世界最強株を追う、急騰DNA開花前夜の「ニッチトップ超特選8銘柄」 <株探トップ特集>

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コラム

―リスクオン相場で輝く本物の輝き、グローバルニッチトップに注がれる熱視線の行方―

 米国を筆頭とする世界株高の大潮流に乗り、東京株式市場もリスクオン相場に拍車がかかっていたが、目先は波乱含みの様相を呈した。週末19日は朝方に日経平均株価が一時500円以上水準を切り上げ4万5800円台まで上昇し、最高値街道を突き進むとともに未踏の4万6000円台も視野に入れる場面があった。しかし、後場に入ると先物主導の売り仕掛けで日経平均は急速に値を消す展開となり、今度は800円あまりの急落で4万4000円台半ばまで水準を切り下げる荒れ模様の展開に。その後は再び押し目買いで下げ渋ったが戻し切れず、結局マイナス圏で取引を終えている。

●日銀のETF売却決定でも影響は軽微

 日経225ベースのPERは18倍台(18日引け値ベース)まで上昇していたほか、ボリンジャーバンドもプラス3σ(シグマ)に接近しており、高値警戒感が付きまとっているのも事実である。この日は日銀金融政策決定会合の結果が開示されたが、事前予想通り5会合連続で政策金利の据え置きが発表された一方、ETFの売却を決めたことが利食い急ぎの動きを誘発する材料となった。

 最近の東京市場は強過ぎる全体指数の動向と遊離する形で個別株は値を下げるものも目立っていたが、これも投資家の疑心暗鬼を反映したものであったといえる。しかし、日銀による年間のETF売却額は簿価で3300億円、時価ベースでも6200億円程度にとどまり、これは市場全体の売買代金に占める0.05%程度に過ぎない。当然ながら相場の上昇トレンドを揺るがすだけのインパクトはない。この理解が、その後に全体指数がバランスを取り戻す背景となった。

●世界最強の商品競争力を持つ企業に照準

 ただし、日銀のETF売却決定はこれまで過熱気味に買われてきたマーケットをクールダウンするトリガーとなったことは確かで、株価的な値ごろ感や出遅れ感だけを拠りどころに銘柄を買い漁るという手法を戒める契機とはなりそうだ。何かネガティブな話が出るたびに、今はAIアルゴリズム売買による先物への機械的な売り仕掛けが投資家マインドを揺さぶるケースが多くなっている。その際に、成長力を担保された企業とそうでない企業とでは株価の復元力に差が生じやすい。

 今後はファンダメンタルズからのアプローチによって銘柄選別の動きが強まることも予想される。ここ物色人気が本格化している半導体関連にしても、世界で戦える企業であるかどうかという観点は投資の一つの尺度として必要となってくる。半導体分野周辺に限らず、株価評価の重要な根拠となり得る世界トップの商品競争力を誇る企業群の中から、株高余地が大きいと思われる銘柄にスポットを当てるのは有効な投資戦略だ。

●エヌビディアもスタートはニッチトップ

 特定の分野であっても世界的に群を抜く商品シェアを有する企業は、機関投資家目線でも組み入れニーズが強い。高度な技術力や製品を持つ企業は、それだけ成長に向けた伸びしろを持っていると判断されるからだ。いわゆる「グローバルニッチトップ」と言われる企業だが、その典型がマスクブランクス検査装置をワールドワイドに独占供給するレーザーテック <6920> [東証P]で、同社は2024年の最高値4万5500円をつけるまで、10年あまりで株価を200倍以上に大化けさせた実績を持つ。

 また、世界に目を向けると、グローバルニッチトップのモンスターと呼べる銘柄が存在する。いうまでもなく米エヌビディアである。同社はゲーミング用に開発されたGPU(画像処理半導体)の独占的サプライヤーであったが、生成AI市場の急拡大を背景とするAIサーバーの爆発的な増設ニーズを受けて驚くべき収益成長を果たした。AIサーバーに搭載されるAI用半導体として並列処理を強みとするGPUが需要を丸呑みする形となったことが、同社の業績と株価を大変貌させた。こちらは約10年で株価が350倍以上となり、今や時価総額世界首位というビッグテックに成長したことは周知の通りである。

 これらは特異な例としても、「世界で必要とされる技術やサービスを、世界で一番多く供給できる企業」に、中期的タームで実需の買いが流れ込むのは極めて合理的な投資マネーの動きといってもよい。今回のトップ特集では、グローバルに名を馳せるトップシェア商品を有する企業の中から、株価面でも変身妙味を内在させる8銘柄を厳選エントリーした。

●強烈に存在感を高めるトップシェア銘柄8選

◎メック <4971> [東証P]

 メックは電子パッケージ基板や部品などの製造で使う金属表面処理薬品で世界屈指の実力を有し、とりわけ収益主力を担う半導体パッケージ銅表面処理剤では堂々のトップシェアを誇る。電子デバイスはデータセンターのAIサーバー向けなどの高性能品で旺盛なニーズを捉え、同社の商機が高まっている。25年12月期は営業利益が前期比10%増の50億円予想と連続で過去最高更新が見込まれる。更に26年12月期も2ケタ成長でピーク利益更新が続きそうだ。株価は9月上旬にマドを開けて上げ足を強めた後もマド埋め拒否の強基調を維持。既に3000円台前半を上放れ、1月につけた年初来高値3710円奪回は時間の問題か。

