ドル円は一時147円台前半に下落 FOMC待ちで変化なし=NY為替概況
投稿:
ドル円は一時147円台前半に下落 FOMC待ちで変化なし=NY為替概況 きょうのNY為替市場、全体的にドル売りがやや優勢となる中、ドル円は一時147円台前半に値を落とした。本日の21日線は147.55円付近に来ていたが、基本的にはその付近での上下動が継続している。100日線と200日線の間でのレンジ取引に変化はない。 市場は今週のFOMCの結果を待っている。先月のジャクソンホールのシンポジウムでのパウエル議長の発言以降、雇用やインフレの指標を経て、市場はFRBの利下げへの期待を高めている。一部で観測されている0.50%ポイントの大幅利下げはないと見られているようだが、ほぼ利下げを確実視しているようだ。 短期金融市場でも完全に0.25%ポイントの利下げを織り込んでおり、利下げ再開自体は既定路線と考えられている。そのような中、市場は今回同時に発表されるFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)に関心が移っている。 市場は今回を含めて3回、年内に予定されているすべてのFOMCでの利下げを完全に織り込む動きが見られている。ドット・プロットが果たして市場の期待に沿った内容となるか注目される。いずれにしろ、FOMCまでは様子見の雰囲気が広がることも予想される。 ユーロドルは1.1770ドル近辺まで上昇し、ユーロ円は173円台半ばでの推移となった。174円に強い上値抵抗が観測されており、その水準には慎重なものの下押す動きもなく、年初来高値での取引が続いている。 アナリストは、ユーロドルは今週から再開されるFRBの利下げで、年末までに1.20ドルまで上昇する可能性があると述べている。米企業の税金支払いなどの季節要因が9月のドル買いを支えているが、10月以降はFRBが年内に計0.75%ポイントの利下げが予想されるため、ドルは下落するという。 同アナリストはまた、ECBは利下げサイクルを終了した可能性が高い中、ユーロドルの上昇余地は広範なドル安に左右されるとも述べている。 なお、短期金融市場は、FRBが年内の残りのFOMCである9月、10月、12月にそれぞれ0.25%ポイントの利下げを実施する確率を完全に織り込んでいる。 ポンドドルは1.36ドル台に上昇。一方、ポンド円は200円台を維持しており、年初来高値圏での推移を続けている。 今週は英中銀も政策委員会(MPC)が予定されているが、据え置きがほぼ確実視されている。インフレが高水準で推移しており、英中銀も追加利下げに慎重になっている状況。リーブズ財務相が11月に発表する秋季予算案で、増税が予想される中、英景気の先行きには不透明感が根強いものの、インフレへの懸念も根強い。英中銀はFRBと同様に「雇用の伸びが鈍る一方、公共料金など政策要因で物価が押し上げられる」という難しい状況でバランスを探っている。 市場はむしろ、今回は10月からの量的引締め(QT)の減速を注目しており、保有する国債の縮小ペースを減速させると見込まれている。英中銀は2022年初めにQTを開始し、保有する国債をピーク時の8950億ポンドから今年8月末までに5860億ポンドへと減らしてきた。直近12カ月では年1000億ポンドを削減している。ただし、10月以降はこれを年700億ポンド程度のペースに減速するとエコノミストは見込んでいる。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美