明日の株式相場に向けて=高市新総裁・爆誕で無双の上げ潮相場演出

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 週明け6日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2175円高の4万7944円と大幅高で3連騰。日経平均は一時2400円近い急騰を演じる場面があり、快速特急並みに4万6000円台と4万7000円台を通過して一気に4万8000円台まで上値を伸ばす場面があった。足もとで苛烈な踏み上げ相場に発展し、ネット証券によると個人投資家の先物売買(売り建て)で3億円を吹っ飛ばしたという話も伝わっている。4日に投開票が行われた自民党総裁選で高市早苗氏が、大方の見方を見事に覆し勝利、新総裁に就任することとなった。サプライズ感も強かったとはいえ、株式市場はあまりに分かりやすくリスクオン一色に染まる状況となった。

 振り返ると、前週末にサイバーセキュリティー関連のFFRIセキュリティ<3692.T>や量子コンピューター関連のフィックスターズ<3687.T>などいわゆる高市関連銘柄に、寄り後早々ショートカバーの動きが観測され、株価は既に上昇傾向を強めていた。小泉氏勝利の可能性が高いと多くの市場関係者がみていたなかで、売り方が焦って買い戻す動きが生じていたことを不思議がる声もあった。また、日経平均も前週末は朝方から強調展開で次第高となり、後場も高値圏で売り物をこなし切り、830円高はほぼ高値引けとなった。これについても市場筋は現金で「小泉氏勝利の前祝い」という声すら聞かれたくらいで、高市氏勝利の可能性に言及する声はほとんど聞かれなかった。しかし、事実は小説より奇なり、それが覆されることになる。

 逆転劇のコンダクターは麻生自民党最高顧問だった。前回の総裁選では土壇場で岸田前首相が石破首相に票を入れたことで、高市氏の勝利が幻となった経緯がある。この結果、岸田氏のキングメーカーとしての存在感が強くアピールされ、麻生氏は主流派から外れたような格好となった。今回はその意趣返しというべき展開で、麻生氏の電撃的な高市氏支持によって舞台が大きく回ることになる。戦国武将の国盗り合戦を見るようでもある。ともあれ、東京市場の前週末の値動きは、相場の先見性恐るべしと言わざるを得ない。

 中国古典で「菜根譚」と同時期の明代に著された「呻吟語」に「士気は無かるべからず、傲気は有るべからず」という文言がある。高市新総裁は勝利演説で「ワークライフバランスという言葉を捨て、働き尽くす所存」であることを強く主張した。これは国民にも心に刻まれるインパクトがあったはずである。まさに政治屋ではなく、政治家としての矜持が強烈に感じられるスピーチであった。士気は意気込みや熱意を意味するが、人間としての誇りが原動力となる。他方、傲気は自らを誇る以前に、他を侮るというネガティブな負の概念が巣食う。政治家に対する不信は、足もとで進むインフレなどを契機に国民に対する政治家の傲気が覆い隠せなくなった部分が大きいのではないか。高市氏に対する評価の根源はブレない強さであり、それは政治家としての信念を貫くということでもある。マーケットがここまで強く反応するのは、高市氏がアベノミクスの継承者であるという位置づけもさることながら、圧倒的な発信力の背景にある士気の高さによるものであろう。

 きょうは全体のプライム市場の9割が上昇したが、半導体関連や防衛関連、AI関連などの花形テーマに乗る主力株の上昇パフォーマンスが凄まじかった。マドを開けての大陽線を示現し、5500億円近い売買代金をこなしたアドバンテスト<6857.T>が足もとの相場の無双ぶりを如実に映し出している。米エヌビディア<NVDA>の関連最右翼として取り上げられるケースも多いが、アドテストの時価総額13兆7000億円強に対し、エヌビディアは670兆円台である。67兆円ではない。仮に東京市場でAIバブル相場が開演中であるとしても、米国のそれとはあまりにレベルが違う。海外投資家にすればアドテストはイレギュラーに安い今のうちに拾っておきたいという代物なのかもしれない。

 主力株一辺倒の相場には違いないのだが、高市関連銘柄として少し遊びの要素も含めた銘柄選択では漫画関連株という切り口もある。“超党派”による「MANGA議連」なるものが存在しており、最高顧問は麻生氏で高市氏もメンバーに加わっている。Link-Uグループ<4446.T>の押し目買いや、まんだらけ<2652.T>、パピレス<3641.T>、エディア<3935.T>などに意外高の素地がある。

 あすのスケジュールでは、8月の家計調査、9月上中旬の貿易統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、前場取引時間中に30年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には8月の景気動向指数速報値が内閣府から、消費活動指数が日銀からそれぞれ発表される。この日はIPOが1社予定されており、名証ネクスト市場にウリドキ<418A.NG>が新規上場する。海外では8月の米消費者信用残高が発表されるほか、米3年物国債の入札が予定。また、ボウマンFRB副議長、ミランFRB理事などFRB高官に発言機会があり、その内容が注目される。なお、この日は中国(上海・深セン)市場、香港市場、韓国市場などが休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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