◎TOWA <6315> [東証P]

 TOWAは超精密金型で培ったコアテクノロジーを武器に、半導体製造の後工程である樹脂封止装置や切断加工装置を手掛けており高技術力に定評がある。アジア地域を中心に海外売上高比率がほぼ9割を占めるグローバル企業で、樹脂封止装置の商品シェアは世界で不動の首位を確保している。特にAIサーバー需要が急拡大するなか、サーバー内に搭載されるAI半導体のHBM(高帯域幅メモリー)を独自の圧縮方式によって摩擦を起こさず空気も残さずに封止する装置を手掛け注目度が高い。業績は回復色が鮮明だが、27年3月期以降に伸びが加速する公算大。株価は中勢4000円台での活躍を視野に入れそうだ。

◎ニッポン高度紙工業 <3891> [東証S] 

 高度紙はアルミ電解コンデンサー向けを主力とするセパレーターの専業大手で、売上構成比の100%をセパレーターで占め、このうち全体の8割はアルミ電解コンデンサー用の売り上げとなっている。世界シェアも約60%と群を抜く。そのなか注目すべきは近年の生成AI市場の拡大を背景に同関連設備分野向けの需要が膨らんでいることだ。26年3月期は営業利益が前期比6%増の26億円を予想しているが、進捗率などから上方修正される可能性十分。また、積極的な増配指向にあり配当利回りは3%台に達している。株価は年初来高値圏にあるものの天井は高く、時価は最高値4250円の半値水準に過ぎない。

◎フェローテック <6890> [東証S]

 フェローテクは半導体製造装置向け部品を手掛け、特に必須部品である磁性流体技術を応用して外部と内部の圧力差を維持する真空シールでは、グローバルで約6割という圧倒的シェアを獲得している。業績は売上高の過去最高更新基調が続く一方、営業利益は24年3月期に前の期比3割減益と落ち込んだ。しかし、その後は利益率も改善し26年3月期の同利益は前期比16%増の280億円と2ケタ増益を見込んでいる。PERやPBRに割高感が乏しいほか、総還元性向を50%に設定するなか今期配当利回りも3.7%弱と高水準でインカムゲインにも魅力がある。株価は21年11月の上場来高値4695円奪回を目指す方向に。

◎フルヤ金属 <7826> [東証P]

 フルヤ金属は白金やレアメタルなどの希少金属を工業用に製造加工する。特にイリジウム化合物ではニッチトップの座を確保しており、半導体分野で高付加価値製品の展開に力を入れている。世界的なデータセンター増設ラッシュを背景に記録媒体の需要が急増しており、同社のスパッタリングターゲット(薄膜形成材料)が好調で中期的にも収益貢献が期待できる。26年6月期は減収・営業2割減益見通しにあるものの、来期はV字回復が視野。株価は8月上旬にいったん大きく水準を切り下げた後、鮮烈に切り返す動きとなった。貸株市場を通じた空売りが積み上がっており、この買い戻しで株価に浮揚力が働いている。

◎NITTOKU <6145> [東証S]

 NITTOKは精密FAのトップメーカーでコイル用自動巻線機では世界首位の商品競争力を誇る。電子デバイスや自動車、家電、精密機器向けなど幅広い分野にコイル巻線機及び周辺機器を提供する。26年3月期は売上高が前期比20%増の400億円と連続で過去最高を更新見通しにある。また、前期に大きく落ち込んでいた営業利益も同2.9倍となる33億円と急回復を見込む。株主還元にも前向きに取り組み、配当性向を40%以上に設定し、今期年間配当は前期実績から8円増配となる50円を計画。株価は25日移動平均線を足場に上放れが期待でき、年初来高値2450円の奪回から更なる一段高へ。

◎オプテックスグループ <6914> [東証P]

 オプテクスGは防犯用や自動ドア用センサーなどを中心としたセンサーの総合メーカーとして同業界トップの実力を誇る。時代を映し防犯用センサーに引き合い旺盛だが、米国のデータセンター向けなど大型施設向けで実績を重ねている。また、画像検査用LED照明などでも高い商品競争力を有する。業績はトップラインが近年順調な伸びを続けており、利益面でも24年12月期に営業2割増益を達成し、25年12月期も前期比4%増の74億円と連続でピーク利益更新を見込む。株価は2000円台に乗せ年初来高値圏で頑強だが、18年1月には3640円(分割修正後株価)の最高値をつけるなど天井も高い。

◎セーレン <3569> [東証P]

 セーレンは総合繊維メーカーの老舗企業であり、自動車用シート表皮材で世界首位の競争力を有するほか、エアバッグなども手掛ける。独自に培った繊維技術を駆使して多方面に展開し、アパレルをはじめ電磁波シールド材や化粧品分野などを開拓している。また、海外半導体メーカー向け防塵衣用導電糸も収益に貢献している。業績はここ数年来好調を極め、22年3月期以降トップライン・利益ともに一貫した成長トレンドを維持。27年3月期はM&A効果などの発現で再び伸びが加速しそうだ。株価は9月5日に3220円の年初来高値をつけた後一服しているが、3000円近辺は好仕込み場となっている公算が大きい。

株探ニュース

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