【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─脱炭素の柱、洋上風力発電の再生に期待!

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コラム

「脱炭素の柱、洋上風力発電の再生に期待!」

●新たな枠組みが求められる洋上風力発電

 8月27日、経済産業省は大きな衝撃に見舞われた。三菱商事 <8058> [東証P]が3海域で受注していた 洋上風力発電の建設計画からの撤退を表明したからだ。あれから2週間と少々。国の重要プロジェクトである洋上風力発電事業はどうなるのか。いまのところまだ目立った動きはないが、AI(人工知能)半導体事業の拡大が国策であるのと同様、洋上風力発電事業も「三菱商事が放棄したらもうどうしようもない」とはならない。

 三菱商事は撤退の理由を「コストが当初想定の2倍に達し、採算が取れなくなった」としており、この通りならば確かに他社も近づかない恐れがある。同社は日本の洋上風力発電事業の大半を低価格入札によって独占する戦略で突き進んでいた。だが、工事は遅々として進まずだった。

 この点を考えると、非常に欲張った受注による失敗。こうも言えるため、今後は入札方式や売電システムを見直して、新たなやり方で企業に参画を求めるならば、事業は前に進むと見てよい。実際、経産省は根本から洋上発電事業を再設計する意向を持っているとの報道もあり、今後は再入札が実施される可能性が高い。

 洋上風力は国の脱炭素政策の柱であり、欧州では既に実績が積み上がっている。日本でもその普及は不可避なのだが、今回の撤退を契機に、より現実的な採算モデルや官民連携の枠組みづくりが急務となっている。株式市場では、重荷を下ろした三菱商事が買われているが、もちろんこれは洋上風力発電事業から逃げ出した撤退策を評価してのこと。あまり褒められたことではない。

●4年の時を経て再挑戦が期待されるレノバ

 では、この難題となってしまった洋上風力発電事業に今後どんな企業が関わってくるのか。いまはどこも腰が引けてしまっているだろうが、名乗りを上げる可能性があるのは、レノバ <9519> [東証P]になるだろう。

 実は三菱商事が洋上風力発電事業を受注した4年前、多くの投資家が期待していたのがレノバだった。当時、同社は再生エネルギー事業のベンチャー企業として大いに期待を集め、私も同社の入札成功を願った記憶がある。しかし、三菱商事に敗れ、株価も急落した。それから4年、状況は急変したのだ。

 この4年間、レノバは太陽光発電やバイオマス発電などに注力、実績を上げてきた。洋上風力発電については三菱商事との競合入札に敗れて以降、事業展開の実績はないものの、新システムでの入札が行われたら真っ先に名乗りを上げる準備は整っている。こう想定できるため、株はいまから期待が持てる。株価がまだ1000円に届いていないのも魅力的だ。今後、洋上風力発電関連のニュースが出る度に水準を高めることが期待されるものの、小型株なので途中幾度も利食い売りが出て押しが入るのは避けられないだろう。この点は留意しておきたい。

2025年9月12日 記

株探ニュース

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