笹木和弘氏【日経平均上値追い止まらず、買い参戦は間に合うか】(2) <相場観特集>

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コラム

―最高値圏を快走、旺盛な個別株物色でリスクオン陰りなし?―

 18日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し史上最高値を連日で更新した。ショートポジションを組んでいた向きの買い戻しで強気相場が加速する格好となっている。今週は米国で重要経済指標の発表が相次ぐほか、ジャクソンホール会議など注目イベントも控えているが、買いの勢いは止まらない。テクニカル的には過熱感は拭えないものの、押し目待ちに押し目なしの状況となっている。投資家はどう対応するべきか。ここからの相場展望と物色の方向性について、雨宮総研代表の雨宮京子氏とフィリップ証券リサーチ部長の笹木和弘氏にそれぞれ話を聞いた。

●「『消費者重視の経済』への転換を評価、日経平均4万6000円も」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 日経平均株価の急伸の背景には、日本経済は「消費者重視」へと変わりつつあり海外投資家はこれを評価していることがある、と思う。7月の参院選で与党は大敗し、自民党は1955年以来、初めて衆参両院で少数与党に転落した。自民党首脳からは「消費税を守り抜く」という発言もあったが、選挙結果は国民の怒りが示される格好となった。これにより、「財政拡大」に伴う「個人消費拡大」に対する期待が高まり始めている。

 ベッセント米財務長官は「米国は製造業の雇用と拠点を取り戻す」と述べるとともに「日本は貯蓄率が高く、消費を伸ばすことになる」と発言している。これは、今後の日米経済の中長期的な方向性を明確に示すものであると同時に、日本の有権者が示した意思に沿うものに思える。日銀の金融政策が関心を集めているが、生産者重視の経済では利上げはマイナスとなるが、消費者重視の経済では物価抑制に寄与するほか、利子所得の増加という観点からプラスに働く側面が大きくなる。更に「防衛装備品の輸出」や「コメの増産への転換」など、いままでの日本にはなかったことが一気に動き出している。これらが示すように、日本が大きな転換点を迎えていることを株式市場は評価しているのだろう。

 加えて、株式市場の需給面では、日本企業が積極的な自社株買いを行っていることも見逃せない。事業法人は年初から累計で昨年同期に比べ2倍の買い越しとなっている。この自社株買いが、1株当たり利益(EPS)の押し上げ要因に働いている。

 日経平均株価は、9月にかけ4万6000円前後まで上昇することもあり得るとみている。下値は、年末までみても3万8000円程度だろう。個別銘柄では、消費関連の小売りや外食セクターなどに投資妙味がありそうだ。ファーストリテイリング <9983> [東証P]や良品計画 <7453> [東証P]、イオン <8267> [東証P]、トライアルホールディングス <141A> [東証G]、更にすかいらーくホールディングス <3197> [東証P]や吉野家ホールディングス <9861> [東証P]などに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。


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