「教育DX推進」目覚める精鋭株を追え、最新デジタル環境で学びを支援 <株探トップ特集>

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コラム

―文教関係の予算4兆5083億円、GIGAスクール構想など更に加速へ―

 文部科学省は8月29日、2026年度予算の概算要求を公表した。一般会計の総額は25年度当初予算に比べて10.0%増の6兆599億円で、6兆円超えの要求は08年度以来18年ぶりとなる。教育のデジタル化推進や誰もが学べる環境整備を柱とした包括的な施策などが盛り込まれ、文教関係の予算は4兆5083億円(25年度当初予算は4兆2282億円)に拡大。最新のデジタル環境で学びを継続できる体制が整えられる見通しで、教育DX関連銘柄を改めてマークしたい。

●教育DXと校務DXに再脚光

 文教関係予算のうち予算配分が大幅に増えた項目は、GIGAスクール構想の更なる推進と学校DXの加速で226億円(同39億円)。情報活用能力の抜本的向上や校務DXの加速及び基盤整備、1人1台端末の着実な更新などに注力する構えだ。

 直近では内田洋行 <8057> [東証P]が、情報通信技術(ICT)を活用した未来志向の教育環境の構築、及び地域に根差した持続可能な学びの創出を目的に、福岡教育大学と包括連携協定を締結。具体的には福岡教育大学附属学校の福岡・小倉・久留米の3拠点(附属小・中学校)に一斉整備された未来の学習空間「フューチャークラスルーム」を拠点に、教育環境の実証・検証・改善に継続的に取り組む考えだ。

 チエル <3933> [東証S]とコクヨ <7984> [東証P]は共同で、全国の教育施設向けに教育環境のICT利活用を提案する販促物の企画・制作やセミナーなどを行うマーケティング協業を開始。チエルが提供する各種ソリューションと、コクヨが持つ可動性の高いデスクやチェアなどの教育施設向け家具、ICT機器の活用を想定した什器などを組み合わせた教育空間提案を検討するという。

 FCE <9564> [東証S]は7月、Edutainment Education(大阪府摂津市)とマーケティング及び教育商品開発で協業すると発表。6月には中高校生向け検索型学習アプリや教育機関向け学習支援ツールなどを展開するokke(東京都中央区)と資本・業務提携しており、教育現場に対する新たな価値提供と中長期的な事業シナジーの創出を目指す。

 このほか、教育機関向けに最適化された生成AIサービス「exaBase 生成AI for アカデミー」を提供するエクサウィザーズ <4259> [東証G]、小中学校向け学習クラウドを手掛けるジャストシステム <4686> [東証P]、グループ会社がICT教育支援を行っているテクノホライゾン <6629> [東証S]、教育現場向け各種ソリューションを展開するエレコム <6750> [東証P]などにも注目したい。

 校務DX関連では、直近でHENNGE <4475> [東証G]の企業向けクラウドセキュリティーサービス「HENNGE One」が、文溪堂 <9471> [名証M]の統合型校務支援システム「Te-Comp@ss」へのシングルサインオン連携に対応。これにより、「HENNGE One」を利用する組織は、「Te-Comp@ss」へのシングルサインオンが可能となり、煩わしい複数IDやパスワードの管理から解放されるという。

 Fusic <5256> [東証G]はこのほど、福島県南相馬市のすべての小中学校(全17校、想定利用者数は約3100人)と教育委員会に、連絡サービス「sigfy(シグフィー)」の提供を開始。保護者や教職員、自治体職員の利便性向上と業務負担の軽減に役立つサービスとして、これまで九州や関東エリアなどで提供してきたが、東北エリアで初めて自治体規模での導入となった。

 EduLab <4427> [東証G]は6月、グループの教育測定研究所が文科省実施の「セキュアな環境における生成AIの校務利用の実証研究事業」における「生成AIの校務での活用に関する実証研究の支援・分析・成果とりまとめ、諸課題の調査・検証」に係る業務を受託したと発表。教育課題の解決や教職員の働き方改革、教育DXの推進に注力する構えだ。

 これ以外では、校務支援サービス「Clarinet」を提供するサイバーリンクス <3683> [東証S]、スクール・コミュニケーション・プラットフォーム「ツムギノ」を扱うテクマトリックス <3762> [東証P]、校務支援クラウドシステム「スクールエンジン」を手掛けるシステム ディ <3804> [東証S]、スクール管理システム「プラチナスクール」を展開する大和コンピューター <3816> [東証S]などが関連銘柄として挙げられる。

●デジタル教科書関連にも注目

 中央教育審議会(文科相の諮問機関)のワーキンググループ(WG)は今月5日、学校でのデジタル教科書の活用に関する報告書の素案を公表。デジタル教科書も教科書と認めたうえで、導入する学年や教科、学習場面など、具体的な活用方法のイメージを示すガイドライン(指針)を作成する方針が示された。30年度をメドに正式な教科書として導入することが検討されており、関連銘柄から目が離せない。

 すららネット <3998> [東証G]は、グループ会社のファンタムスティックと共同で開発を進めてきた次世代デジタル学習サービス「Surala-i(すららアイ)」を26年春から順次展開する予定だ。既存のICT教材「すらら」のコンテンツや機能を生かしつつ、より一人ひとりの個性や学び方に寄り添った新しい学習体験を提供する。

 テクミラホールディングス <3627> [東証S]子会社のネオスは、ドリルなど副教材のデジタル化、キャラクターやゲーミフィケーションを取り入れた知育・教育コンテンツの開発などを展開。さまざまな顧客カテゴリーにあわせたコンテンツプロデュース・開発・保守・運用に対応している。

 YE DIGITAL <2354> [東証S]は、学習者用デジタル教科書キャッシュ機能を提供している。これはデジタル教科書配信プラットフォームから取得したコンテンツを、学校ネットワークアクセス管理装置「NetSHAKER W-NAC」内に一時的に保存し、同じコンテンツに児童生徒がアクセスする際に、保存したコンテンツから応答させる機能だという。

 他の関連銘柄としては、教材の配信プラットフォームを提供するMITホールディングス <4016> [東証S]、デジタル教材プラットフォームを手掛けるカシオ計算機 <6952> [東証P]、デジタルドリルと協働学習支援ツールを一体化したサービスを手掛けるTOPPANホールディングス <7911> [東証P]などがある。

株探ニュース

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