26年3月期第1四半期業績は、トランプ米政権による高関税政策や円安一服といった逆風材料があった一方、付加価値を高めた製品やサービスへのシフトなどが奏功し、底堅い決算を示す企業も多くみられた。世界景気の後退など先行きに対する警戒感から足もとの業績が好調でも慎重な姿勢を崩さない企業が目立つが、期初予想を作成した4月時点では米関税影響や為替水準を悲観的に見ていた企業が多かったこともあり、ここは業績上振れ余地のある銘柄を改めて見直しておきたいところだ。

●業績修正の“クセ”に着目

 企業によって業績予想の立て方には特徴があり、保守的な見通しを出す傾向が強い企業もあれば、強気な数字を掲げる企業もある。業績修正のスタンスも同様で、期中に修正を繰り返す企業がある一方、計画値から大きく乖離しても修正せずに期末を迎えるケースも少なくない。過去の業績修正履歴をたどると、企業ごとに修正のパターンやタイミングが浮かび上がってくる。こうした傾向を踏まえることで、直近で好調な実績を残した企業の中から、今後上方修正する可能性の高そうな銘柄を絞り込むことができる。

 以下では、業績予想を上方修正する傾向が強い企業に照準を合わせ、前期の上期決算発表シーズンに通期予想を上方修正した実績を持つ銘柄のうち、第1四半期経常利益の通期計画に対する進捗率が過去5年間の平均値を上回り、かつ足もとの業績が好調に推移している6社をピックアップした。

◎ダイダン <1980> [東証P]

 大型施設の空調、給排水、電気の設計・施工を手掛ける総合設備サービス大手。半導体関連工場やデータセンター、車載用電池工場の旺盛な需要を背景に足もとの業績は絶好調で、25年3月期は31期ぶりに経常利益の過去最高益を塗り替えた。4-6月期は産業施設部門で前期から繰り越した大型の空調衛生工事が完成したうえ、顧客との交渉によって採算も大きく改善し、経常利益は100億6600万円(前年同期比4.7倍)と四半期ベースの過去最高を記録した。第1四半期実績だけで通期計画の238億円(前期比1.4%増)に対する進捗率は40%超と高水準で業績上振れの公算は大きい。前期は3回にわたって上方修正し、期初計画を大幅に上振れして着地しており、今期も期待が膨らむ。

◎トーカロ <3433> [東証P]

 高温で溶かした金属やセラミックスを製品表面に吹き付けてコーティングする「溶射」に強みを持つ表面処理加工の国内最大手。半導体製造装置向けを主力に、産業機械や鉄鋼業界などにも展開する。創業以来、赤字決算は一度もなく、リーマン・ショックなど厳しい経済環境下でも安定成長を続けてきた。4-6月期は利益率の高い半導体分野や産業機械向け溶射加工が伸び、経常利益は40億5400万円(前年同期比38.6%増)と四半期ベースの過去最高益を更新し、通期計画130億円に対する進捗率は31.2%に達する。直近5年間で3回、10月下旬に通期予想を上方修正した実績があり、増額期待は大きい。業績拡大に連動して配当も増額するケースが多く、株主還元の切り口でも注目される。

◎東亜建設工業 <1885> [東証P]

 海洋土木工事を主軸とする総合建設会社。4-6月期は国内で大型港湾工事や大型物流施設を中心に手持ち工事が進んだほか、海外では東南アジアとアフリカの大型案件が順調に進捗。工事採算も大幅に改善し、経常利益は前年同期比2.6倍の50億3300万円と大きな伸びを示した。26年3月期は人材やシステム投資の強化で減益を見込むが、同社の期初予想は保守的な傾向が強い。直近2年は上期決算発表と同時に通期計画を大幅増額しており、上方修正候補としてマークしたい。今期は配当性向40%以上の目標に加え、40億円規模の自社株買いを実施するなど、株主還元にも積極的だ。 国土強靱化や防衛予算増額を背景に中期的な成長期待も強い。

◎JBCCホールディングス <9889> [東証P]

 ITサービス大手。クラウド、セキュリティー、超高速システム開発を注力事業に据え、高付加価値ソリューションを柱とする事業構造変革を通じて利益率が着実に向上している。4-6月期は前期に遅延が生じていた超高速開発の大型プロジェクトが順調に進んだほか、クラウド構築・運用支援やセキュリティーサービスも好調を維持し、経常利益は18億8800万円(前年同期比13.9%増)と過去最高を更新して着地。18四半期連続のプラス成長を達成した。対通期進捗率は27.4%と過去平均並みだが、ここ5年のうち4回も10月末に業績予想と配当計画を増額修正しており、今年も期待がかかる。株価は9月11日に約25年4ヵ月ぶりの高値をつけたあとは調整局面にあるが、予想PER16倍台と割高感はなく再評価余地は大きい。

◎ヤマックス <5285> [東証S]

 熊本市に本社を構えるコンクリート二次製品メーカー。国土強靱化やインフラ維持・更新の流れに加え、専任チームで対応する防衛省関連施設の整備需要が拡大基調にある。更に熊本では半導体関連の大型投資に伴う工事が相次いで計画されるなど、事業環境は追い風が吹いている。4-6月期は土木用・建築用ともにセメント製品事業が増収増益を確保し、経常利益は7億4600万円(前年同期比19.1%増)と好調なスタートを切った。通期計画に対する進捗率は24.6%と過去5年平均を上回るほか、前期まで3年連続で11月上旬に上方修正を実施した実績からも増額の可能性が意識される。政府が対策を急ぐ下水道管の老朽化問題でも注目度が高く、テーマ株としての存在感も強めている。

◎トモニホールディングス <8600> [東証P]

 香川銀行と徳島大正銀行を傘下に持つ地域金融グループ。前期まで実に12年連続で第2四半期の決算発表時に通期見通しを引き上げており、上方修正の常連ともいえる存在だ。4-6月期は日銀の利上げに伴う貸出金利の上昇を背景に資金運用収益が膨らみ、経常利益72億1000万円(前年同期比12.9%増)と2ケタ増益を達成した。通期計画の248億5000万円に対する進捗率は29%と順調なスタートで、今年も上方修正余地がありそうだ。株主還元を強化しており、配当性向30%以上またはDOE(株主資本配当率)1.6%以上の目標を掲げる。26年3月期は年26円(前期比9円50銭増)に大幅増配する計画だ。配当利回り4%近辺で予想PER7倍台、PBR0.4倍台と指標面からの妙味も大きい。

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