明日の株式相場に向けて=25日線に急接近、黄金の買い場到来か
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名実ともに10月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比381円安の4万4550円と4日続落。9月相場は月間で2200円あまりの上昇(8月末終値比較)、最大値では9月25日終値でつけた最高値4万5754円まで約3000円の上昇と好パフォーマンスを達成した。アノマリーでは年間を通じてもかなり弱い月に位置付けられていたが、今年の9月は想定外に強かった。ただ、10月に片足を踏み入れた直近4営業日合計では1200円強の押しを入れている。日本時間のきょう午後1時から米政府機関の一部閉鎖が現実化したこともあり、投資マインドもやや慎重となっている。 もっとも、日経平均は今年4月上旬の急落を経て、そこからはほぼ一貫して下値を切り上げており、4月下旬に25日移動平均線をブレークしてからは、同移動平均線が強力な下値サポートラインとして機能してきた。押し目を形成し同移動平均線とのプラスカイ離を埋めたところで買い出動すれば、ほぼ確実にリバウンドの恩恵を享受できたことになる。9月相場が想定外に強かったというよりは、「4月以降、約半年にわたり想定外に強い相場が継続している」というのが本当のところだ。そして、例年10月以降は年末に向けて日米ともに株式市場は書き入れ時となるパターンが多い。過去を顧みると、9月は弱くても10月、11月、12月と尻上がりに上値指向を強め、特に11月と12月の月間上昇率が大きくなるケースが目立つ。年初の相場アンケートで年末の高値着地を予想する市場関係者が多い傾向があるが、これも9月以降の株高アノマリーが底流にある。今年は9月まで上昇トレンドを一貫させてきた反動がそろそろ出てもおかしくはないが、米国株が崩れなければ、東京市場も基本的に下値切り上げトレンドが継続するという見方が自然ではある。 半導体やデータセンターを含むAI関連投資がバブル的な要素をはらみながら膨張していることは否めない。しかし、かといってこれが早々に破裂する時間軸にはないともいえる。ソフトバンクグループ<9984.T>が主導的に参画するトランプ米政権肝いりの「スターゲート」はまだスタート地点に立ったばかり、ようやく投資対象を開示した段階でまだ1合目という状況だ。したがって、株式市場でもAI関連やその周辺株を中心に調整局面を丁寧に仕込んでいくというスタンスが有効と考えられる。 投資家は積み上げていた待機資金をいつ投入すべきかが問題であるが、日経平均で言えば、前出の25日移動平均線が押し目買い出動のタイミングを促す強力な目印となっている。同移動平均線は直近で4万4000円弱の水準を走っており、今回の調整で上方カイ離の解消が迫っている。時価近辺の4万4000円台半ばから漸次買い下がっていって報われる可能性はそれなりに高い。株式需給面では、直近の空売り比率は40.39%(9月末現在)で3営業日連続で40%台を上回っている。特別高い水準とはいえないが、ほどよくショートカバーの種は撒かれている。 ここで10月相場の過去のデータを見ると、直近10年間で日経平均の月間騰落という点では6勝4敗なのだが、海外投資家は実に9回買い越している。昨年まで6年連続で買い越しており、コロナ禍でもその姿勢に変化はみられなかった。換金売りの9月を経て海外マネーが再び流れ込む。10月は1987年のブラックマンデーというダークサイドの記憶もあるとはいえ、基本的に東京市場には追い風が吹きやすい月である。リスクとしては、米連邦政府の「つなぎ予算」が期限までに成立せず、政府機関の一部が閉鎖される事態に陥っていること。ただ、政府機関閉鎖は第1次トランプ政権の2018年の年末にも経験したことで、当時はいったん株価が下落したものの、閉鎖が解消されてからの戻り足も急であった。今回もその時の学習効果が働くと思われる。 トランプ大統領にすれば渡りに船で、今回わざと政府機関の閉鎖に誘導した感も強い。閉鎖を利用して人員削減を進め、政府の規模縮小を図るというシナリオだ。抵抗勢力に非を押し付ける形で、イーロン・マスク氏の作った水路に再び水を流し込む好機と捉えているフシがある。仮に3日に予定される9月の米雇用統計の開示が遅れたとしても、地政学リスクと一緒でそれが米株市場のトレンドを転換させるものではない。民主党と突っ張り合って解決に至らず長期化した場合は、それなりに経済的な影響は出てくることは避けられないが、それも含めトランプ氏はしたたかに計算してうまく立ち回る可能性が高い。 あすのスケジュールでは、9月のマネタリーベース、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示される。また、前場取引時間中に10年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には9月の消費動向調査、9月の財政資金対民間収支が発表されるほか、全国証券大会が行われる(日銀の内田真一副総裁が午後3時半過ぎに挨拶を行う予定)。海外では8月のユーロ圏失業率が発表され、米国では週間の新規失業保険申請件数、8月の製造業受注などにマーケットの関心が高い。なお、この日は中国(上海・深セン)市場やインド市場は休場となる。(銀) 出所:MINKABU PRESS