「人工知能(AI)・防衛・農業」で化ける業績絶好調株・超特選6銘柄 <株探トップ特集>
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―抜群の収益変化率で大相場突入前夜の気配を捉えよ、3大テーマに乗る有望株を選出― 世界的な株高トレンドに乗っているとはいえ、足もとの日本株の強さは特筆に値する。日経平均株価4万3000円台という未踏のステージを激走する東京株式市場は、まさにリスクオンの塊と化している。当然ながら短期急騰を受けてスピード調整圧力はつきまとうが、「押さば買い」というコンセンサスが今のマーケットに底流しており、日経平均は容易に崩れる気配がない。 米国株市場が典型的なブル相場の様相をみせていることもセンチメントを強気に傾けている。米株市場で強気が弱気を凌駕していることを暗示したのが、米国時間14日の朝方取引前に発表された7月の米生産者物価指数(PPI)に対するマーケットの反応であった。青天の霹靂と言っていいほど事前コンセンサスを大幅に上回る強い数値で、PPIの大幅上振れはFRBによる利下げ期待の後退につながるにもかかわらず、米国株市場は狼狽売りの欠片(かけら)も見られなかった。これは、東京市場にとっても売り方の全面撤退を促すだけのインパクトがあった。今後も折に触れ高値警戒感から下値を試す局面に遭遇することが予想されるが、そこは基本的に買い場を提供しているという見方が必要である。 ●全体指数と個別株は切り離して考える ただし、個別株はやみくもに買われているわけではなく、選別物色の流れははっきりと感じ取ることができる。週末15日の東京市場は日経平均が700円あまりの急騰をみせたが、値下がり銘柄数が全体の4割以上を占めており、指数寄与度の高い一部の主力銘柄のハイパフォーマンスが全体を押し上げている構図が見て取れる。個人投資家のマインドは全体指数の派手な上げ足をよそにそれほど熱した状態にはない。日経平均やTOPIXの値動きにとらわれると高値警戒感から手が出しにくいことは否めないが、個別株については全体指数とは切り離して考えることが求められる。森を見ずに木を見るスタンスで有望株を探すことが肝要だ。 基本的に今のマーケットは潤沢な待機資金に囲まれたような状態で、評価できるポイントの多い銘柄、いわゆる「勝ち組」に属する銘柄をしっかりと見極めて投資すれば、高い確率でキャピタルゲインを確保することが可能である。具体的には国策などを背景とした有力テーマに乗る銘柄で、なおかつ足もと業績面で好調が際立つ銘柄に照準を合わせることができればそれに越したことはない。全体相場の底上げによって個々の銘柄群にも株価浮揚効果は働くが、それは各銘柄の収益実態や成長期待を映したものではない。全体指数の上昇が止まっても個別に買いを誘引するだけの魅力を内包している銘柄をターゲットとすることこそが王道といえる。 ●国策テーマに大化け株の鉱脈あり 投資テーマとしてはまず人工知能(AI)関連が挙げられる。トランプ米政権下での大規模なAIインフラ計画である「スターゲート」で主導的な役割を担うソフトバンクグループ <9984> [東証P]は、今の東京市場にとって、さながらAI関連のシンボルストックに位置付けられるが、同社株はここにきて強烈な上昇トレンドを形成し最高値街道を邁進している。AIデータセンターについても、最近では日立製作所 <6501> [東証P]とJパワー <9513> [東証P]が2028年ごろの着工を念頭に置き、建設に向けた共同検討を始めたことを発表、市場の注目を集めた経緯がある。既に国内でAIの社会実装に向けた動きが加速する傾向にあり、AI関連株の中から株価を変貌させる銘柄が相次ぐ可能性は高い。 一方、 防衛関連も国家安全保障の観点から世界的に防衛コストの大幅上昇が避けられない状況下で、株式市場において強力なテーマ性を帯びている。米国防総省は日本を含むアジアの同盟国に国防費をGDP比5%まで引き上げることを要請しており、防衛省と直接取引関係のある“リアル防衛関連”に対するマーケットの視線は熱い。