【高市新総裁で株急伸】「アベノミクス後継者」で強気傾斜、海外勢による評価拡大余地も

投稿:

材料

 6日の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比2175円26銭高の4万7944円76銭で終えた。自民党の総裁選で高市早苗前経済安保相が選出されたことに大きく反応した。財政拡張型で低金利志向の高市新総裁は、海外勢にとっても「アベノミクス後継者」とみなされており、日本株の評価の余地を広げる方向に作用しやすい。過熱感の高まりによる一時的な調整があっても、日本経済を巡る前提条件が大きく変化したとすれば持続的な株高が期待できるとして、株式市場では強気派が勢いづいている。

 日経平均の上昇幅は今年4月10日(2894円97銭)以来の大きさで、過去4位を記録。取引時間中には5万円の大台到達まであと1850円に迫る場面があった。海外短期筋とみられる先物買いが集まったことを受け、「総裁選後は株安」と見込んでショート・ポジションを構築した投資家による買い戻しを誘発。株高に弾みをつけ、連日の急騰・過去最高値更新に至った。

 投資家の関心は株高の持続性に移っている。25日移動平均線との上方カイ離率は8%弱となり、日足チャートのボリンジャーバンドのプラス3シグマに迫る動きもみせた。短期的にはスピード調整の局面に移行するとみられているが、中期的に上昇トレンドを継続するとの見方を持つ投資家の押し目買い意欲が、下値をサポートするというシナリオも横たわっているようだ。

 なによりも高市氏が新首相となれば、日本の歴史上で初の女性首相となる。故安倍晋三元首相の「アベノミクス」の後継者とのイメージも強い。「バリュエーション面で高水準にあるとはいえ日本が中期的に変革を遂げるのであれば、マクロ環境や企業業績に対する投資家の期待値が高まることとなる。日経平均5万円は通過点となる可能性が高い」(アイザワ証券投資顧問部ファンドマネージャーの三井郁男氏)との声がある。

 外為市場では円安が急速に進み、債券市場では中期債の利回りが低下して長期・超長期債の利回りが上昇。イールドカーブ(利回り曲線)はツイスト・スティープ化した。積極財政による財政懸念とともに利上げ観測の後退が円債相場の変動要因となり、株とともに高市トレードが発現する格好となった。このまま円安進行が続き国内でのインフレ懸念が広がった際には、日銀は難しい舵取りを迫られることとなる。高市新総裁による日銀の金融政策に対する発言や姿勢の変化とともに、経済政策の財源に関する見方も注視が必要だ。2022年にイギリスで起きた大規模減税策を受けた「トラス・ショック」が日本において再来するリスクも指摘されている。硬直化した日本経済の変革の起爆剤に対する期待感をつなぎとめられるか、高市新総裁の手腕が問われている。

【総裁選を受けた6日のマーケットの反応】

◎6日未明
・オセアニア時間で円急落。1ドル=149円40銭台で推移。前週末のNY市場終盤は147円47銭前後
◎午前7時過ぎ
・シカゴ日経平均先物が急伸。4万8000円台に乗せる
◎午前8時30分過ぎ
・シンガポール日経平均先物は前週末清算値比2040円高の4万7975円で始まる
◎午前8時45分過ぎ
・大阪取引所の日経平均先物急伸、取引開始直後に4万8170円をつける
・円債市場で債券先物は急騰、前営業日比59円高の136円50銭でスタート
・債券先物では「ダイナミック・サーキット・ブレーカー」が発動
・長期金利は低下後、一時上昇に転じる
◎午前9時過ぎ
・日経平均は前営業日比866円高の4万6636円で始まる。その後上げ幅を1000円超に拡大し4万7000円台に乗せる
・アドバンテスト<6857.T>が上場来高値更新
・景気敏感の主力株がカイ気配となり、「高市関連銘柄」としてサイバーセキュリティー関連のFFRIセキュリティ<3692.T>や核融合関連の助川電気工業 <7711.T>に買い注文が殺到。その後ストップ高カイ気配に
・三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など銀行株は逆行安
◎午前9時09分ごろ
・トヨタ自動車<7203.T>が前営業日比6%高で寄り付く
◎午前9時21分ごろ
・三菱重工業<7011.T>が同15%高で寄り付く
◎午前9時24分ごろ
・前週末に業績予想を上方修正した安川電機<6506.T>が同19%超高で寄り付く
◎午前9時30分ごろ
・金の国内小売価格が前週末比2.7%高の1グラム2万747円と過去最高値に
◎午前10時30分ごろ
・香港・ハンセン指数は下落して始まる
◎午前10時38分ごろ
・日経平均の上げ幅が2000円を超える
◎午前11時02分ごろ
・債券先物は前週末比17銭高の136円08銭と上げ幅を縮小して午前を終了
・長期金利は横ばい圏の1.660%で推移
◎午前11時30分
・日経平均前引けは2065円高の4万7835円36銭。プライム銘柄の86%が上昇
◎午後0時30分過ぎ
・日経平均と東証REIT指数は前場の高値を上回る。東証グロース市場250指数も一段高
◎午後0時43分過ぎ
・ドル円が1ドル=150円突破、8月1日以来およそ2カ月ぶりのドル高・円安水準
◎午後2時17分ごろ
・日経平均が4万8000円台に乗せる
◎午後2時48分ごろ
・日経平均は4万8150円04銭、TOPIXは3237.66まで上昇。ともに取引時間中の史上最高値となる
◎午後3時過ぎ
・債券先物が前営業日比1銭安の135円90銭で終了
・長期金利は1.670%で推移
◎午後3時30分過ぎ
・日経平均は同2175円26銭高の4万7944円76銭、TOPIXは同96.89ポイント高の3226.06で終了。ともに終値の最高値を更新
・プライム市場の売買代金7兆8899億円。値上がり銘柄数は全体の約91%に 

出所:MINKABU PRESS

オンラインで簡単。
まずは無料で口座開設

松井証券ならオンラインで申し込みが完結します。
署名・捺印・書類の郵送は不要です。