【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ AI半導体相場はまだ壮年期!ここから狙う銘柄は?

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コラム

「AI半導体相場はまだ壮年期!ここから狙う銘柄は?」

●心強い上昇を支える強力成長分野

 先週末5日の東京市場、やや異例の展開だったことにお気づきだろうか。米国の8月雇用統計の発表前にも関わらず、日経平均株価は438円高と大幅高を演じた。米7月雇用統計の発表では一悶着があった。過去2ヵ月分の数字の下方修正が大きすぎてトランプ米大統領が激怒し、集計担当の局長をクビにしたほど。そんな揉め事があっただけに、市場は警戒して買いを見合わせてもよかったのだ。だが、そうはならずに前日の641円高に続いて力強く上昇。トランプ大統領が対日自動車関税を15%に引き下げる決断を下したことを好感したにしても、心強い上げぶりだった。

 実は、他にも強力な上昇要因があってそうなったとみてよい。米ブロードコムの決算発表と今後の見通しに対する期待である。同社株に限らず半導体株は「もう限界」と幾度も指摘されながらも、なお高値を保ち続けているのだ。国内ではアドバンテスト <6857> [東証P]の動きに典型的に表れているように、背景にはAI(人工知能)半導体という強力な成長分野があると見てよいだろう。

 では、ブロードコムとはどんな企業か。米国カリフォルニア州に本社を置く世界的半導体大手だ。主力製品は通信機器やデータセンターに欠かせない半導体。特にネットワークチップやブロードバンド関連の技術に強みを持っている。さらにクラウド需要の拡大やAIの発展により、同社の半導体は基盤インフラとしての重要性を増しているのだ。アップルやアルファベットなどの巨大テック企業を顧客に抱え、売り上げの安定性でも高く評価されている。最近ではソフトウェア分野にも事業領域を広げ、半導体とソフトウェアの両面で収益基盤を強固にしている点も注目される。

 ただ、半導体相場は過去に循環的な盛衰を何度も繰り返してきた。こうした歴史を踏まえて現在のAI半導体ブームも間もなく終わる――こんな見方にも説得力はある。しかし、それはないだろう。「ChatGPT」を代表とする生成AIの普及により、演算能力を飛躍的に高めるGPU(画像処理半導体)や専用半導体の需要は構造的に拡大している。エヌビディアがその象徴的存在となっているが、ブロードコムも同様にAIインフラに欠かせない存在として評価を高めつつある。

●意外な半導体関連株にも注目!

 このように考えると、AI半導体相場はまだ初期段階を脱したばかりで、むしろ「壮年期」に入りつつあると見てよい。株価のボラティリティ(変動率)は大きいものの、成長の裏付けとなる実需は強固で、すぐに終焉を迎えるとは考えにくい。私の勝手な思い込みとの批判もあろうが、生成AIを使っている人とまだ使っていない人を比較すると、後者の方が圧倒的に多いのでないか。つまり「AI半導体相場はまだ壮年期」。こうなるのであり、ここでは改めてAI半導体関連株に着目したい。

 まずはなんといってもアドバンテストになる。半導体検査装置で世界トップ級。AI向けGPU需要の拡大で追い風に乗っている。株価が1万1000円台に乗り、簡単には投資しにくくなってしまったことが残念だが、有望度は引き続き高い。

 すでに紹介したことがあるが、フォトレジストで世界首位級の東京応化工業 <4186> [東証P]も、値動きは緩やかながら、需要の堅調増を考えると、株は魅力的だ。先週は一時急落し、週末は反発の兆しを見せたところだけになおさらだ。

 半導体ウエハ研磨剤に強い扶桑化学工業 <4368> [東証P]も見逃せない。AI半導体向けの需要が伸びているのだから、株は有望と見るのが自然だ。それにこの会社はリンゴ酸にも強く、世界首位級だ。特殊分野に強い企業の株は上がりやすい。この点でも期待が持てる。

 最後は、味の素 <2802> [東証P]になる。味の素は意外にも半導体関連株でもあるのだ。子会社の味の素ファインテクノ社が、「味の素ビルドアップフィルム」と呼ばれる製品を製造しており、これが半導体の絶縁材料となっているのだ。しかも、同製品を造れるのは味の素の子会社だけ。そのためシェアは実に100%。株価の上昇スピードは緩やかながら、着実高で推移しているため急がない投資には絶好だろう。

2025年9月5日 記

株探ニュース

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