旗艦銘柄となっているのは言うまでもなく、防衛省との取引額で群を抜く三菱重工業 <7011> [東証P]だ。同社株も最高値圏を舞い上がるが、今週13日には株式分割後で初の4000円大台乗せを果たし、なお上値期待は強い。台湾有事への警戒感もくすぶり続けるなか、同社株を筆頭に防衛関連に対する物色ニーズが今の東京市場で色褪せるケースは考えにくい。 更に内需のホットスポットとなっているのが 農業関連だ。7月の参院選では与党も野党も共通の重点政策として掲げていたのが、防衛、原子力、そして農業支援であった。その際、石破首相は食料の安定的な確保に向けて5年間で2兆5000億円規模の予算措置を行う考えを表明している。今月5日の関係閣僚会議で石破首相は、これまで生産調整を行ってきたコメ政策の抜本的な転換を図り、コメ増産に舵を切ることを明言している。その際、増産の出口として輸出拡大を念頭に置く。このほかドローンなどを活用したスマート農業の技術導入や流通改革などにも取り組んでいく構えだ。株式市場では1000円近辺でもみ合っていた井関農機 <6310> [東証P]が5月下旬以降は動きを一変させ、今月12日は1930円の高値をつけるなど株価を変貌させ注目を浴びた。これに刺激される形で次の出世株を探す動きが多方面に広がっている。 今回のトップ特集では「AI」「防衛」「農業」の3大テーマに関連する銘柄群の中から、抜群の業績変化を原動力に株価を大きく変貌させる可能性を持つ銘柄に焦点を当てた。短期的なリターンが期待されるだけでなく、中長期的にも大幅な水準訂正が見込まれる有望株を各テーマ2つずつ、計6銘柄選抜した。 ●テーマ物色の波に乗る注目株6選 【AI関連・超新星2銘柄】 ◎VRAIN Solution <135A> [東証G] ヴレインSは製造業の生産ラインに設置するAI外観検査システムを展開しており、自社開発製品を活用したAIシステム及びカメラやセンサーなどの周辺装置の販売、企画からシステム導入までワンストップで対応している。人手不足の問題が深刻化するなか企業の省人化投資へのニーズは強く、同社はこの高水準の需要を捉えている。また、DXコンサルティングでも強みを発揮し業容拡大が顕著だ。案件一つあたりの単価が高く、売り上げや利益の計上は下期偏重型となっているが、通期ベースで抜群の伸び率を確保しており成長期待は申し分ない。トップラインは25年2月期の52%増収に続き、26年2月期も前期比50%増の32億1500万円を予想。更に営業利益も同50~58%増の8億9000万~9億4000万円と高成長が見込まれている。株価は7月中旬に第1四半期決算を受けマドを開けて売られたが、これは同社の下期偏重型の収益モデルを見誤ったもの。その後は戻り歩調にあるが、早晩マド埋めから、年初来高値3015円の奪回が見込まれる。 ◎グロービング <277A> [東証G] グロービングは企業のデジタルシフトの流れを背景に戦略的なコンサルティングサービスを展開する。昨年11月に東証グロース市場に上場したニューフェースだが、業績は飛躍的な伸びをみせている。顧客企業に出向して行うコンサルサービスが好調なほか、AIを導入した経営戦略も法人需要を捉えている。主要取引先のホンダ <7267> [東証P]のほか、複数の大手自動車メーカーと事業企画立案を支援するAIの共同開発を進捗させている点も注目される。業績は高成長路線をひた走る状況。売上高倍増、営業7.6倍増益を達成した25年5月期に続き、26年5月期は売上高が前期比40%増の115億5500万円、営業利益は同26%増の35億3900万円と大幅な伸びを見込んでいるが、会社側では27年5月期以降も売上高で年率40~50%の伸びを見込むとともに、30~35%程度の営業利益率を視野に入れているもよう。株価も中期的に大きく居どころを変える可能性が高く、時価総額ベースでは当面2000億円前後が目標となりそうだ。 