明日の株式相場に向けて=「無電柱化」で国土強靱化に資金還流の兆

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 きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比124円高の4万5754円と3日続伸。最高値街道をひたすら進む展開。とにかく強いとしか言いようのない相場である。上値が重いように見えるのだが、ジリジリと前進を続け止まらない。買い方の歓喜の声が聞こえてくるような地合いではないものの、ショートポジションを積み上げ波乱を待っている向きにとっては、徐々にコーナーに追い詰められていくような苦しい展開が続く。総投げならぬ、総踏み上げ状態となり全体指数がどこかで噴き上げる可能性もありそうだ。逆にそうなればいったん目先の天井をつける公算が大きいが、買い方もそれまでは売りを出してこないという暗黙のコンセンサスが今の強調相場の底流にある。

 来週10月4日に行われる自民党総裁選に当面のマーケットの関心が向いているが、誰が新総裁に就任しても政策への期待感が高まりやすく、株式市場でもその潮流に乗り遅れないように投資マネーが虎視眈々と機を窺っている。直近では予測市場(賭けサイト)のポリマーケットで小泉進次郎農水相が80%を超え、その後若干水準を切り下げているがそれでも70%を上回る状態にある。ここからは小泉氏勝利の可能性がかなり高いことが示唆されている。しかし、まだ分からない部分もある。10月のトランプ米大統領の訪日の話が浮上しているが、アベノミクス継承の保守派、高市早苗前経済安全保障相をトランプ米政権としては推している可能性も高い。石破政権に対してトランプ氏は冷た過ぎた。こう考えると永田町のパワーバランスでは小泉氏勝利は既定路線のようにも見えるが、反リベラルのトランプ・エフェクトを考慮すると高市氏の選択肢が消えているとも言い難いのである。

 いずれにせよ、折に触れ“高市トレード”がクローズアップされるように、新総裁によって物色の矛先が変わるのは、これは一種のマネーゲームとして投資家は受け入れるよりない。しかし、「国土強靱化」のような国民の生命の営みに関わるインフラ再構築は、誰が就任しようとも国策の最優先課題として推し進めなければならない。AI・半導体関連株に波状的な買いが押し寄せる一方で、一時爆発的な物色人気に沸いた下水道関連株の余韻も残っており、内需系へのローテーションも念頭に置いておく必要はありそうだ。

 そうしたなか、きょうは下水道関連と同じテイストの銘柄の一角に買いが誘導される格好となった。その典型は当欄でも継続的に取り上げてきたイトーヨーギョー<5287.T>で、長い上ヒゲ形成とはなったものの一時20%を超える急騰を演じた。これは、東京都が計画する無電柱化(電線地中化)を加速するため、指定地域で新たに宅地を開発する際の電柱新設を原則禁止する方針が伝わったことに反応したものだ。小池百合子都知事は2016年の初当選時に掲げた「7つのゼロ」の一つとして無電柱化を挙げているが、なかなか思うように進んでいない実態がある。これに鞭を入れる形で26年にも新設禁止を義務付ける条例の制定を目指すという。宅地開発に伴う電柱新設を禁止する条例は全国初ということもあって、関連銘柄の株価刺激材料としてもインパクトを与えている。

 AI・半導体関連株では、生成AI関連の需要獲得に経営の重心を置くディスコ<6146.T>がここ上げ足を加速させているが、一方でテーマ買いの象徴株となっていたアドバンテスト<6857.T>の上値が重くなるなど、一部に買い疲れ感も垣間見られる。その観点では無電柱化は古くて新しいテーマとして良い意味で投資マネーの循環を促す契機となる。もちろん、無電柱化の必要性は東京都に限ったことではない。24年の年初に起こった能登半島地震では電柱の倒壊あるいは傾斜が3000本以上に及び、緊急車両が通行できないというような事態に陥った。いわゆる全国規模で中長期的に取り組む重要課題といえる。

 下水道インフラ関連としてオーラを感じさせた日本ヒューム<5262.T>は無電柱化でも活躍機会が多く、押し目買い対象としてチェック。また、25日移動平均線と収れんする形で値幅調整十分の旭コンクリート工業<5268.T>は要マーク銘柄となる。旭コンは3月決算銘柄だが、期末一括配当で9月末の配当権利落ちに伴うノイズからも解放されている。このほか、日本コンクリート工業<5269.T>は300円台という値ごろ感が魅力。更にタイガースポリマー<4231.T>は半導体製造装置用パッキンを手掛けAI・半導体関連穴株としての側面を持つが、電線地中埋設用ケーブル防護管でも高シェアを有しており、ここでも注目となる。

 あすのスケジュールでは、9月の都区部消費者物価指数(CPI)、週間の対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、IPOが1社予定されており、東証スタンダード市場にUNICONホールディングス<407A.T>が新規上場する。なお、この日は9月の権利付き最終売買日となっており、配当権利取りに絡む動きも想定される。海外では8月の米個人所得・個人消費支出・PCEデフレーターにマーケットの関心が高い。9月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も開示される。このほか、ボウマンFRB副議長の講演も予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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