【植木靖男の相場展望】 ─バブル化の予兆が強まる?

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コラム

「バブル化の予兆が強まる?」

●日経平均5万円も通過点に

 日経平均株価は順調に上昇し、連日のように史上最高値を更新している。多くの市場関係者の意表を突く形の上昇であり、ここへきて追随するかのごとく先行きの株価予測を引き上げる動きも活発化している。

 「日経平均株価5万円説」も次々と唱えられている。数カ月前とは大違いの状況だが、市場を巡る諸環境は当時からあまり変わってはいない。つまり、株価の上昇に背を押される形で予測を引き上げたというのが正しいところだろう。その根拠となる理屈は、日本経済がデフレからインフレ時代に転じ、来期の企業業績は好転する、ならばPER(株価収益率)からみて5万円も可能、というものだ。

 しかし、筆者は「5万円」では収まらないとみている。なぜなら、バブル化の予兆が強まっていると感じるからだ。過去のバブルを振り返ると、大正3年からスタートした大相場と現在は酷似している。詳細は省くが当時、米価が急騰し、つれて他の食品価格がつれ高となり物価は急上昇した。現在も日本人の食の原点である米価の上昇が止まらない。

 ここで強調したいのは、バブルはその始まりの時点では予測し得ないものであるということだ。現在、警戒を口にはしても、バブルを真剣に意識している人はほとんどいない。しかし、地価の上昇、株価の最高値更新、ゴルフ会員権の15年ぶり高値、さらには米価・食品価格の高騰、長期金利の上昇などをみれば、バブルの兆候は今後ますます強まるのではないか。

 やがていまの株価上昇が続くと、5万円説は当たり前となる。しかし、多くの人がそれを疑わなくなると、5万円で止まることはないのが、過去のバブル相場の経験からは明らかだ。

 短期的にはどうか。チャート的には4万5500円処で一服か。この水準は週末18日、19日に達した。材料面では、米国株の動向も大事だが、国内的には当面、政策面が大きくなる。自民党総裁選が近いが、仮に高市早苗前経済安全保障相が首相になれば、積極財政の拡張により一段とバブル化の様相が強まろう。

●流動性の高さが万一の時の命綱に

 こうしたなか、当面の物色をどうみるか。目下、指標をみるとハイテク株の多い日経平均株価も、内需株の多い TOPIX(東証株価指数)もともに史上最高値を更新している。ハイテク株にせよ内需株にせよ、こういう際にはいざという時に抜け出せるように出来高の多い銘柄に人気が集まりやすい。

 テーマ的には引き続き防衛、AI(人工知能)、造船、金融関連などが交互に物色されている。目先的にみると、突然動意づいてきたのが商社株だ。おなじみの銘柄だが、柱は三菱商事 <8058> [東証P]だろう。

 また、やや色あせてきた感もあるが、防衛関連も下げたら買いだ。東京計器 <7721> [東証P]に注目したい。造船関連も数が少ないだけに、銘柄が絞りやすい。政府も動き出した。三井E&S <7003> [東証P]は商いができるだけに安心だ。さらに久しぶりに動き始めたNEC <6701> [東証P]も個別に妙味がありそうだ。

 そして 不動産株だ。先行きバブルとなれば、かなり息の長い上昇となろう。三井不動産 <8801> [東証P]、住友不動産 <8830> [東証P]のほか、東宝 <9602> [東証P]も要注目。東宝は「鬼滅の刃」や「国宝」の記録的ヒットに加えて、不動産株としても見直されよう。

 このところ急上昇しているのが助川電気工業 <7711> [東証S]。核融合発電関連として再評価されている。

2025年9月19日 記

株探ニュース

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