【防衛関連・最強トラディショナル2銘柄】 ◎石川製作所 <6208> [東証S] 石川製は紙工機械の製造を手掛ける一方、防衛省向け防衛関連機器でも古くから実績を積み重ねている。機雷などをはじめ防衛関連機器が売上高全体のおよそ70%を占めており、かつては防衛関連銘柄の代表格だった。技術力も高く、子会社を通じてジャイロ装置や空間安定装置を展開し、またフライトレコーダーでは国内シェア首位を誇るニッチトップ企業でもある。業績はここ数年来目を見張るものがある。26年3月期は営業利益段階で前期比45%増の10億円と高変化を見込むが、これは過去ピーク利益には及ばないものの2000年代に入ってからは最高水準であり、株価的にも見直しが進む可能性が高い。8月8日に1615円の年初来高値を形成後は一服している状況だが、ここは買いで対処して報われよう。短期間に急騰するケースも過去に何度か繰り返されており、昨年7月には2147円の高値をつけるなど、材料株特有の人気素地に富んでいる点は見逃せない。 ◎ナブテスコ <6268> [東証P] ナブテスコはモーションコントロール装置のトップメーカーで、産業ロボット用精密減速機で世界シェア6割を誇るグローバル企業だ。建物用自動ドアでも国内で約6割、世界で約2割のシェアを確保している。航空機関連では持ち前の油圧技術や高精度な製品技術などを生かし、防衛省向け納入実績も豊富。とりわけ、航空機の3次元の動きを正確にコントロールするフライトコントロール・アクチュエーション・システムでは国内シェア100%と文字通り独占している。24年12月期は減収減益だったものの、25年12月期は当初見通しを増額修正し、営業利益段階で前期比51%増の223億円と飛躍的な回復が予想されている。更に26年12月期も5割近い伸びが期待され、過去最高利益を記録した21年12月期に迫る可能性もある。株価は業績増額を好感され8月1日にマドを開けて買われた後3000円近辺でもみ合っているが、ここを上放れ中勢4000円指向へ。 【農業関連・革命の旗手2銘柄】 ◎農業総合研究所 <3541> [東証G] 農業総研は産地直送野菜・果物の直売所事業(委託販売)を主力展開する。全国の登録生産者から農産物を集荷し、スーパーや小売店舗などの直売所で販売している。全国で約1万人の生産者と都市部を中心とした約2000店舗の小売店をITによってダイレクトにつなぎ、物流及び決済などを行うプラットフォームを提供している。これ以外に、生産者から直接農産物を買い取り、ブランディングしてスーパーなどに卸す産直卸事業も手掛ける。今年7月には直売所事業の月間流通総額が13億円を突破し過去最高を更新した。業績も既に飛躍期に突入している。24年8月期の営業2.6倍化に続き、25年8月期も前期比2.2倍の2億円を見込んでおり、この変化率は中期的にも株価を突き動かす十分なインパクトを内包している。株価は7月14日に644円の年初来高値を形成後、調整を入れたが、ここにきて再浮上の動き。早晩新値圏突入から700円台を目指す展開か。 ◎ウェーブロックホールディングス <7940> [東証S] ウェーブHDは防虫網のトップメーカーで、素材同士を掛け合わせて新たな素材を作り出すマテリアルシナジーを活躍領域として標榜。農業資材への展開でも高技術を駆使して商機を取り込んでおり、農作物を守る遮光・遮熱ネットなどをはじめアグリソリューションが収益押し上げに寄与している。株式市場でも農業分野への国策支援を追い風とする関連有力株として今後一段と頭角を現しそうだ。26年3月期営業利益は前期比2.1倍の8億5000万円予想と急拡大を見込むが、今第1四半期(25年4~6月)の同利益は前年同期比2.5倍の5億3200万円を達成し、対通期進捗率が62%に達した。PER10倍前後でPBRは何と0.3倍台と割安感が際立ち、配当利回りも4.3%と非常に高い。株価は8月上旬に上放れた後、目先筋の利食いをこなし再浮上に転じている。1月9日の年初来高値725円奪回は通過点に過ぎず、中勢4ケタ大台を意識する強調展開へ。 株探ニュース