明日の株式相場に向けて=アルトマン効果で半導体株が爆発的人気に

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 きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比385円高の4万4936円と5日ぶりに反発。前日までの4営業日で日経平均は1200円あまり水準を切り下げており、もう一段の下げがあると嫌なムードが漂いかねなかったが踏みとどまった。世界的には株高局面が続いており、前日は欧州株市場全体の動向を表すストックス600が4連騰で史上最高値を更新、米国株市場でも主要株価3指数が揃って4日続伸し、NYダウとS&P500指数は最高値をつけた。東京市場が固有に警戒する材料があるとすれば、日銀による10月利上げの思惑と明後日に投開票が行われる自民党総裁選くらいだ。だが、いずれも想定されるシナリオが既に喧伝されており、相場的には耐性が構築されている。

 マーケットに目を向けると、AI関連株への波状的な投資資金の再攻勢が始まった。しかし、きょうはそれも特筆に値する勢いで、溜まっていたマグマが一気に噴出したような様相を呈した。9月の権利付き最終売買日であった前週9月26日あたりから半導体セクターはいったん利益確定のタームに入っていたのだが、売り圧力も前日までで一巡し、きょうは改めてファンド系資金が仕切り直しの買いを入れている。ディスコ<6146.T>や東京エレクトロン<8035.T>の大立回りが象徴的だ。また、貸株市場を通じた機関投資家による空売りの買い戻しも機能しているもようで、バークレイズやゴールドマン経由で売りターゲットとなっていたTOWA<6315.T>のリバウンドの動きなどに反映されている。

 きょうの日経平均の上昇は指数寄与度の大きい主力銘柄に資金が集中したことによってもたらされた。ソフトバンクグループ<9984.T>と東エレク、アドバンテスト<6857.T>、そしてディスコ、これらAI・半導体関連の主力4銘柄で日経平均を約550円押し上げている。つまり、この4銘柄を除けば160円程度のマイナスということになる。TOPIXは7ポイント安で着地しているが、日経平均に引き直すと100円あまりの下げにとどまっており、それよりも体感的には下げが大きかったことになる。

 直近は米オープンAIのサム・アルトマンCEOの一挙一動にスポットライトが当たっている印象を受ける。株式市場でもアルトマン効果が色濃く映し出されている。アルトマン氏は前日10月1日に訪韓し、韓国大統領府で李在明大統領やサムスン会長、SKグループ会長などと面会しており、サムスンやSKとデータセンター建設で協業する方向で話がまとまっている。また、きょうは日本でもアルトマン氏絡みの動きが報じられており、デジタル庁はオープンAIと行政効率化を目的とする生成AIアプリの開発・運用で連携体制をとることを発表した。いわゆる「ガバメントAI」の導入をオープンAIの協力によって進める構えにある。これを受けて、東京市場では株価的に休養をはさんで買いやすくなっていたAI関連の旗艦銘柄に物色の矛先が向いた格好だ。

 そうしたなか、キオクシアホールディングス<285A.T>は大量の買い注文にストップ高カイ気配に張り付く異彩人気を博した。同社はむしろ旧東芝メモリといった方が馴染みのある銘柄だが、NAND型フラッシュメモリーで堂々の世界首位クラスの実力を有する。これまでは、スマートフォンやパソコン向けなどを活躍のフィールドとしていたが、最近はAIデータセンターの世界的な増設ラッシュを背景に、データ記録に使うストレージデバイスであるSSDで特需を享受しており、これが急騰DNAに火をつけた。1日付でSMBC日興証券が同社の目標株価を2000円から4800円に上方修正したのだが、証文の出し遅れというべきか、きょうの株価は既にその上方修正後の株価目標を600円以上も上回る5410円で張り付いた。正直バブルチックな動きではあるが、大きな潮流が発生している時は、合理から外れた方向に徐々に加速していく相場の本領を示したともいえる。

 このほかKOKUSAI ELECTRIC<6525.T>や東京精密<7729.T>などもマドを開けて新値街道に突入している。大型株が全軍躍動状態にあるだけに、半導体セクターの中小型株は相対的に目立たないが、プローブカード専業の日本電子材料<6855.T>や製造装置向け精密部品を製造するマルマエ<6264.T>、半導体向け超純水装置大手で株式需給面から取組妙味のある野村マイクロ・サイエンス<6254.T>などもマークしておきたい。

 あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される8月の失業率、8月の有効求人倍率にマーケットの関心が集まる。10月の日銀当座預金増減要因見込みも取引開始前に開示される。前場取引時間中には3カ月物国庫短期証券の入札行われるほか、植田和男日銀総裁が大阪経済4団体共催懇談会で挨拶を行う(午後2時に記者会見を予定)。後場取引時間中には日銀から需給ギャップと潜在成長率が開示される。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にオーバーラップホールディングス<414A.T>が新規上場する。海外では9月のISM非製造業景況感指数が開示されるほか、FRB高官の発言機会が相次ぎ、この日はウィリアムズNY連銀総裁やジェファーソンFRB副議長などの講演が予定されている。なお、中国(上海・深セン)市場、韓国市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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