人口減と高齢化で待ったなし! 表舞台に躍り出る「過疎化対策」関連 <株探トップ特集>
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―限界集落3万1000超、公共インフラなど集落機能の維持が困難に― 地方の過疎化が進んでおり、人口減少や高齢化によって従来からのコミュニティ機能が低下し、維持・存続が危ぶまれる集落(一定の土地に数戸以上のまとまりがある地域)が増えている。過疎化が進むと農林漁業といった一次産業の担い手が減ることから農産物や海産物の生産量が減少するほか、山林や耕作地が適切に管理できなくなることで害虫・害獣の被害増大や保水機能低下に伴う水害の激甚化・頻発化につながる恐れがある。空き家が増加すれば地域全体の治安が悪化する可能性もあり、過疎化対策は重要かつ喫緊の課題だ。 ●危惧される集落無人化 国土交通省と総務省は合同で、過疎地域をはじめとする条件不利地域における集落の現況把握調査を実施しており、8月8日に5年ぶりとなる調査結果を公表した。対象地域の集落数は2024年4月時点で7万8485(前回調査の19年4月時点は7万6710)で、1集落当たりの平均人口は184.9人(同198.8人)。65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占める「限界集落」は3万1515に上り、全体に占める割合は40.2%(同29.2%)と人口減少と高齢化が進んでいることが改めて浮き彫りとなった。 集落機能の維持状況については、機能が低下している集落が1万5141(同1万3132)、維持が困難な集落が2936(同2861)に増加。今後10年以内に無人化する可能性がある集落は488(同505)に減少しているものの、一方で無回答が1万6770(同6851)に増えている。無人化が危惧される地域の集落では、行政窓口や病院に行くためにクルマなどで21分以上かかる割合が2割を超えているほか、6割以上で空き家が管理不十分で、道路や用排水路、河川なども約半数の集落で管理不十分や荒廃している状態となっている。 過疎地域では自治体の税収が減少し、その結果としてインフラ整備や医療福祉など公共サービスの質が低下。このほかにも商店などの閉鎖、鉄道やバスといった利便性の低下、働き口の減少、耕作放棄地の増大など多くの問題があり、過疎化対策は待ったなしだ。 ●空き家対策関連 LIFULL <2120> [東証P]は国内最大級の不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」を運営しており、サービスのひとつとして「LIFULL HOME’S 空き家バンク」を提供。これは全国の自治体が管理する空き家・空き地の情報を集めたサイトで、国交省の「全国版 空き家・空き地バンク」のモデル事業に採択されている。 カチタス <8919> [東証P]は中古住宅の再生販売が主な事業で、商品化が困難な地方都市部・郊外の戸建て築古物件に集中するなど独自のポジションを確立。現在推進している第4次中期経営計画では28年3月期の販売棟数目標を1万件(25年3月期実績は7372件)に設定している。 バリュークリエーション <9238> [東証G]は解体工事を検討する空き家・古家の所有者に対し、適切な解体業者選びのサポートや土地・建物の活用提案までをワンストップで提供する「解体の窓口」を運営。6月にはアグレ都市デザイン <3467> [東証S]のグループ会社で、空き家や遊休不動産を再生させた一棟貸しの宿泊施設を展開するハウスバードとの協業開始を明らかにした。 ●オンライン診療関連 ジェイフロンティア <2934> [東証G]はオンライン診療・服薬指導・薬の宅配プラットフォームの運営や、医療機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援などを展開。8月にはオンライン診療・服薬指導アプリ「SOKUYAKU(ソクヤク)」に診療時のビデオ通話での三者間通話機能を搭載したことを明らかにした。 JMDC <4483> [東証P]グループのドクターネットは、放射線診断専門医による遠隔読影サービスや、診療科専門医による健診・検診専用の遠隔読影サービスのほか、遠隔画像診断に必要となるインフラシステムサービスなどを提供。国内最大級の遠隔画像診断プラットフォームに成長し続けている。 MRT <6034> [東証G]は医療情報のプラットフォームを提供しており、オンライン診療「ポケットドクター」なども手掛けている。これまで同社は多くの自治体などから事業を受託し、地域の医療課題解決のための取り組みを行っており、山間地域・過疎地域におけるオンライン診療サービスの可能性の拡大と質の更なる向上を図っている。 ●地域交通インフラ関連 ユニリタ <3800> [東証S]グループのユニ・トランドは、北海道恵庭市が運行する「えにわコミュニティバス」の運行システム構築と運用に参画している。同社は利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通ネットワークの再構築を実現するため、自治体・関係団体・事業者などと連携し、「公共交通×DX」の取り組みを支援していく構えだ。 ゼンリン <9474> [東証P]はアルプスアルパイン <6770> [東証P]グループのアルパインマーケティングと、公共ライドシェア事業を支援する配車アプリ・システム「NORAN(ノラン)」を開発済み。7月下旬から提供を開始しており、第1弾として福岡県宗像市で運行中の「宗像版公共ライドシェア」実証事業で運用されている。 Will Smart <175A> [東証G]は、地域交通インフラの課題解決に取り組むテクノロジー企業。デジタル技術を活用した既存業務の無人化や自動化に強みを持ち、バスターミナルにおけるバスダイヤ統合表示システムの新規開発や電気自動車(EV)カーシェアリング・無人レンタカー・ライドシェアなどを実現するIoT車載デバイスの提供、バス共同経営を支えるデータ分析基盤の構築など、幅広い分野での支援実績がある。 ●自治体業務効率化関連 チェンジホールディングス <3962> [東証P]のグループで自治体向けのDXソリューション「LoGoシリーズ」を提供するトラストバンクは8月、ノーコード電子申請ツール「LoGo フォーム」の導入数が関連団体を含み全国の4割以上となる800自治体を突破したことを明らかにした。 GMOグローバルサイン・ホールディングス <3788> [東証P]は7月、北海道内の15自治体が電子契約サービス「GMOサイン行革DX電子契約」を導入したと発表。今後電子契約サービスの利用を検討する自治体の支援を一層強化する考えだ。 データ・アプリケーション <3848> [東証S]は7月、新潟県小千谷市が基幹業務システムと窓口支援システムのデータ連携基盤として、エンタープライズ・データ連携プラットフォーム「ACMS Apex」を採用したことを明らかにしている。 株探ニュース