大塚竜太氏【10月相場はどうなる、下期入りも流れは不変か】 <相場観特集>
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―最高値圏で上昇一服の日経平均、調整局面への警戒は?― 29日の東京株式市場は日経平均株価、TOPIXともに下落した。きょうは9月の配当権利落ちに伴う下落圧力が日経平均で300円ほど作用しており、前週末の下げを取り戻す形でプラス圏に切り返せるかどうかが注目されたが、想定よりも上値の重い展開であったといえる。ただ、引き続き下値では押し目買い意欲が活発であり、4万5000円近辺は投資家の強弱観が対立している状況だ。ここからの相場展望と物色対象について東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏に話を聞いた。 ●「4万5000円台割れは買いの好機と判断」 大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト) 週明けの東京株式市場は続落を余儀なくされたが、配当権利落ち分が300円程度下げに作用しており、これを考慮するとそれほど弱い地合いともいえない。前週末の欧米株が高かったことで、東京市場もその流れを引き継いで権利落ち分を埋めることへの期待もあったが、9月相場、特に9月4日以降は日経平均が想定外の急ピッチで上値を追ってきただけに、その反動が出ても不思議はない。下期に入って早々は機関投資家によるリバランスに伴う利益確定売り圧力が発生しやすく、受け渡しベースで10月相場入りとなっている現状、そのハシリもしくはそれを警戒した売りが上値を押さえた可能性が高そうだ。 もっとも、押し目は出遅れた向きの買いニーズが強い。結論から言えば、10月相場の日経平均のレンジは4万5000円から4万7000円のゾーンでみており、ややボラティリティは高いものの総じて強含みで推移する公算が大きそうだ。4万5000円を割れた水準は買いの好機として強気に対処して報われよう。 前週末26日に開示された8月の米PCEデフレーターは事前予想とほぼ合致し、FRBが年内の追加利下げの可能性を排除しないとの見方が強まった。ただし、今週末発表される9月の米雇用統計はもちろんのこと、今後の経済指標次第で米利下げ期待は今後も揺れ動くことになる。経済指標発表ごとに米金融政策に思惑を巡らせても始まらない。基本的には米経済は強いとみており、過度な利下げ期待が後退したとしても、景気の底堅さが支えとなって米株市場のトレンド自体が崩壊するようなことはないと考えている。 10月4日の自民党総裁選への関心も高いが、これもそれほど神経質となる必要はなさそうだ。マーケットは小泉新総裁の誕生を事前に織り込みつつある。また、誰が新総裁になったとしても、野党との連携を図っていくことは不可避であり、その意味で財政拡張的な政策路線に進まざるを得ない。東京市場にとっては総裁選後に追い風が吹くことに変わりはなさそうだ。 物色対象としては三菱重工業 <7011> [東証P]やIHI <7013> [東証P]など防衛関連に着目。トランプ米大統領が10月に来日する予定にあるが、日本の防衛費拡大への要請を改めて強める可能性があり、関連銘柄に刺激材料となろう。このほか、IP(知的財産)関連の代表格で任天堂 <7974> [東証P]の押し目を狙ってみるのも一考の余地がある。 (聞き手・中村潤一) <プロフィール>(おおつか・りゅうた) 1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。 株探ニュース